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池田清彦

自然と友達になる 池田清彦

自然に親しむことは極めて知的な遊びである。少年少女の頃に自然現象に興味を持って、長じて一流の学者になった人は数多い。今年は金環食や金星の太陽面通過など、世紀の天体ショーがあった幸運な年なので、まずは宇宙の話題から。的川泰宣『的川博士の銀河教室』(毎日新聞社)は日本の宇宙開発の最前線で活躍してきた著者が、小学生のために書いた宇宙開発の物語だ。といっても内容はなかなか高度で大人が読んでも面白い。宇宙探査の歴史から、宇宙食、ダークマターという未知の物質の話題まで、宇宙に夢をはせ、謎解きに挑んだ人々の熱き情熱が詰まっている。

 谷本雄治『週末ナチュラリストのすすめ』(岩波科学ライブラリー)は、高価な道具がなくても、わざわざ秘境に行かなくても、自然は十分楽しめることを、親しみやすい文章と豊富な写真で示したステキな本。第1章から第5章までのタイトルは、「見る」「拾う」「撮る」「飼う」「知る」で、身近な動植物に親しむヒントがいっぱい書いてある。一番感心したのは第2章の「拾う」。セミやトンボの抜け殻、タマムシのはね、海岸に落ちている様々な動物の死体。まったくお金がかからないコレクションだ。もっとも、買いたくても売ってないだろうけどね。集めているうちに宝の山に見えてくるに違いない。そうなれば、あなたも病みつき。

 自然に親しむ究極の楽しみは、自分が採取したものを食べることだ。内山昭一『昆虫食入門』(平凡社新書)の帯には「アブラゼミは、ナッツ味」というキャッチコピーが躍っている。冒頭のカラーページには食用昆虫とその料理の写真がこれでもかというほど載っていて、虫嫌いの人は卒倒するかもしれない。しかし、山菜やキノコだけが自然の恵みではないのだ。栄養学的には昆虫の方がはるかに立派な食材のはず。本書は決して鬼面人を威(おど)すといった類いの本ではない。昆虫食の歴史、栄養分、風味、資源としての価値などを論じた学術書でもある。昆虫は未来の人類を救う食資源になることを予感させる本だ。

 (早稲田大学教授〈生物学〉)

『的川博士の銀河教室』
著者:
的川泰宣
出版社:
毎日新聞社
価格:
¥1,260(税込)
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『週末ナチュラリストのすすめ』
著者:
谷本雄治
出版社:
岩波科学ライブラリー
価格:
¥1,575(税込)
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『昆虫食入門』
編著:
内山昭一
出版社:
平凡社新書
価格:
¥882(税込)
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