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佐藤優

他者への理解力を磨く 佐藤優

 人間には、他者の気持ちを理解する力が備わっています。しかし、この力はきちんと訓練しないと摩耗してしまいます。他者の気持ちになって考えることが苦手な人が増えると、その社会も国家も弱くなります。日本を強くするためには、他者の気持ちを理解する私たちの力を強化することが重要になります。

 薬丸岳『友罪』(集英社)は、中学2年生の時に殺人を犯した鈴木、中学時代、いじめで友人を死に追いやった益田、AV女優の過去に苦しめられる美代子など、重く秘めた過去を持つ人々の間で友情は成立するかというテーマと、正面から取り組んでいます。エンターテインメント小説として面白く、同時に人間の本質について深く考えさせる優れた小説です。益田の鈴木宛て公開書簡に記された「きみが生き続けていくことが、さまざまな人と出会い、いろいろな経験をすることが、自分が奪ってしまったかけがえのない大切なものを知ることになると思うから」という言葉が感動的です。

 金惠京(キムヘギョン)『涙と花札』(新潮社)は、韓国人は、葬式の時に激しく泣いて悲しむのに、同時に花札をしているのはなぜかという謎解きをスタートに、日本人と韓国人の似ているところと、異なるところについて、具体的に紹介しています。

 「一見すると、全く性格の違う二人に見えるが、実の所、良く知り合えば実に馬があう」というアプローチを日韓両国の政治家、外交官がすることが、現在の難しい日本と韓国の関係を改善する鍵になると思います。

 さて、若い人にとって就職は頭痛の種です。渡邉正裕『10年後に食える仕事 食えない仕事』(東洋経済新報社)は、日本人メリットを活(い)かせる技能集約的な職業「ジャパンプレミアム」(住宅営業、美容師、地方公務員など)、ホワイトカラーとして高付加価値なスキルを身につけた「グローカル」(高級官僚、記者、医師、メーカー開発者)など、グローバル化による低賃金から逃れられる職業の仮説を提示します。他者の気持ちを理解できる人であることも、必要な要素のようです。

 (作家・元外務省主任分析官)

『友罪』
著者:
薬丸 岳
出版社:
集英社
価格:
¥1,785(税込)

『涙と花札 韓流と日流のあいだで』
著者:
金 惠京
出版社:
新潮社
価格:
¥1,575(税込)

『10年後に食える仕事 食えない仕事』
著者:
渡邉 正裕
出版社:
東洋経済新報社
価格:
¥1,575(税込)