どくしょ応援団

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十代、こんな本に出会った

『オリエント急行殺人事件』 ロザン・宇治原史規さん

ロザン・宇治原史規さん=吉永考宏氏撮影

楽しみながら国語力アップ

 これまで僕は、勉強にしても芸人になるにしても「つらい」とか「このままではあかん」とか、悲観的になったことが一度もないんです。

 授業中に先生から目を離さない、きちんと宿題する、それを徹底したら、勉強は「自然と」できました。

 中2まで広島で、学校から帰ると母が「今日は何勉強した?」と聞いてくれたのもよかった。「知識をひけらかすさまは、当時から鼻についた」って姉は言いますけど。

 中3で大阪に転校しましたが、労せず溶け込めました。というのも、模試の成績優秀者一覧に、名前が載ったのを同級生が偶然見つけて「このクラスにすごいヤツがおる!」と一躍有名人にしてくれたので。

 「名探偵ポワロ」シリーズにはまったのは、そんな中学生のころです。シリーズものは順番通りに読む主義で、ポワロの登場から最期まで全作読みました。『オリエント急行殺人事件』(A・クリスティ著、ポプラ社ほか)なんて驚愕(きょうがく)でしたよ! 状況から見て犯人は乗客の一人、ところが全員にアリバイが……ネタバレになるからやめておきましょう。

小学校卒業のころ(本人提供)

 僕にとって読書はエンターテインメントでしたが、本や新聞を読むと間違いなく語彙(ごい)が増える。国語の点数をあげたければ読書がいいですね。

 ほかには、SFとは思えないリアルさでバーチャルリアリティーの世界を描いた『クラインの壺(つぼ)』(岡嶋二人著、新潮文庫ほか)。カード破産にまつわるミステリーながら、人間の深淵(しんえん)に迫った『火車』(宮部みゆき著、新潮文庫)も読み応えがあった。読んだのは高校生のころかな。

 高校は中高一貫校に受験して入ったから、周りはほとんど下からの進学組。その中に、今の相方の菅広文くんもいて、彼はすでに人気者でした。僕は孤高を気どりつつも、ちょっと口をきいたら漫才みたいに話が弾んだ。「僕ら、お笑いでいけるんちゃう?」と意気投合したわけです。

 高学歴芸人なら話題になると受けた京大は合格したけれど、お笑いの勉強法は全くわからなかった。でも、浪人した菅くんが合格してから取り組めばいいかと。この時もやっぱり僕は楽観的でした。

 (ライター・安里麻理子)

◆おすすめは

 プライドが高いのはよくないように言われるけど、そうかな。『下町ロケット』(池井戸潤著、小学館・1785円)は、町工場がプライドをかけて大企業と渡り合う物語です。僕のプライドは「多少無理してもカッコよく生きる」。自分にとって譲れないものは何か、再確認できますよ。

 『これからの「正義」の話をしよう――いまを生き延びるための哲学』(M・サンデル著、鬼澤忍訳、ハヤカワ文庫・945円)には、物事には賛否両論があり、両方を吟味することの大切さを教えられました。自分が正しいと思っていることは「正義」だろうか? 考える機会になります。

うじはら・ふみのり  1976年、大阪府生まれ。京都大学在学中に菅広文とお笑いコンビ「ロザン」結成。クイズ番組、コメンテーターでも活躍。
『オリエント急行殺人事件』
著者:
アガサ クリスティ
翻訳:
神鳥 統夫
出版社:
ポプラポケット文庫
価格:
¥599(税込)

『クラインの壷』
著者:
岡嶋 二人
出版社:
新潮文庫
価格:
¥620(税込)

『火車』
著者:
宮部 みゆき
出版社:
新潮文庫
価格:
¥1040(税込)

『下町ロケット』
著者:
池井戸 潤
出版社:
小学館
価格:
¥1,785

『これからの「正義」の話をしよう――いまを生き延びるための哲学』
著者:
マイケル・サンデル
出版社:
早川書房
価格:
¥2,415(税込)