どくしょ応援団

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十代、こんな本に出会った

『クレヨン王国』シリーズ 赤江珠緒さん

赤江珠緒さん=吉永考宏氏撮影

想像力を刺激、今を支えるお守り

 やんちゃで、家族のひんしゅくを買ってばかりの女の子でした。夏、セミを素手で捕まえては、虫かご代わりにパンツの中に押し込んで帰る。屋根に干した布団に寝ころべば、布団もろとも落下……。

 「好きな本を買いなさい」と、小1のころから本屋に行かせてもらえたのは、本を読んでいる間だけは私がおとなしかったからです。

 「クレヨン王国」シリーズ(福永令三著、講談社青い鳥文庫)は、今読み返しても「ハリー・ポッターに匹敵するのでは」と思うくらい、想像力を刺激されました。

 担任の先生とそりが合わない男の子が主人公の『クレヨン王国のパトロール隊長』。歌手への夢をあきらめた女の子が「こころざし」を取り戻す『クレヨン王国の白いなぎさ』。ファンタジーでありながら現実にどこかリンクしていて、今読んでも世の中への向き合い方がメッセージとして伝わってくる。私にはお守りのようなシリーズです。

 読む本がなくなると何をしでかすかわからないので、両親は時折、自分の本を貸してくれました。母からは、歴史小説への扉を開いてくれた『細川ガラシャ夫人』(三浦綾子著、新潮文庫)を、父からは、見た目も中身も強烈な本を借りた覚えがあります。

10歳のころ。弟と一緒に

 そのひとつに、菊池寛の小説をジョージ秋山が大胆なマンガにアレンジした『青の洞門』(メディコム・トイ、絶版重版未定)があります。人斬り稼業に身をやつした主人公が己の浅ましさに気づき、村人のためにトンネルを掘るお話で、過激なシーン満載。

 でも、それがトラウマになったかといえばそんなことはない。むしろ子ども心ながらに人間の業の深さを感じ、物事は多面的に見なければと、教えられたように思います。

 マンガに限らず子どもの本で絵の役割は大きい。最近は可愛さ優先の絵が主流のようですが、当時はシリアスな挿絵の本がたくさんあって、それは今も心に残っています。

 私が10代のころ出会った本は、ファンタジーから背伸びした本まで、幅広いものでした。それが今になって、「あの本に書いてあったことと同じだ」と合点したり、救われたり。子ども時代の読書に支えられている感じがします。

 (ライター・安里麻理子)

◆おすすめは

 災いをもたらす比喩に使われる「パンドラの壺(つぼ)」はギリシャ神話が由来で、パンドラは人類最初の女性だとか。『ギリシア神話を知っていますか』(阿刀田高著、新潮文庫・515円)は、神話のあらすじを小説風にした解説書。ふだん耳にするカタカナの語源も多く楽しい発見があります。

 一方、和の世界には「侘(わ)び寂(さ)び」という言葉があります。これを極めた千利休とはどんな人だったのでしょう。『利休にたずねよ』(山本兼一著、PHP文芸文庫・880円)は、想像を交えて書かれているとはいえ、美にすさまじい執念を燃やした人物の生き方に圧倒されます。

あかえ・たまお  フリーアナウンサー 1975年、兵庫県生まれ。テレビ朝日「モーニングバード!」の司会、TBSラジオ「たまむすび」のパーソナリティーも。
『クレヨン王国のパトロール隊長』
著者:
福永 令三
出版社:
講談社青い鳥文庫
価格:
¥683(税込)

『クレヨン王国の白いなぎさ』
著者:
福永 令三
出版社:
講談社青い鳥文庫
価格:
¥651(税込)

『細川ガラシャ夫人上巻』
著者:
三浦 綾子
出版社:
新潮文庫
価格:
¥620(税込)

『青の洞門』
著者:
ジョージ秋山
出版社:
メディコム・トイ
価格:
¥2,520

『ギリシア神話を知っていますか』
著者:
阿刀田 高
出版社:
新潮文庫
価格:
¥460

『利休にたずねよ』
著者:
山本 兼一
出版社:
PHP文芸文庫
価格:
¥880(税込)