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池田清彦

なぜ勉強するの? 池田清彦

 皆さんの中には勉強なんかしたってしょうがないよ、と思ったことがある人もいるでしょう。むしろ一度も考えたこともない人の方が珍しいと思います。勉強をするのは、一流大学を卒業して、大企業に就職し、安定した生活をするため、と成功した大人はしたり顔で答えるかもしれません。でも、スティーブ・ジョブズのように大学を卒業しないで、大成功した人もいます。では何のために勉強するのでしょう。

 苫野一徳『勉強するのは何のため? 僕らの「答え」のつくり方』(日本評論社)は、新進気鋭の教育学者が、古今の哲学者たちの思想を援用しながら、学びの本質について思索した、とても読みやすく、しかもなかなか味わい深い本です。勉強する意味は、人それぞれで、万人に共通する正解はない、と苫野はまず言います。それでもあえて言うなら、自由になるためだ。それが著者の答えです。何だ正解があるじゃないか、と思ってはいけません。自由は万人に共通する正解ではなく、自分にとって一番望ましい状態のことです。自由を得るためには力が要る。そのために勉強する。シンプルだけどステキな考えだと思います。

 実社会で成功した有名人たちも、勉強する理由について語っています。『子どもはなぜ勉強しなくちゃいけないの?』(日経BP社)は、荒俣宏ら8人の識者が、それぞれの立場から、勉強する理由について述べています。意見はそれぞれ微妙に異なっていて、賛成できる意見もあれば、そうでないものもあるでしょう。僕が一番気に入ったのは、茂木健一郎が紹介しているプラトンのコトバ。知恵を得る以上に価値があることはないのだから、勉強にごほうびはいらない。

 最後に紹介するのは、内田樹『修業論』(光文社新書)。修業とはあらかじめ設定されたゴールを目指して努力することではなく、一生懸命やっているうちに、昨日の自分と違った自分になっていることに、気づくことだ。勉強も実は修業と同じだ。勉強をしなければ自分の新しい可能性を発見することができず、つまらない人生になるよ。

  (早稲田大学教授〈生物学〉)

『修業論』
著者:
内田 樹
出版社:
光文社新書
価格:
¥798(税込)

『子どもはなぜ勉強しなくちゃいけないの?-8人の識者に聞きました 』
著者:
荒俣 宏他
出版社:
日経BP社
価格:
¥1,365円(税込)

『勉強するのは何のため?-僕らの「答え」のつくり方』
著者:
苫野 一徳
出版社:
日本評論社
価格:
¥1,470円(税込)