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池田 清彦

博物学に命をかける 池田清彦

 iPS細胞やSTAP細胞が注目を集めている時代に、博物学は古色蒼然(こしょくそうぜん)たる学問のように思われるかもしれない。しかし、昔も今も博物学こそは科学の女王なのだ。自然物をある基準に従ってシステマティックに分類する。これは、すべての科学の基礎である。高価な機械は、使わなくとも研究ができるので素人でも活躍可能だ。博物学にはまって生涯の趣味にしている人も多い。

 青木淳一『博物学の時間 大自然に学ぶサイエンス』(東京大学出版会)は、ササラダニ分類の第一人者が、博物学の魅力を語った本だ。ササラダニ調査の途中で何度か命拾いしたという。この本を読むと、命を懸けてまで行う博物学の醍醐味(だいごみ)がわかる。「最初から役に立つと思って始めた研究は、実際に少し(またはかなり)役に立つ成果に結びつく。しかし役に立たないとわかっていながら行った研究は、ほんとうに役に立たないか、ときとしてものすごい発見や進歩に結びつくことがある」との著者のコトバはステキだ。

 奥山英治『虫と遊ぶ12か月』(デコ)は、一年を通して、どんな所にどんな虫が生息しているかを写真をふんだんに使って、初心者向けに解説したもので、昆虫の採集や観察の入門書として最適。昆虫は、身近なところに、驚くほどいることがわかる。隠れている虫の探し方から、カマキリの持ち方、オオスズメバチの捕らえ方まで、役に立つ情報が満載だ。採集の仕方ばかりでなく、撮影のコツも詳しく解説してあり、生態写真マニアにも役に立つ。

 小岩屋敏『チョウを追う旅』(ヘキサポーダ)はあまり期待しないで読み始めたのだけれど、面白すぎて一気に読んでしまった。『世界のゼフィルス大図鑑』(むし社)という、この分野では世界に冠たる名著を書いた人の半生記である。現役で東大に入学したものの、チョウ採りに大学は役に立たないと、あっさり退学して、世界各地にチョウを求めて旅に出る話だ。命を落としそうになったことも数知れず、普通の人はあきれると思うけれど、博物学の魅力はそこまですごいということで私は納得。

  (早稲田大学教授〈生物学〉)

博物学の時間
著者:
青木 淳一
出版社:
東京大学出版会
価格:
¥2,940円(税込)

虫と遊ぶ12か月
著者:
奥山 英治
出版社:
デコ
価格:
¥2,625円(税込)

チョウを追う旅
著者:
小岩屋 敏
出版社:
ヘキサポーダ
価格:
¥1,365(税込)