どくしょ応援団

本を読もう。何を読もう? 迷ったら「どくしょ応援団」へ。親子で、ひとりで、夢中になれる本との出会いがここに!

どくしょ甲子園Let's 読書会、高校生!!

第1回どくしょ甲子園 選考委員の選評

異なる視点知ってこそ 池上彰さん

 若い頃の読書は、理解が困難な本に挑戦してみることがあってもいいもの。その点、今回の応募作品には、身の丈に合った本を選んだものが多かった印象です。

 それでも、最優秀賞に選ばれた市川高・長谷部チームの作品は、多くの高校生が選んだ宮沢賢治の中でも、異彩を放っていました。「よだか」は自分勝手で傲慢(ごうまん)だが愛(いと)しいという結論は、読書会に参加したメンバーの自画像でもあったからでしょう。参加者の中に「アンチ宮沢賢治」がいたことで、読書会の議論は深まったようです。

 自分とは、全く異なる視点で本を読む人がいることを知る。これが読書会の醍醐味(だいごみ)でしょう。そんな議論の様子がよくわかるリポートでした。

 でもね、と審査委員のおじさんとおばさん(お姉さん)は言いたいことがあります。読書には「毒」もあります。そんな毒を知った読書会の応募がもっとあってもよかったなあ、とも感じました。

いけがみ・あきら ジャーナリスト。1950年生まれ。NHK記者を経て「週刊こどもニュース」で人気に。05年からフリー。

越境し交流する可能性 秋田喜代美さん

 山口県立厚狭高・花本チームの作品には、16、17歳を生きる高校生だから語れる、14歳と言う年齢の意味と実感が素直に表現されている。語りあいのうねりが伝わってきた。自らの経験とテキストの言葉との対話からの発見を中心にボードが作られている。

 外国人の子どものための勉強会・林チームは、時に中国語でも語りあいながらボードを作った。「どくしょ甲子園」は文化を越境し交流する可能性をもっている。

あきた・きよみ 東京大学大学院教育学研究科教授。1957年生まれ。日本保育学会会長。著書に『読書の発達心理学』など。

本との間に確かな回路 あさのあつこさん

 どくしょ甲子園へ予想以上の反響があったことをまずは言祝(ことほ)ぎたい。本と若者の間には確かな回路が存在しているのだと嬉(うれ)しかった。土浦工業高・笠井チームの作品は、男子高校生中心の試行錯誤の様子がリアルで微笑(ほほえ)ましく、推させてもらった。凝った美しいビジュアルにも感嘆! 一目で魅せられてしまった。一冊の本からこんな鮮やかなイメージを引き出せたメンバーに、心から拍手を送りたい。

作家。1954年生まれ。代表作『バッテリー』は映画やテレビドラマにもなった。青春小説から時代小説まで幅広く手がける。

あさのあつこさんインタビュー >>

奥深い感情きちんと表現 杏さん

 豊島岡女子学園高・西村チームは、本とキャッチボールをしているところ、読んで、自分たちで感じたことを話し合って、切り込んでいっているところが良いと思いました。特に「くもの巣みたいな関連図をつくりました」というのは、私もやってみたことがあるが、こういう作業をして初めて分かることがある。4回もの読書会を重ねて丁寧に作業し、自分たちの奥深い感情を探り、きちんと表現していたと思います。

あん モデル、女優。1986年生まれ。06年、FECジャパンの「モデル・オブ・ザ・イヤー」を受賞。本、歴史好きで知られる。

話題の本を見事に料理 石田衣良さん

 本好きの高校生が集まって読書会を開く。キャッチコピーを考え、効果的な引用を選び本の魅力を語る。活字離れが進む現在、新しい試みはおおいに評価できる。科学技術高・後藤チームは話題の『もしドラ』を見事に料理した。引用が的確で読書会の経過も上々。市川高・酒井チームは10代らしい熱気で『砂糖菓子〜』を表現。作中の再現シーンも力が入っていた。次回は本の魅力に垂直に切りこむ、深いリポートを期待します。

いしだ・いら 作家。1960年生まれ。フリーのコピーライターから作家に。
03年、『4TEEN』で直木賞受賞。