どくしょ応援団

本を読もう。何を読もう? 迷ったら「どくしょ応援団」へ。親子で、ひとりで、夢中になれる本との出会いがここに!

どくしょ甲子園Let's 読書会、高校生!!

あさのあつこさんが語る 高校生におすすめします読書会

「どくしょ甲子園」に集う高校生にエールを送るあさのあつこさん=東京都内、吉永考宏撮影

 その一冊と読者が一対一で向き合うのが本。読み始めるまでは他人のようでも、読み進むうちに友達や恋人みたいな存在になったりします。

 ですが、この「どくしょ甲子園」は、「読書会を開いて、一冊の本にグループで向き合ってみよう」というイベントです。本と読者の関係を更新する、大変に意欲的な試みではないでしょうか。

 自分の中高生時代をふり返っても、読書会を開いて感想を書いた、という経験はありません。ただ、あのころ、交換日記の中で本の感想を書き合った覚えがあります。

 誰かが、「ドストエフスキーの『罪と罰』を読んだよ」と日記に書き込むと、次には「ラスコーリニコフには共感できる」「僕は傲慢(ごうまん)だと思う」なんて、好き勝手な感想が書かれていた。確かに「ロシア文学を語る私たちって、カッコいい」と、背伸びもしていましたが、今思えば本を介して、自分たち自身のことを語り合っていました。

 本の感想を語り始めると、その人の内面がポロッと出てきたりする。そこが一対一の読書にはない面白さ。ラスコーリニコフについてなら、「殺人を正当化することについてどう思ったか」「宗教への敬虔(けいけん)な思いに何を感じたか」といった話題に自然と行きますよね。これは、「君はどんな人間が好き?」「どんな生き方をしたいと思っている?」という話をしているのと同じ。しかも、こういうストレートな話は、なかなか日常会話ではできない。皆さん、この機会にグループで読む醍醐味(だいごみ)をぜひ味わってください。

 さて、「どくしょ甲子園」では、キャッチコピーや感想などを「どくしょボード」としてまとめて、応募してもらいます。中には「意見が分かれて、考えが一致しませんでした」という場面が出てくるかもしれません。でも、それはそれでいい。

 きれいにまとめなければとか、結論を出さなければとか、それが目的になってしまったらつまらない。感想を言い合っていたら思わずホンネが出た、友達の思いがけない一面を見た、真剣な議論になった、みんなの表情が変わった……。そんなふうに、リアルにやりとりする、という経験が、素晴らしいじゃないですか。

 皆さんには、「今」の自分にしか語れない言葉がある。素(す)の感想、素の語り合いを、そのまま出してほしい。そこに、一般の読書感想文コンクールと「どくしょ甲子園」との大きな違いがあるのではないかと、予感しています。

 それにしても、私たち審査員も初めての経験ですから、ドキドキします。皆さんに試されるんですもの、「あさのあつこは、その本をそんなふうに解釈したわけね」とか。あ、これは大変だ。でも、どんな感想が出てくるか、今からとても楽しみです!

(2010年4月19日 朝日新聞から)