どくしょ応援団

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どくしょ甲子園Let's 読書会、高校生!!受賞作発表!!

【最優秀賞】

◆市川高校(千葉県)長谷部チーム 長谷部光さん、久慈公毅さん、倉田公輝さん、村上功一さん(いずれも2年)

■とりあげた本 宮沢賢治著「よだかの星」

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〈ルポ 読書会〉

4人で探り当てた“いとしさ”

 今回の読書会では論点が多く、白熱しました。

 まず、何故か参加していたアンチ宮沢賢治(でも作品は好き)の倉田君の「よだかは傲慢だよ」という発言が波紋をよびました。

 倉田君は「よだかは醜いだけで虐げられているのはわかる。でも、どうして自分だけが、なんて思っているあたりがどうにも……」とのこと。それには村上君以外は同意見で、確かに冒頭で「自分だけがひどい目にあっている」と思っている節があるように感じました。村上君は「優しいのに、可哀想じゃないか」との意見。

 遠くに行こうと決意した後、しかしよだかは、かわせみに会いに行ってしまいます。よだかは「かわせみが苦しむかもしれない」とは考えなかったのだろうか、という意見と、よだかはただ、優しい弟にさよならを言いたかっただけだ、という意見がでました。

 よだかは、何故星になれたのだろう。

 村上君は、誰の助けも得ずに一人の努力だけで頑張った結果、星になれたのではないか、と。しかし倉田君からは、わずかにのろしのように飛び上がる、というところから先が不自然に前向きになっている、との指摘。

 そこまではただひたすらに自己嫌悪や自己憐憫にひたっていて、本当はあそこで死んでいるはずだった……のに、飛び上がる。そこからよだかの最期までの間に、実はよだかの心情描写が1度もないことから、飛び上がらせたのは宮沢賢治自身なのではないか、という意見もでました。

 そして結論。

 倉田君の力説により、だんだん、残りの3人も、よだかが確かに自分勝手に動いているような気がしてきました。読書会の面々が鬱々とした気分になるなか、村上君のひとこと、「それでも、愛しいじゃないか」。

 よだかは弱くて傲慢で、「自分だけが虐げられている」と思っています。しかし甲虫により自分の罪に気づく。自分が醜いこと、自分が日々羽虫を殺しているという事実から逃げたくて、遠くへ行こうと決意します。そして「自分は罪に気がついた」ということを少しでも他人に気づいて欲しくて、かわせみに会いに行ってしまう。さらに結局かわせみが「ちょっとお待ちよ」と言っているのにも関わらず逃げてしまいます。その後、星に「鳥の分際で」と言われますが、きっと、これを「よだかの分際で」と捉えてしまったのでしょう。よだかはなおも諦めず、数々の星に足蹴にされます。

 誰かに認めて欲しい。違う自分になりたい。

 そういう思いは誰にでもあります。そのままの自分を認めてくれる存在に気がつけなかったよだかは弱い。でもその弱さは私たちみんなに共通しているもので、だからこそ、愛しく感じる。

 もともと友達だった、という理由で集まった4人ですが、話を終えた後、その関係は少し深まったような気がしました。

〈受賞のよろこび〉

読み続けたい作品に

 「最優秀賞の電話通知には、「本当に私たちが?」と、信じられなくて司書の先生に携帯電話を手渡してしまったほど、びっくりした。日ごろから仲のいい4人組だから、自由で勝手な議論ができたんだと思う。進んだり立ち止まったり戻ったりの読書会だったが、主人公の「よだか」には、私たち自身の中の好きな所と嫌いな所の両方が潜んでいることに気付いた。これから先も折に触れて手に取る作品になったと言える」