どくしょ応援団

本を読もう。何を読もう? 迷ったら「どくしょ応援団」へ。親子で、ひとりで、夢中になれる本との出会いがここに!

どくしょ甲子園Let's 読書会、高校生!!受賞作発表!!

【奨励賞】

◆茨城県立土浦工業高校・笠井チーム 笠井姫華さん、大蔵歩さん、宮崎駿さん、杉田大介さん、菅野翔太さん、直井康英さん(いずれも3年)

■とりあげた本 宮沢賢治著「黄いろのトマト」

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〈ルポ 読書会〉

六十数カ所もの「色」に導かれて

 今年は図書委員会主催に研修会を開こうと、年度初めに目標を掲げました。図書館の多くの問題を解決できるのは「読書会」なのではないかと企画係から提案されました。

 私たちにとっての読書会は、何も分からないところからのスタートだったので、企画係を中心に本の選定を行いました。課題図書として用いる本は、臓器移植の問題や友情を描いた作品など、私たちの生活に近いものがよいのかもしれません。しかし、初めての読書会でうまく進行できるか不安でした。そこで、作者は知っているけど、普段はあまり手に取らない本を読んでみようということになりました。宮沢賢治の作品で読んだことがないものを読んでみようと第1回目は「黄いろのトマト」に決まりました。みんな進路活動や大会前の部活動で忙しい合間をぬって打ち合わせを繰り返し、開催日時、司会進行、記録係を決め、ポスターを作成し校内に掲示して希望者を募りました。

 当日は学校行事の関係で開催日時の変更があったにも関わらず参加生徒人数は20人、予想に反して多くの生徒が参加しました。全員に分かりやすい進行をしたかったのでプロジェクタを用意して、資料を提示しながら進めました。前もって課題図書を読んできてくださいとお願いしても、読書会は定期考査最終日放課後に予定されていたので、試験勉強に追われ読める生徒はあまりいないのでは?と考え、短編なので1人2段落ずつ音読していくことにしました。最近は音読する機会なんてあまりなく、恥ずかしかったですが意外にみんな声を出して読んでくれました。

 課題図書を隅々まで読んで、色を使った気になる表現を探したりしました。短編の作品の中に60数回、色が使われていました。夢中になって数えているうちに時間が経つのも忘れ、1時間を予定していたのに、40分もオーバーしていました。

 気になる表現を話し合っていたとき、主人公であるキュステという青年が原作者で、訳しているのが宮沢賢治であるかのような書き出しに着目した生徒がいました。この本は宮沢賢治が書いたのか?訳したのか?という疑問に対し、先生が注釈を読んで紛らわしい書き方だけど宮沢賢治が書いたことが分かると、みんなで声を揃えて一言。「紛らわしいよ−!!」

 今回の読書会では「物語のはじめがすごく綺麗で、涼しげな印象から始まるので、物語終盤の色の濃さや、大人たちの現実味溢れる冷酷さが余計に引き立つように感じる」、「宮沢賢治がなぜトマトの品種に詳しいのか疑問です」、「普段、絶対に読まない本を読むよい機会だった」等、個性溢れる感想が上がりました。初めての読書会は進行の問題や、準備の不十分なところが少し目立ちましたが、学年を超えて感想や意見を交わしたり、本で共通の仲間を作ることができるよい機会になりました。反省点を改善し第2回の読書会につなげたいと思います。

〈受賞のよろこび〉

ポップアップで“賢治”

 「ボードの表をポップアップ絵本のようにしたのは、賢治の作品を表すイメージとして〈開く前のドキドキ感〉と〈開いたときの空間の広がり〉が欲しかったから。作品を〈色〉でとらえてみるというアイデアは話し合いの途中で出てきた。音読しながら数えてみたら色を使った表現が六十数カ所もあったんです。読書会の結果を一枚のボードにまとめるという作業はとても面白く、機会があったらまたやってみたい」


【奨励賞】

◆豊島岡女子学園高校(東京都)西村チーム 西村ほのかさん、平石綾子さん、村上楓さん、森山真帆さん(いずれも1年)

■とりあげた本 瀬尾まいこ著『幸福な食卓』

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〈ルポ 読書会〉

心に温かいものが残りました

 私達は読書が大好きな高校一年生の四人組です。四回の読書会を開き、ホームページからダウンロードした役割シートを利用して会を進めていきました。主人公が私たちと近い年代だったので、共感できる部分もありました。しかし、この話にでてくるような境遇にあったことがないので中原家の家族のあり方を理解するのが難しかったです。そこで私達は登場人物の気持ちがわるようにたくさんの本を読みました。特に、廣瀬裕子さんの詩集を読み、大好きな人を失った時の気持ちなどを考えました。次に私たちは登場人物を全て書きウェビングをしてみました。そこから関連する意見・話題を思いつく限り次々と展開し、結びつくものは線でつなげて、くもの巣みたいな関連図をつくりました。すると、主人公・佐和子のまわりを包囲するようになり佐和子は周りの人々から見守られている人だと、わかってきました。私達は、自分自身が見守られていると思った瞬間を考え始めました。あまり失う物もないせいか沈黙が続きました。そんな中、四人の中で携帯を持っていない子がポツリと話し出しました。携帯を買ってもらうために持っていなくて困った事を紙に書いて親に渡したけれど却下されたと話しました。

 トラブルに巻き込まれないための親心だとわかっていても、携帯からの情報ネットワークを使って話をしている友達についていけなくなってしまうとも言っていました。その子の発言をきっかけに他の子も自分の家族について話が盛り上がりました。一通り盛り上がると、ふと私達は見守られているのを気づかないフリをして自分の気持ちを相手に押し付けているだけだと気づきました。またそれが悪いことではないのでは?という意見も出ました。一冊の本を通してそれぞれの思いを語り、結論こそ出すことはできなかったけれど何か心に温かいものが残りました。

 最後の読書会が終わりに近づくとそれぞれに待ってくれている人達の元へ急ぎたくなる私達がいました。

〈受賞のよろこび〉

つながる幸せに気付く

 「受賞できてとてもうれしい。全員読書会は初めて。それぞれの意見や感じ方の違いに気付かされたのは、新鮮な驚きだった。取り上げたのは家族の物語。一見すると、最後の恋愛の結末ばかりが目立つ。でも何回も読書会を重ねるうちに、なんか普通じゃない家族が、お互いにカバーし合いながら、主人公の女の子を守っていること、そのことが浮き彫りになってきた。つながっていけることの幸せ。自分も早く帰って、楽しい食卓を囲みたくなった」


【奨励賞】

◆山口県立厚狭高・花本チーム 花本泰子さん、松田浩実さん(以上、2年)、森川亜弥香さん、村上貴広さん(以上、3年)

■とりあげた本 石田衣良著『4TEEN』

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〈ルポ 読書会〉

「変わること」の怖さ抱きしめ

 キャッチコピーを決めることからスタートした読書会。しかし、キャッチコピーを決めることなど、そっちのけで、『14歳』の時の思い出で盛り上がった。何もかもすべてが一生懸命だった。時間が早く過ぎていくような気がした。小学校、中学校と続いてきた友達関係は楽しかった。そして、その人間関係は、ずっと続くと思ってた。今、思い出せば幼かったともいえる14歳。『全力』『もう少し時間がほしかったね』というキーワードの私たちの14歳と、『4TEEN』という作品を重ね合わせた。そのとき、『14歳全力投球の友情。もう少し時間をください』というキャッチコピーが生まれた。

 次に、「印象的な一文は」どこかという話題に移った。印象的な単元から抜き出した。まず挙がったのは、「空色の自転車」。ダイに対する3人の思いは感動的という意見に続き、みんなでダイに手紙を書こうとするシーンの言葉にみな共感した。しかし、次に挙げられた「十五歳への旅」は、みんなの人気が集中。そして、「どんなに悪いときでも誰かひとりは味方がいる」「おれは自分が怖いよ。未来のおれが怖いんだよ」などの自らの思いに重なる言葉が挙がった。「怖い」という言葉がキーワードとなる中で「ぼくが怖いのは、変わることだ。」に続く言葉にたどり着いた。私たちもここで今、四人で読書会をしているこの気もちを忘れてしまうのだろうかとちょっぴり切なくなった。

 その後は、解き放たれたように、自由に語り合った。もともと、読書会経験者の四人。3年生の森川の熱いトークに2年生の松田、花本が参戦。紅一点ならぬ黒一点の村上は、女子パワーに圧倒されつつ、ときどき口を挟む。そんな展開で進んだ読書会。この作品は何故「14歳」でなくてはならないのか話し合う中で、私たちは気付いた。14歳は、やがてくる人生初の選択の一歩手前の年齢なんだということに。人生の選択をしなければならなくなったとき、人はもう、純粋ではいられない。14歳は、人間が純粋でいられる最後の年齢なのだ。そして、私たちは14歳を終え、15歳も通り過ぎた。私たちは、今、16、17歳だがこれからどうなるか。そして、この小説中の4人はこれからどうなるか。

 私たちは、社会に出て行きたくさんの出会いをし、さまざまなことにぶつかったりもする。今の現在の自分とは変わってしまうだろう。そして、四人もまた、テツローは、普通のサラリーマンに、ナオトはずっと病気と闘っているか、もしくは一番早くに死んでしまうかもしれないし、ジュンは、学者、ダイはやはり、家族のために働いているかもしれない。それぞれが、それぞれの道へ。いつ、どこで、なにが起きるかなんてわからない。社会に出て行き、14歳だったころとは変わってしまうものもあるだろう。それでも、この4人の友情は決して終わることなく続いていくだろうとわたしたちは確信して読書会を終えた。

〈受賞のよろこび〉

14歳のころを忘れない

 「この本は、中学2年の男子4人が主人公。ボードに描いた四つの手は、4人が、未来に向かって手を伸ばしている感じを表現した。私たちはふだんの生活で、過去を話す機会がほとんどない。しかし今回の読書会で、メンバーが14歳のころの思い出を語り合い、距離が近くなった気がする。入賞する自信はなかったが、満足した作品ができたので、それで十分だった。忘れていたころに、入賞の連絡があって驚いた」