どくしょ応援団

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第2回どくしょ甲子園Let's 読書会、高校生!!

第2回どくしょ甲子園 選考委員の選評

本質に迫る読みの深さ、あっぱれ 姜 尚中さん

 高校生の頃、こんなに深い読みをしてたっけ?! 我が身を振り返り、応募作品の質の高さに舌を巻くほどだった。高校生くらいの年頃であれば、時代の空気を敏感に察知するのか、思いの外、生や死、戦争や原発事故など、結構シリアスで、ややもすると暗くなりがちなテーマを扱った作品が目についた。もちろん、「高校生らしい」身の丈に合った作品を選んだグループもいる。それでも、選ばれた本をみると、そこから青春の光と影のゆらぎのようなものを感じざるをえない。

 その中で群を抜いていたのは栃木県立大田原高・斎藤チームの作品だ。「ふむ、ふむ、なるほど、そう来たか」とうならせる展開は見事だ。「藪の中」に仕掛けた芥川龍之介の「謀略」にまんまとしてやられながらも、作品の本質に迫る読みの深さはあっぱれとしか言いようがない。果たして人間の世界に真実などというものはあるのか。この重たい問いを、今後も別のテーマを通じて追究していって欲しい。期待したい。

カン・サンジュン 政治学者。東京大大学院情報学環・学際情報学府教授。1950年生まれ。著書に『悩む力』『在日』『母 オモニ』など。メディア出演も多数。

姜尚中氏インタビュー >>

新たに示された読書会の面白さ 秋田喜代美さん

 昨年の2倍を超える応募点数!! グループ読書の魅力が、ボードを通して昨年以上にさらに熱く、伝わってきました。市川高・長谷部チームは「うわーって感じ」「ひとりで読みたかった」という、言葉にならない読後感のわけを、場面を読み直し、登場人物の関係図を描き、語り合って解明していきます。ひとりで読みたいと思うわけが、友と語りあうことでみえてくる。「鶸」という作品と、読書会の新たな面白さを示してくれたチームに、拍手です。

あきた・きよみ 東京大大学院教育学研究科教授。1957年生まれ。日本保育学会会長、日本読書学会会長。著書に『読書の発達心理学』『絵本で子育て』など。

重いテーマ直視した見事な姿勢と力 あさのあつこさん

 今年は、昨年以上の力作が集まり、日本の高校生の底力を改めて実感できました。特に福井県立科学技術高・佐々木チームは緻密(ちみつ)な絵と共に、本と読書会を通じて過去と今に鋭く切り込んでいく姿勢が見事でした。重いテーマをあいまいにもせず偽善にも堕とさず向かい合った「超友人」のメンバーの力に圧倒されました。受賞はなりませんでしたが山口県立厚狭高・下川チーム「ぼくとチェルノブイリのこどもたちの5年間」にも同様の力を感じました。

作家。1954年生まれ。代表作『バッテリー』は、映画やテレビドラマにも。他に『THE MANZAI』など。青春小説から時代小説まで、幅広く手がける。

意見対立が生む共感できる文章 佐藤江梨子さん

 本当に、高校生が書いたのかな? 文章のプロみたいやな、と思ってしまうほど、どくしょ甲子園はどれも素晴らしい文章、すてきな読書会でした。中でも私が激しく感動するほど共感した九州学院高・西田チームは、読書会で意見が真っ二つに分かれて、それから、価値観が違うのだから、自分の価値観を押し付けないようにしよう、という結果になる。すごい! 意見の対立関係があったからこそ、感動するほど、共感する文章ができたんやな、と心底思いました。

さとう・えりこ 女優。1981年生まれ。98年、ドラマ「美少女H」でデビュー。映画、CM、舞台でも活躍中。趣味は読書と映画。著書に『気遣い喫茶』他。

小説から現実へ、理想的な読み方 道尾秀介さん

 東京成徳大学高・下木チームは、自分が「夏の庭」を読んだ時と、違う読み方をしていて興味深かった。ただ「この作品のテーマはこれだ」と決めているのが残念。議論のベースとなる部分に幅があれば、グンとグレードアップできたかも。豊島岡女子学園高・西村チームのデザインは素敵で、内容も非常にエモーショナル。ルポの中で白熱した意見交換があり、作品を離れて議論が進んでいく。小説と現実が地続きであることを忘れている読者が増えた昨今、理想的な読書だと嬉しくなった。

みちお・しゅうすけ 作家。1975年生まれ。『光媒の花』で山本周五郎賞、『月と蟹』で直木賞。他に『向日葵の咲かない夏』や『月の恋人 Moon Lovers』など。