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朝日新聞社 どくしょ甲子園 読書会を開いて、仲間と一緒に本を読み、みんなで語り合おう!その成果を1枚の作品「どくしょボード」で表現する高校生のコンクールです。

どくしょ甲子園 伝える深まる、本の世界 - let's 読書会、高校生!

第4回どくしょ甲子園 受賞作品

受賞作一覧 ※クリックすると作品をご覧いただけます

【最 優 秀 賞】   大阪市立工芸高 清水チーム 梶井基次郎『檸檬(れもん)』
【優 秀 賞】   東京成徳大学高(東京都) 味田チーム 村上春樹『海辺のカフカ』

          福井県立科学技術高 楠チーム アントニイ・バージェス『時計じかけのオレンジ』
【奨 励 賞】   山形県立山形北高 海谷チーム 梨木香歩『西の魔女が死んだ』
          山村学園高(埼玉県) 菊池チーム 大江健三郎『死者の奢(おご)り』
          渋谷教育学園渋谷高(東京都) 林チーム 小路幸也『キサトア』
学校賞は、応募点数、作品のできばえ、取り上げた本の多様さなどを基に、主催者で選考しました。今回は次の2校に贈ります。
【学 校 賞】   愛媛県立伊予高 富山県立砺波高



奨励賞: 山形県立山形北高 海谷チーム
海谷早紀さん、石岡夏乃さん、斎藤綾乃さん、笹沼和真さん、土屋綾香さん

 取り上げた本:梨木香歩著『西の魔女が死んだ』(新潮社)

    ▼ どくしょボード 第4回どくしょ甲子園: 奨励賞: 山形県立山形北高 海谷チームの作品


▼ ルポ 読書会
たどり着いた幸せへの道

奨励賞: 山形県立山形北高 海谷チーム

 『西の魔女が死んだ』の読書会では、まずこの本のキーワードである「魔女修行」について話し合った。まいがおばあちゃんから与えられた「魔女修行」=基礎トレーニングは、早寝早起き、しっかりした食事をとること、よく運動することなど規則正しい生活そのもの。それがどうして精神を鍛えることにつながるのか。私達はまいと同じ疑問を抱いた。

 そこで、まいの状況や心情に注目してみた。仲の良い友達でつくるグループの付き合いに違和感を覚え疲れてしまったまいは、学校へ行けなくなってしまう。今まさに学校に通っている私達に、この問題は痛烈に響いた。「グループの友達の機嫌を伺ってしまう」「独特な雰囲気がある」「仲間と同じ時間を共有できるのは良いこと」という多様な意見が交わされた。だが、まいのこの状況は、私達が出そうとしている答えとどう関係があるのか。皆一様に頭を悩ませた。

 話し合いが進まない中、もし自分がまいの立場だったらと考えてみる。自分が魔女修行を続けたら何が変わるだろうか。少しの沈黙の後、この疑問の出口となる意見が挙がった。「規則正しい生活をすると、気持ちが前向きになるんじゃない?」。悩みを抱えていても、それらに対する心理というものは、心が元気である場合とそうでない場合で変わってくる。規則正しい生活は心身共に健康にし、健康な心は精神を強くする。その連鎖がこの疑問の答えだった。おばあちゃんは、こう言っている。「いちばん大切なのは、意志の力。自分で決める力、自分で決めたことをやり遂げる力です」と。精神が強くなれば、何事も自分の意志で決められるようになるのではないだろうか。それは他人に流されない人になることだ、という考えにまとまった。

 また、私達はこの本のタイトルから「死」についても考えた。「人は死んだらどうなるの」まいのこの言葉に、皆の興味が集中した。漠然と「死」について考えてみる。「過去も未来も崩れてしまう」「自分が消えたら皆から忘れられてしまう」いずれにしても「怖い」という意見で一致した。しかしこの物語には、私達の中にはなかった発想があった。それは、「自分というものは魂と身体が合体してできたもので、私達の言う「死」は魂が身体から解放されて自由になること。その後魂は長いながい旅を続ける」ということ。この発想は私達を驚かせた。「死ぬことはただ暗く恐ろしいものではない」この意見に頷いた。「死」の先には希望があるかもしれない。恐怖が完全に取り除かれたわけではないが、そう思うことができた。西の魔女はなんて寛容な人だろう。私達は感嘆した。

 人は人から生き方を教わる。最初は誰もが見習いであり、私達は皆誰かの背中を見て育つ。この読書会を通して私達は、成長する上で自分の意志を大事にすれば自分を変えることができるのだということを学んだ。自分たちの生き方について様々な思いをめぐらせたまま、私達の読書会は幕を閉じた。


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▼ チームの横顔

 死ぬのは怖い――。最初はみんなそう思っていた。「魔女」である主人公のおばあさんの最期は少し違う。「死」の先には希望があるのかもしれない。その発想に全員が驚いた。同時に、生きている間に何をすべきか深く考えた。キーワードは「魔女修行」で強調される「意志の力」だ。メンバーは図書委員。図書室の円卓で生き方を語り合い、ボードに「幸せへの道」という言葉を入れた。


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奨励賞: 山村学園高(埼玉県) 菊池チーム
菊池まどかさん、志賀晏佳さん、清水美香さん、玉貫礼朱さん、山口真子さん

 取り上げた本:大江健三郎『死者の奢り』(新潮文庫)

    ▼ どくしょボード 第4回どくしょ甲子園:奨励賞: 山村学園高(埼玉県) 菊池チームの作品


▼ ルポ 読書会
違和感こそ大切と気づく

奨励賞: 山村学園高(埼玉県) 菊池チーム

 メンバー全員が、明確な結論のない話を読んだ後特有の、もやもやとした気持ちで読書会が始まった。

 まず盛り上がったのは、主人公『僕』の人物像についてだ。会話、心情、行動の描写から「『僕』は勉強がとてもよくできるだろう」「想像力の豊かな人だ」など様々な意見が飛び交った。しかし、一番多くのメンバーが賛同した意見は「『僕』は自分勝手なところがあり、あまり好きになれない」というものであった。むしろバイト仲間となる女子学生の方が私たちに近い感覚を持っているように感じた。〈妊娠〉という、性別の差がはっきりする事実を抱え悩む女子学生の姿が全員女子である私たちメンバーの共感を生んだのだ。

  次に、この話を読んで印象深かったフレーズとして多く挙げられた「死は《物》なのだ。」という言葉について考えた。この話には全体を通して「生者」「普通に火葬される死者」「解剖用にアルコール漬けにされ大学の地下で物となった死体」という三種類のものが出てくるとして話し合いを進めることになった。「火葬される死者」 と「物となった死体」との違いは、『僕』と『死体』との会話で示されている。「物となった死体」にはずっしりした確かな感じがあるが、「火葬される死者」にはそれがない。また、「物となった死体」はその重量感を誇りに思っているらしい。もし『死体』との会話が『僕』の想像の中のことであっても、『僕』の中には確実にこの考え方が存在している。また不思議なことに、女子学生も似たような言葉を放つのだ。これはこの仕事に関わるすべての人がこういった考えを持つと考えざるを得ない。そうメンバー全員が考えた。しかし、これをタイトルと結びつけようとしたとき、〈奢〉の字義から、対立が起こった。「ここでは〈驕〉の字の方がふさわしいだろう」という意見が出たのだ。それに対して「〈奢〉の字にあるぜいたくという意味も通じるものがあるではないか」という意見が出た。順調に話が進んでいたかに見えたこの会も、このときばかりは意見の一致をみることはできなかった。

 「生者」と「死体」との違いは、僕、女子学生、管理人の三人の会話や意識から読み取ることができると同時に、この話の一番重要なキーワードであるとした「この仕事の罠」に深く関係していると考えられる。骨と肉の結びつきにすぎない死体という《物》に触れることで、『僕』は生者ときちんと話すのが困難だと思うようになってしまったし、女子学生は堕ろしたくて仕方なかった子どもを産もうと心境が変化したし、管理人は自分の息子の子育てに熱中できなくなったと言っている。これらは全て、「生者」と「死」の違いを、改めてはっきりと突きつけられるこの仕事の罠なのだ。この考えが全員の中でまとまったとき、ずっと目の前にあった霧のようなものが少しだけ晴れたような気がした。

 今回の読書会は女子五人でのものであったことも加わり、『女子学生』の存在に引っ張られた話し合いになってしまったかもしれない。しかし、仲間の意外な一面を見ることができたり、自分とは違う価値観や考え方を知ることもできた。とても価値のある読書会だったように思う。


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▼ チームの横顔

 ドキッとする題名にひかれて選んだ作品。しかし読み進めても「訳が分からない」という思いがぬぐえない。特に「死は《物》なのだ」という言葉は「死者も心に生き続ける」という情緒的な思いを吹き飛ばす衝撃に満ちていた。「生」と「死」との違いをこれでもかと突きつける。その違和感こそ、この作品の「型にはまっているようで収まっていない」魅力だ、と自分たちなりに受け止めた。


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奨励賞: 渋谷教育学園渋谷高校 林チーム 
林風咲子さん、林南咲子さん、岩崎環さん、杉本美由さん(いずれも3年)

 取り上げた本:小路幸也『キサトア』(文春文庫)

    ▼ どくしょボード 第4回どくしょ甲子園優秀賞: 奨励賞: 渋谷教育学園渋谷高校 林チームの作品


▼ ルポ 読書会
「人と自然との調和」表現

奨励賞: 渋谷教育学園渋谷高校 林チーム

 私たちが選んだ本は、小路幸也さんの『キサトア』だ。読書会は、始まってすぐに壁にぶつかった。

 「言葉にするのって難しいんだね」と、岩崎さんが言った。「こんな素敵な本なのに」本の魅力を、的確に言い表せないのだ。

 「言葉にするのって難しいんだね」と、岩崎さんが言った。「こんな素敵な本なのに」本の魅力を、的確に言い表せないのだ。

 「どこがいいって言われると、どこだろう?ってなるよね」と杉本さんも同意する。

 そこで、それぞれが本の魅力だと思った点を箇条書きにしてまとめることにした。すると「世界観が好き」だということが分かった。

 「でも、世界観って言葉は漠然としてるよね」。南咲子さんの一言で、また議論が再熱する。しかし、なかなか意見は出ず、時間ばかりが過ぎて一回目の読書会は終わった。
 日を改めて、読書会二回目。岩崎さんの提案から始まった。「どうしてキサトアの世界観が好きなのか考えながら、広い視野で読んでみない?」
 前回は台詞や場面などの細かい点に注目していた。
 だから今度は、価値観や風町の住人に共通することなど、広い視野で本を読み返してみた。

 1時間ほどでざっと読み終えてから、皆で話し合いをする。
 『自然を友とする』『自然と共に生きる』
 この本には、自然と人の関係というテーマがあった。広い目線で見て分かった事だ。

 不意に風咲子さんが話し始めた。「たまに『都会を出て自然の中で暮らしたい』っていう人がいるでしょ? でも、キサトアを読んで、それは違うんだなって思った。都会の中にも自然はあるじゃない?」

 私たちの通う渋谷にも、自然はある。窓から差し込む光も、窓を濡らす雨も自然だ。「だからなに?って話だけど……」

 言いよどんだ風咲子さんの後を継いだのは南咲子さんだった。「それって、お父さんの『この世界に境界線なんてどこにもない』っていう台詞と繋がってない? 私は、この台詞が一番好きなんだけど……。ね、それってつまり、この本のテーマが本の魅力なんじゃない?」

 徐々に皆、熱が入ってくる。あれほど掴めなかった本の魅力が徐々に形を成していく。

 「エキスパートが肝だと思う」。杉本さんの言葉で読書会は大きな展開を見せた。

 自然の声を聞けるエキスパート。住人が彼らを尊敬してるのは、住人が自然と仲良くなりたいと思ってるからだ。

 この本は、人の心に隠れている「自然と共にありたい」という気持ちを呼び起こす。それが、この本の魅力だ。

 「卒業する前に、みんなで一緒に話す時間が欲しかった」。読書会を終えた後、発案者の林風咲子さんが皆に言った。

 参加した4人は、皆、元演劇部の仲間である。そして、今は受験を控える高校3年生だ。
 以前のように皆で話すことも少なくなってしまっていた。
 「また、やりたいね」誰からともなくそう言った。
 読書会を通して分かった。卒業しても私たちは繋がっている、本を通して。


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▼ チームの横顔

 世界的アーティストだが色がわからない「アーチ」と、朝と夜それぞれ真逆の時間に眠る双子の妹「キサとトア」の四季の物語だ。

 リーダーの林さんも、双子の姉妹。元演劇部の仲間4人で参加した。

 どくしょボードは、人と自然の調和を、穏やかな色合いで表現した。「人の心に隠れている、自然と共にありたい、という気持ちを呼び起こす。それがこの本の魅力だと気づきました」


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【どくしょ甲子園 過去の受賞作品】

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