朝日新聞社 どくしょ応援団朝日新聞社 どくしょ応援団
朝日新聞社 どくしょ甲子園 読書会を開いて、仲間と一緒に本を読み、みんなで語り合おう!その成果を1枚の作品「どくしょボード」で表現する高校生のコンクールです。

どくしょ甲子園 伝える深まる、本の世界 - let's 読書会、高校生!

第5回どくしょ甲子園・表彰式・選評

仲間と共に、本の世界へ 

 高校生による読書会コンクール「第5回どくしょ甲子園」(朝日新聞社・全国学校図書館協議会主催、文部科学省後援)の表彰式が1月31日、東京・浜離宮朝日ホールであった。応募396点の中から最優秀賞、優秀賞、奨励賞を受賞した全6チームに、選考委員の秋田喜代美(教育学者)、佐藤江梨子(女優)、平田オリザ(劇作家・演出家)、道尾秀介(作家)、森絵都(作家)のみなさんから、表彰状と記念の盾が手渡された。続くトークセッションも読書会や作品の裏話などで盛り上がった。

受賞者と選考委員のみなさん

受賞者と選考委員のみなさん


デジタル生かしデザイン性/「自分たちの言葉」探った跡

 選考委員の秋田さんは選考経過報告で、「今回の応募作品には二つの大きな特長が見られた」と評した。

 ひとつは、画像加工ソフトなどデジタル技術を活用し、デザイン性を高めた作品が多かったこと。もうひとつは、「自分たちの言葉」を模索した跡が随所に見られたことだ。

 その特長は、受賞の言葉を兼ねた各チームのコメントにも表れていた。

 中でも会場を驚かせたのは、平田さんが「小説の内容と自分たちの表現形式が見事に一致していた」と評した、最優秀賞の明治大学付属明治高・古和田チーム(伊藤計劃著『ハーモニー』)。「どくしょボード」の制作にあたり、100枚近くの写真を無機質な線画に加工して小説のイメージに近づけたと明かした。会場では、作品の世界観を動画で上映した。

 優秀賞2校のうち滝川第二高・山本チーム(O・ヘンリー著『賢者の贈り物』)は「原書や伝記、日本語訳を何冊も読み比べた」ことが、「作者に寄り添っている」と森さんが指摘した出来栄えにつながった。

 東京成徳大学高・松岡チーム(M・エンデ著『モモ』)は、「時間泥棒」の解釈をめぐり話し合いを重ねた。リーダーの松岡武さんが「作家志望だ」と夢を語ると、道尾さんら選考委員からエールが。佐藤さんの「がんばって!」に頰を赤らめた。

奨励賞は3校。東京都立工芸高・汲田チーム(いしいしんじ著『トリツカレ男』)は「アートクラフト科の学生なので」と立体作品にこだわった背景を紹介、湘南白百合学園高・折橋チーム(芥川龍之介著『蜜柑〈みかん〉』)は「意見が合わない氷河期のような時期もあった」と打ち明け、石川県立金沢錦丘高・南野チーム(本谷有希子著『嵐のピクニック』)は「何だこの小説は?!で始まり、閲覧注意な本だという結論で一致した」と、白熱した読書会を振り返った。

 (ライター・安里麻理子 写真家・御堂義乗)



※読書会の普及を目的に国民読書年の2010年から開催してきた「どくしょ甲子園」ですが、今回をもっていったん幕を閉じます。様々な形で関わっていただいたみなさまに心よりお礼申し上げます。

▲TOPへ戻る

 

第5回どくしょ甲子園 選考委員の選評

■ 独自の論点 工夫光るボード      選考委員 秋田喜代美

 今回の受賞作はどのように決まったのか。選考委員を代表して秋田喜代美さんに講評してもらいました。

 デザインや読書会ルポにも多様な工夫を凝らしたボード群。過去の受賞作品に学びつつ独自のボード作りに挑む姿も見られた。委員2人の交代で、これまでにない展開も予想されたが、はからずも意見は一致。5回中最も短時間で授賞が決まった。

 最優秀賞に輝いた明治大学付属明治高・古和田チーム『ハーモニー』は、構図の独自性、長編を読み通し、読書会でなければ考えないであろう、わたしの「意識」を追究した過程が認められた。

 優秀賞2作品もこれと甲乙つけがたい出来栄えだった。東京成徳大学高・松岡チーム『モモ』は、時間というありふれた議論を超え、自由と束縛という独自論点を見つけて語り合い表現した点が高く評価された。滝川第二高・山本チームの『賢者の贈り物』は、英語原文と複数対訳本の間での表現の差異を探究。キャッチコピーも練り直し、言葉選びにこだわった姿勢が認められた。

 東京都立工芸高・汲田チーム『トリツカレ男』のボードは多様な布や紙、毛糸などを使用し、頭の中をイメージした構図に皆がトリツカレた。湘南白百合学園高・折橋チーム『蜜柑』は、文中の視覚、聴覚、嗅覚の描写を取り上げる独自の視座が委員の心を動かした。

  石川県立金沢錦丘高・南野チーム『嵐のピクニック』は母校出身作家に挑戦。実感のこもった語りから作品世界への想像を広げていったことが伝わってきた。

 高校生読書の可能性を感じた選考会だった。

▲TOPへ戻る


■ 選考委員のみなさん

秋田喜代美さん(教育学者)

■秋田喜代美さん(教育学者)


 あきた・きよみ
 東京大学大学院教授。1957年生まれ。日本保育学会会長、日本読書学会会長。著書に『学びの心理学』、『絵本で子育て』(共著)など。


佐藤江梨子さん(女優)

■佐藤江梨子さん(女優)


 さとう・えりこ
 1981年生まれ。98年、ドラマ「美少女H」でデビュー。映画、CM、舞台でも活躍。趣味は読書と映画。共書に『TOROIS トロワ』など。


平田オリザさん(劇作家・演出家)

■平田オリザさん(劇作家・演出家)


 ひらた・おりざ
 1962生まれ。劇団「青年団」主宰。「東京ノート」で岸田國士戯曲賞。昨年、高校演劇を題材にした初の小説『幕が上がる』刊行。


道尾秀介さん(作家)

■道尾秀介さん(作家)


 みちお・しゅうすけ
 1975年生まれ。『光媒の花』で山本周五郎賞、『月と蟹』で直木賞。ほかに、『向日葵の咲かない夏』『鏡の花』


森絵都さん(作家)

■森絵都さん(作家)


 もり・えと
 1968年生まれ。『カラフル』で産経児童出版文化賞、『風に舞いあがるビニールシート』で直木賞。近著に『気分上々』など。



受賞作一覧 ※クリックすると作品をご覧いただけます


【最 優 秀 賞】   明治大学付属明治高校(東京都) 古和田チーム 伊藤計劃著 『ハーモニー』
【優 秀 賞】   東京成徳大学高校(東京都) 松岡チーム M・エンデ著 『モモ』

          滝川第二高校(兵庫県) 山本チーム O・ヘンリー著 『賢者の贈り物』
【奨 励 賞】   東京都立工芸高校 汲田チーム いしいしんじ著 『トリツカレ男』
          湘南白百合学園高校(神奈川県) 折橋チーム 芥川龍之介著 『蜜柑』
          石川県立金沢錦丘高校 南野チーム 本谷有希子著 『嵐のピクニック』
学校賞は、応募点数、作品のできばえ、取り上げた本の多様さなどを基に、主催者で選考しました。今回は次の2校に贈ります。
【学 校 賞】   相模女子大高等部(神奈川県) 大阪市立工芸高校

▲TOPへ戻る


【どくしょ甲子園 過去の受賞作品】

【どくしょ甲子園 応募要項】

【→ 読書会へのアドバイス】

【→ どくしょボードのつくりかた】

【どくしょ甲子園 関連記事】