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池上彰さん、増田ユリヤさん 米大統領選、「嫌われ者」の対決

 11月8日火曜日はアメリカ大統領本選の投票日。『徹底解説!アメリカ 波乱続きの大統領選挙』(ポプラ新書)を出版したジャーナリストの池上彰さんと増田ユリヤさんが、先月、東京・浜離宮朝日小ホールで、予備選の取材や分析を通して、今回の選挙戦を「徹底解説」した。

◆ これまでと違う構図 読み解く

池上彰さん

池上彰さん=恵原弘太郎撮影

 7月末、米大統領選候補者を指名する全国党大会。共和党はドナルド・トランプ、民主党はヒラリー・クリントンが選ばれた。「熱狂的にヒラリーと叫ぶ映像を見ましたか? 周囲は白けていましたよ」と池上さん。今回の選挙戦はこれまでと違う構図が見える。

 「ヒラリー」で思いつく言葉を聞くと、「ライアー、うそつき」。一方トランプ支持を表明すれば馬鹿にされる……。「今回の特徴は『嫌われ者同士の対決』、どちらがより嫌われているかで勝利が決まる」と増田さん。

 では支持しているのは誰か。増田さんはニューヨーク州の共和党予備選前に秘密裏に開かれた「ドナルド・トランプ戦略会議」に「潜入」。ハーバード大出身などを含めた十数人が集まったという。高学歴者の家族には民主党支持者が多い。だから家族にもカミングアウトできない。

 トランプ支持者は白人の労働者階級と言われていた。差別用語などの言葉狩りはもういい、と思っている高学歴者たちの支持が広がり、ふたを開けたらトランプ圧勝。支持者が党員として登録したため、結果的に共和党員が増えた。「いわば共和党は乗っ取られた」と池上さんはいう。背景には、「決められない政治」に対する不満があった。「うんざりしていたときにトランプが出てきた」と池上さんは解説する。

増田ユリヤさん

増田ユリヤさん=恵原弘太郎撮影

 一方、ウォール街のヒラリーの事務所。元弁護士の女性や「グーグルで検索すれば私のことはわかりますよ」という科学者がボランティアをしていた。支援者に金満政治への批判について聞くと「お金? かかりますよね、政治は」と答えたと増田さんは報告する。

 ヒラリーには健康不安や国家機密の個人メール使用問題、トランプにはイラク戦争で戦死した米兵遺族への中傷など、2人とも嫌われる理由に事欠かない。11月の本選の行方はまだ見えてこない。

 負けはしたが、民主党バーニー・サンダースの予備選では、若者が熱狂し、投票権を持たないのに、遠くから応援に来ていた。「このエネルギーはなんだろう?」。トランプの集会でも同様だ。遠路をものともせず、応援に駆けつける。「選挙のルールが複雑だから、応援する候補者を当選させるには、票を掘り起こさねばならない。それがボランティア。そのエネルギーがどう生かされるかで結果が変わる」。支援者たちを取材してきた増田さんは、「うらやましい」と表現した。

 池上さんは「自分たちの代表を出すという民主主義のすばらしさが見える一方、ポピュリストでも支持を得れば党の大統領候補になり得るという民主主義の強さと弱さの両方を感じた。それがアメリカ」だという。日本にも影響は大きい。「日米関係はどうあるべきかを問う問題でもあります」と私たちに突きつけた。

(岡恵里)



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徹底解説!アメリカ

『徹底解説!アメリカ』
[著 者] 池上彰、増田ユリヤ
[出版社] ポプラ新書
[価 格] 864 円

伝える力

『伝える力』
[著 者] 池上彰
[出版社] PHPビジネス新書
[価 格] 864 円

新しい「教育格差」

『新しい「教育格差」』
[著 者] 増田ユリヤ
[出版社] 講談社現代新書
[価 格] 778 円

 

 ▼プロフィール
 いけがみ・あきら 
 ジャーナリスト。1950年長野県生まれ。名城大教授。
 NHK記者出身で、「週刊こどもニュース」の初代「お父さん」。『伝える力』『池上彰の世界の見方 アメリカ』など著書多数。


 ますだ・ゆりや 
 ジャーナリスト。1964年神奈川県生まれ。国学院大卒。
 高校で歴史、現代社会を教えながらNHKラジオなどのリポーターを務めた。著書に『新しい「教育格差」』など。


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