朝日新聞社 どくしょ応援団朝日新聞社 どくしょ応援団
朝日新聞社: 10代の読書会 オーサービジット校外編
バックナンバーはこちら

 

「あっと驚く天狗の道具」 森見登美彦さん


 10代のための読書会「オーサー・ビジット校外編」(主催・朝日新聞社、出版文化産業振興財団)の第21回が、作家の森見登美彦さんを迎え、京都市・メルパルク京都で開かれました。森見さんの作品『有頂天家族 二代目の帰朝』を読んできた中1~大学2年までの参加者51人は、世代別の班に分かれ、読書会に臨みました。


参加者と話す森見さん

参加者と話す森見さん

 「私、森見オタクなの。森見さんの本ばっかり読んでる」「複数の小説に共通する人物が出てくるけど、同じ人なのかな」

 校外編は八つのグループに分かれての読書会からスタート。初対面だけど、森見登美彦さんの大ファンという共通点がある。すぐに打ち解けて、なぜ好きなのか、お気に入りの登場人物は誰か、話が盛り上がる。会話が楽しいのは、読み込んでいなければ分からないところもすぐに通じるからだ。

 途中から森見さんも各グループを回ってくれる。「何か聞きたいことはある?」と森見さんがたずねると、「なぜいつも京都が舞台なんですか」と男子高校生が質問。「自分がよく知っている場所にしようと思ったんだよね。それに京都はファンタジーの舞台としても書きやすい。でも、僕の妄想も乗せてるから、実際の京都とは違うんだよね」という答えに、「ほーっ」という声が上がる。

 課題図書『有頂天家族 二代目の帰朝』の質問が多かったのは大学生グループ。『有頂天家族』シリーズは、ふだんは「腐れ大学生」に化けているタヌキの矢三郎を中心に一癖も二癖もあるタヌキや天狗(てんぐ)たちが活躍する小説だ。質問の中には小説に登場する「弁天と海星、どっちの女性とつきあいたいですか」なんていうものも。「弁天さんとはつきあいたくないなぁ。僕が弁天さんを書くのは小説の中だけでも弁天さんのように人を振り回してみたいからかもしれないね」と森見さんは笑う。

 後半は森見さんからのサプライズ課題「天狗の道具をグループで考える」。とまどう参加者に「ぜんぜん違うものを結びつけて和風テイストを加えるといい」と森見さんがアドバイス。その言葉がヒントになったよう。

 「京都っぽいものがいい?」「思いついた道具を書き出そうよ」「絶対に役に立たないものがいいよ」

 休憩時間もそこそこに話し合う。まるで森見さんの執筆に参加している気分だ。

森見さんの前でグループごとに課題を発表する

森見さんの前でグループごとに課題を発表する

 発表の時間になった。さすが森見ファンの参加者たち。酒瓶に地獄の火の玉を入れて、好きなときに出せる「全手動酒乱火の玉」や見た目は普通でも高さを自由に変えられ、火がおこせるゲタ、「どこまでも伸びる箸」はつまみぐいしようとしても、どこまでも伸びるから自分の口に入れられない……。ユニークな道具ばかりだ。

 「どれもおもしろくて、自信をなくしたなあ。自分の考えるようなことは、みなさん、考えているなと、若干へこんでます」と森見さんも感心しきりだ。

 最後は質疑応答。「小説を書こうと思ったきっかけは?」「弁天にモデルはいるんですか?」などずっと聞きたかった質問が次々に出る。あっという間にそろそろ終了の時間。小説の雰囲気そのままに一つひとつの質問にユーモアを交えながら、丁寧に答える森見さんの姿に触れ、名残を惜しんだ。

(ライター・角田奈穂子 写真家・桑原英文)

【→サプライズ課題&みんなで取り組んだ課題発表のようすはこちら】


読書会を終えて

 乾真裕子さん(高3)
 「学校で話せない本の話がたくさんできました。こんな話をもっとしたい」

 村上翔さん(大1)
 「京都の大学に進むきっかけを作ってくれた森見さんに質問できて感激です」

 森見さん
 「天狗の道具が面白かった。僕の本に出会ってくれて、遠慮せずに質問してくれたのもうれしかった。これからも好きな本にたくさん出会って欲しい」


森見登美彦さんの本

有頂天家族 二代目の帰朝

『有頂天家族 二代目の帰朝』   
[出版社] 幻冬舎
[価 格] 1,836円

有頂天家族

『有頂天家族』
[出版社] 幻冬舎文庫
[価 格] 741円

太陽の塔

『太陽の塔』
[出版社] 新潮文庫
[価 格] 497円

ペンギン・ハイウェイ

『ペンギン・ハイウェイ』
[出版社] 角川文庫
[価 格] 691円

聖なる怠け者の冒険

『聖なる怠け者の冒険』
[出版社] 朝日新聞出版
[価 格] 1,728円

 

▲このページのTOPへ

 

朝日新聞 インフォメーション 通常版 ベルマーク版