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朝日新聞社: 10代の読書会 オーサービジット校外編
森見登美彦さんの記事へ

 

読書会の最中、森見さんから参加者にサプライズ課題が出された。

「たとえば「風神雷神の扇」とか「空飛ぶ奥座敷」みたいに、こんな「天狗の道具」があったらいいなあ、と思うものをグループで一つ考えてください。」

課題に取り組む参加者たち

課題に取り組む参加者たち

というもの。司会者からの課題発表に、一同ちょっとしーんとなる。

そこに森見さんが考え方のアドバイスをしてくれた。
「これとこれは結びつかない、というものを結びつけたり、あったら便利なもの、楽しいものや、あるいはこんなものあっても全然役に立たないっていうものを考えてみて。極端な考え方でも楽しい。和風のテイストを加えるといいんじゃないかなと思います」
ようやく参加者から「ああ」という安堵と納得の声が。それなら自分たちが知っている森見ワールドだ。

お任せとばかりに、次々書き出すグループ、メンバー全員でただひたすら課題本をめくり始めるグループ、取り組み方はさまざまだ。休憩時間もつぶして話し合い、イラストを描き、30分後、各グループが披露した「天狗の道具」とは――




Aグループ

Aグループ

見た目はすごく高さが高い、一枚ゲタです。高さが自由自在に変化します。
【使い方】歯が外れ、火が起こせる。
     赤玉先生が料理する時にも使った。
     鼻緒を引くことで、水上スキーのように水の上を滑ることもできる。
【材 質】京都・熊野神社の魔王杉の枝を使って作られる。
【歴 史】赤玉先生vs.二代目の戦いにおいて、赤玉先生が使用。
    ずっと使っていたが、墜落以降、使用不能に。
    いまはうまくバランスが取れないということで、岩屋山金光坊が所有(預かっている)


Bグループ

Bグループ
「どこでも四畳半」といって、ひょうたんの中に四畳半と万年床が入っている代物。
人を吸い込むことができます。
どういうときに使うかと言えば、くつろぎたいときに入ったり、赤玉先生に入ってもらって持ち運んでお風呂に連れて行けば、赤玉先生がちょっとはきれいになります。

そのほか「地獄のお土産のストラップ」、ボタンを押すと鬼の声が再生される、というようなアイデアも出ました。



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Cグループ

 

「天狗の風呂敷」。大きさが自由に変わります。
かぶると透明になり、「これで弁天をさらいました」(きっぱりと言い切る発表者に、思わず参加者たちから笑いが)。
なぜさらえたかというと、何でも包むことが出来て、空も飛べるからです。
弱点は雨に弱いこと。いまは弁天の持ち物になっていて、弁天が思い出したように鼻をかんでいます。


Dグループ

Dグループ
名前はないけれど、弓矢。

恋のキューピッドが持っているので、撃った人を好きにさせるのですが、もし自分と相思相愛の相手に撃ってしまうと、相手が心変わりしてしまうので、もしかしたら相手も自分を好きかもしれないと思ったら撃てないというという扱いにくい代物です。

弓の弦が天狗の髪の毛で出来ているので、切れたら修繕がむずかしい。赤玉先生に使っていただきたい!


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Eグループ

 

一つは平等院鳳凰堂で、年一回の京都の時代祭のとき、時代の扮装をした人たちはタイムスリップしてこの池から出てきます。
もう一つは小物の「天狗松」。枝だけの松の木があって、根本に赤玉ポートワインを注ぐと、部屋中の狸の毛が松の葉のように集まってくる。それで赤玉先生の部屋の掃除をします。


Fグループ

 

たくさん考えたので、紹介します。
「二度寝を支援してくれる枕」。起きても暗いので、まだ寝られると思って何度でも寝られる。
「どこまでも伸びるお箸」。つまみ食いしようとしても、戻す時にどこまでも伸びるので、食べられない。

「文章を音読してくれる人形」、これは弁天の声で読んでくれます。
「お酒の湧く金魚鉢」。呑んでも呑んでも減らないが、金魚を食べてしまったらもうお酒が湧いてこない。
「持った人の心を読み上げる笏(しゃく)」、渡されたら思っていることを勝手に笏がしゃべります。

「歩くとトラの鳴き声ががするゲタ」、これを履いたままダッシュしたら、たぶん天狗も驚きます!
「挿した人の匂いが赤玉先生に伝わるかんざし」、弁天さんが挿したら髪の香りが赤玉先生に伝わります。ちょっと変態チックな……。
「めくってもなくならない日めくりカレンダー」、天狗はとても長い時間を過ごしているので。
「理想の姿を映す鏡」、いまこうでありたいと思う姿を映してくれます。


★ Fグループから森見さんへ 「どれが一番気に入りましたか?」

森見さん

 「ぼくはね、『どこまでも伸びるお箸』。意味のない感じが好きかな」


Gグループ

Gグループ
「全手動酒乱火の玉」です。
どういう代物かといいますと、赤玉ポートワインや偽電気ブランの空き瓶に弁天様が地獄で獲った鬼の角を入れて振ります。すると火の玉が出てきます。どの酒瓶に入れたかで、火の玉が変わります。赤玉ポートワインの瓶なら甘いのでピンクっぽい火の玉というように。振る時間により火の玉の出る時間が調節出来たら面白い。
冥土からの招待状が手違いで届かない長老たちを驚かすのに使ったり、不老不死のプロフェッショナルな狸谷不動のお祖母ちゃんに向けて打ってみる、金閣・銀閣兄弟を驚かすのに使ってみたり。


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Hグループ

Hグループ
私たちが考えたのは「緋恋鏡(ひれんきょう)」という眼鏡です。
かけると探し求めているものまでの道筋を教えてくれます。
たとえば財布をなくした人がこれをかけると、財布までの道筋を教えてくれます。
狸が恋人探しに使ったりしていると、そのうちこの緋恋鏡自体をなくして、結局どこにあるのかわからないということに。
将来の結婚相手を知りたい時などにも使えます。


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講評

森見さん
「いやあ、思いがけずどれもおもしろくて、自信をなくしたというか。なんや、自分の考えるようなことは、みなさん、考えているやんと、若干へこんでました。
 なんとなく無意味感のあるようなものが好きですねえ、『天狗の風呂敷』や『どこでも四畳半』。『天狗松』もいいですよねえ、こういうどうでもいいようなのが……」。


司会者
「森見さんはどのように考えつくのですか? 先に字面があって考えるのか……」


森見さん
「出発点はいろいろです。字面を先に思いついて、それはどういう道具なのか、誰が持っているのかで考えることもあるし、自分がこういうのがあったらと考えて、名前をつけることもありますね」


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