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10代、こんな本に出会った 時代を読む この3冊 キャンパス発 気になる新刊 読書クラブ通信 ひとりごと

 

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10代こんな本に出会った

 

司馬遼太郎『国盗り物語』 サッカー元日本代表主将・宮本恒靖さん

サッカー元日本代表主将・宮本恒靖さん

生死かけた闘い、重ね合わせた

 サッカーに目覚めたのは小学4年生の時。ワールドカップ・メキシコ大会が開かれた年で、マラドーナ選手に夢中になったのがきっかけです。

 本格的に始めたのは中学のサッカー部に入ってから。当時はJリーグ発足前で、両親も応援に熱心という感じではなく「サッカーを続けたければ勉強しなさい」と、よく言われました。

 親も子どもの将来が心配だったんでしょう。サッカー部が関西大会に勝ち進むほど強くなり、僕自身もっと上に行きたいと真剣に考え始めていたので。でも、それで食べていける保証はないですから。

 本で好きだったのは歴史小説やノンフィクションです。

 斎藤道三や織田信長ら群雄が割拠する『国盗り物語』(司馬遼太郎著、全4巻・新潮文庫)。石田三成と徳川家康の確執を描いた『関ケ原』(同、全3巻・同)。どちらも戦国武将を生々しく感じることができて面白かった。

大学のキャンパスで(本人提供)

大学のキャンパスで(本人提供)

 外洋ヨットレースで遭難、ニュースにもなった『たった一人の生還「たか号」漂流二十七日間の闘い』(佐野三治著、ヤマケイ文庫)は、極限を体験した人だけが語れる言葉に衝撃を受けました。

 今考えると、生死を賭けた闘いの中で人は何を考えるのか、知りたくて読んでいたかも。サッカーの、守るか攻めるかの場面で感じていた、神経がヒリヒリ研ぎ澄まされていく感覚に重ね合わせて。

 本を読む時は「今日はここまで」と決めていました。何事もダラダラは苦手。TO DOリストを作り、計画通り進めたいタイプ……なんですが、サッカーにしても人生にしても意外な時に新しい展開がある。そういう成り行きを楽しんでいる自分もいます。

 Jリーグが発足したのは高2の時。僕はガンバ大阪の門をたたきました。一方、将来の守りとして大学受験もしました。プロとして世界を攻めていく覚悟ができたのは、日本代表に選ばれてからです。

 そして今年初めて、選手の立場を離れてワールドカップを観戦します。より深くサッカーを学びたい、そう思いFIFAマスターの資格を取って、マネジメント目線も強くなりました。新しい自分とこれからの日本サッカー、共に成長できれば嬉しいです。

(ライター・安里麻理子 写真家・吉永考宏)


国盗り物語〈1〉斎藤道三〈前編〉

国盗り物語〈1〉斎藤道三〈前編〉    
司馬 遼太郎
[出版社]新潮文庫
[価 格]810円

関ヶ原〈上〉

関ヶ原〈上〉
司馬 遼太郎
[出版社]新潮文庫
[価 格]810円


たった一人の生還―「たか号」漂流二十七日間の闘い

たった一人の生還
―「たか号」漂流二十七日間の闘い

佐野 三治 (著)
[出版社]新潮文庫
[価 格]950円

 

おすすめは

 徳川300年の歴史が閉じる時、藩の存続を賭け「武装中立」という自衛策に打って出たサムライがいた――。『峠』(司馬遼太郎著、新潮文庫・全3巻、680~853円)は、一介の武士から越後長岡藩の家老に登り詰めた河井継之助を描いた歴史小説。志を全うした生き様には胸を打たれるものがあります。

 『ガンに生かされて』(飯島夏樹著、新潮文庫・529円)は、余命宣告されたプロウインドサーファーのエッセー。家族を残してこの世を去る飯島さんの心情を思うと、同じく子を持つ親として切ない。親子関係の見直しに役立つかもしれませんよ。


峠 (上巻)

峠 (上巻)               
司馬 遼太郎
[出版社]新潮文庫
[価 格]767円

ガンに生かされて

ガンに生かされて
飯島 夏樹 (著)
[出版社]新潮文庫
[価 格]529円


 ▼プロフィール
 みやもと・つねやす 1977年、大阪府生まれ。同志社大学卒。
 シドニー五輪、2回のW杯出場。著書に『日本サッカーの未来地図』(角川学芸出版)。


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