朝日新聞社 どくしょ応援団朝日新聞社 どくしょ応援団
10代の読書 ブックサーフィン
10代、こんな本に出会った 時代を読む この3冊 キャンパス発 気になる新刊 読書クラブ通信 ひとりごと

 

バックナンバーはこちら
10代こんな本に出会った

 

『西の魔女が死んだ』 歌手・May J.さん

歌手・May J.さん

後で気づいた、周りの人の支え

 ディズニー映画「アナと雪の女王」の日本版主題歌を歌わないか、とオファーが来たのは1年前。うれしい! でも私でいいの? という気持ちでしたね。というのも、18歳でデビューして7年目、渾身(こんしん)のアルバムを作ってもヒットチャートに定着しない。これ以上どう頑張ればいいのか、自信喪失していた時期でもあったから。

 歌手になると決めたのは、幼いころ見たミュージカル「アニー」がきっかけです。母にせがんで、ピアノ、ダンス、8歳になるとオペラを習わせてもらいました。すべては歌手になるため。遊ぶ時間を惜しむどころか、怠けることに罪悪感すら覚えました。

 『西の魔女が死んだ』(梨木香歩著、新潮文庫)は、14歳でレコード会社のオーディションに合格したものの、学校に芸能活動を禁じられて、がっかりしていた私に、当時の担当の方が贈ってくれた一冊です。

 主人公の「まい」は中学校の生活になじめず、イギリス人のおばあちゃんの家で暮らします。

 私も、母方の祖母がロシアとトルコの血を継ぐイラン人で、学校生活に息苦しさを感じることもあったので、「まい」に自分を重ねました。

10歳のころ(本人提供)

10歳のころ(本人提供)

 でも、その時は本を贈られた真意に気づかなかった。私も「まい」のように、周りの人に支えられていたのに。

 特別にテストを受けさせてもらい、高校から芸能活動ができるアメリカンスクールに転入できたのは、母と父の奔走のおかげです。なかなか芽が出ない現実に泣いた時も両親は私を否定しなかった。

 友達も、私を気遣ってくれていたと思う。「いい事も悪い事も現実になる、引き寄せの法則っていうのがあるんだよ」と『ザ・シークレット』(R・バーン著、山川紘矢・山川亜希子・佐野美代子訳、角川書店)を紹介してくれたのは19歳の時。そんなバカなと読み始めたら、物事は考え方次第と教えられた気がして愛読書になりました。

 自信喪失の時期に、思い切って人気番組のカラオケ得点対決に出演したのも、考え方次第だと思ったからです。私はプロの歌手なんだから、と猛練習して勝ち抜いた。

 努力は必ず誰かが見てくれていると信じて。これからも頑張ります。

(ライター・安里麻理子 写真家・吉永考宏)


西の魔女が死んだ

西の魔女が死んだ            ■
梨木香歩著
[出版社]新潮文庫
[価 格]464円

ザ・シークレット

ザ・シークレット
ロンダ・バーン (著)
[出版社]角川書店
[価 格]1,944円


おすすめは

 自分にしかないものってあるのかな。わからなくなった時は、『ザ・パワー』(R・バーン著、山川紘矢・山川亜希子・佐野美代子訳、角川書店・1944円)を。

 人は、自分の悪いところも含めて自分を愛することができるんですね。そんな人間の「愛」の強さが説かれています。

 『おおきな木』(S・シルヴァスタイン著、村上春樹訳、あすなろ書房・1296円)は、少年に求められるまま身を削っていく木の切ないお話。絵本でありながら奥が深く、子どもの幸せが自分の幸せという親の気持ちに重なって、涙です。


ザ・パワー

ザ・パワー              ■
ロンダ・バーン (著)
[出版社]角川書店
[価 格]1,944円

おおきな木

おおきな木
シェル・シルヴァスタイン (著)
[出版社]あすなろ書房
[価 格]1,296円


 ▼プロフィール
 メイジェイ 1988年、神奈川県生まれ。英語、ペルシャ語に通じるマルチリンガル。
 ニューシングル「本当の恋」(全4曲)9月10日リリース。


朝日新聞 インフォメーション 通常版 ベルマーク版