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10代、こんな本に出会った 時代を読む この3冊 キャンパス発 気になる新刊 読書クラブ通信 ひとりごと

 

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時代を読むこの3冊

【新しい「お金の常識」は】 津田大介

津田大介

 「半沢直樹」など、最近銀行を舞台にしたドラマがヒットしています。お金は我々が生きていく上でもっとも使用する頻度が高い「道具」。道具である以上、使い方を誤れば自分や他人にけがをさせてしまいますし、よく分からず使っているといつの間にかすり減ってなくなってしまうなんてこともあります。

 『この世でいちばん大事な「カネ」の話』(角川文庫など)は、著者の西原理恵子さんが幼い頃の貧困体験や社会人になったあと借金地獄に陥った経験を元に「お金を稼ぐことで人は自由になれる」「お金との接し方がその人の人間関係を形づくる」という、お金にまつわる重要な真理をわかりすい語り口で教えてくれる本です。そもそもお金を稼ぐことは悪いことか良いことか。お金を持つことで何ができるようになり何を失うのか。普段考えているようで深く考えないお金の本質を一から知ることができます。

 同書の最後で貧困にあえぐ世界中の人たちを救う希望の種として紹介されたマイクロファイナンス(小口金融)。慎泰俊(シンテジュン)さんの『ソーシャルファイナンス革命』(技術評論社)は、「お金の集め方の変化」が社会をどう変えているのか様々な事例から読み解いた本です。最新の金融システムが学べるだけでなく、我々が日常的に使うソーシャルメディアが人間関係を変え、それが金融システムをも変えていくSF小説さながらのワクワクする未来像が示されています。

 この2冊を読んだ上で「転ばぬ先の杖」として押さえておきたいのが『ニートの歩き方』(同、pha著)。たとえお金を稼げなくても人生を諦める必要はないし、自由になるための手段が今はお金以外にも多様化していることが分かります。

 人と人との絆は直接的にはお金にならないが、絆からはお金が生まれることがある――慎泰俊さんが自らの経験からたどり着いたこの結論は3冊に共通するテーマでもあります。

 「絆」とセットで「お金」のことを考える。これが21世紀を生きる我々が常に意識しておかなければならない新しい「お金の常識」です。

(ジャーナリスト)


この世でいちばん大事な「カネ」の話

この世でいちばん大事な「カネ」の話
西原理恵子
[出版社]角川文庫
[価 格]552円

ソーシャルファイナンス革命―世界を変えるお金の集め方

ソーシャルファイナンス革命―世界を変えるお金の集め方
慎 泰俊
[出版社]技術評論社
[価 格]1,598円


ニートの歩き方

ニートの歩き方
pha
[出版社]技術評論社
[価 格]1,706円


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