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10代、こんな本に出会った 時代を読む この3冊 キャンパス発 気になる新刊 読書クラブ通信 ひとりごと

 

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時代を読むこの3冊

【社会学で頭をほぐそう】 本田由紀

本田由紀

 「世の中がわけわかんなくなっていくような気がしませんか? そんな時ほど、「自分はわけがわかった人間だ」と思い込んでしまうことのリスクは高まります。常識や標準とみなされてきたことから逸脱するような出来事がどんどん起きているのに、古いそれらにしがみついていれば、頭は混乱し、対処は遅れるばかりだからです。

 固まった思考をもみほぐしたいなら、そこで社会学ですよ。私は社会学の端っこをうろついている者ですので、手前みそですが。それに「社会学こそわけわかんないよ!」と思われてるかもしれませんね。確かに、社会学は非常に柔軟です。でも、めちゃくちゃなわけではなく、長い歴史の中で、核となる考え方や、様々な道具を鍛えてきた学問でもあるのです。

 社会学に関心をもってくれた方たちへの朗報は、最近、面白くてわかりやすいテキストが豊富に刊行されていることです。たとえば、金菱清『新 体感する社会学』(新曜社)では、たくさんの具体的な事例(マンガや映画を含む)と、ひねりの利いたクイズとともに、「悪夢」「魔力」「受苦」など、一般的な社会学の教科書にはないようなテーマが縦横に論じられています。偉そうな外国の社会学者は出てきませんが、巻末には文献がきちんと示されています。

 また、好井裕明『違和感から始まる社会学』(光文社新書)は、「フィールドワーク」や「エスノメソドロジー」など質的な調査方法に焦点を絞り、社会がいかにして一瞬ごとに作り上げられているかについて、読む者の感度を刺激してくれます。新書ですので手に取りやすい。

 そしてもう1冊は、船津衛他編著『21世紀社会とは何か』(恒星社厚生閣)です。これは前の2冊よりも歯ごたえのある本ですが、タイトル通り、私たちの現在を様々な角度から読み解く試みです。たとえば第3章は「社会地図」、第8章は「まなざし」、第13章は「病いの物語」について。魅力的でしょう?

 さあ、どうぞみなさんも、社会学的思考のお仲間になりましょう。

(東京大学教授〈教育社会学〉)


新 体感する社会学―Oh! My Sociology (新版)

新 体感する社会学
―Oh! My Sociology (新版)

金菱 清 (著)
[出版社]新曜社
[価 格]2,376円

違和感から始まる社会学 日常性のフィールドワークへの招待

違和感から始まる社会学
日常性のフィールドワークへの招待

好井 裕明 (著)
[出版社]光文社新書
[価 格]886円


21世紀社会とは何か―「現代社会学」入門

21世紀社会とは何か―「現代社会学」入門
船津 衛 (著, 編集)
山田 真茂留 (著, 編集)
浅川 達人 (著, 編集),
[出版社]恒星社厚生閣
[価 格]2,484円


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