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10代、こんな本に出会った 時代を読む この3冊 キャンパス発 気になる新刊 読書クラブ通信 ひとりごと

 

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時代を読むこの3冊

【ネット依存、危うい時代に】 佐藤優

佐藤優

 パソコンやスマホでインターネットを利用することができる便利な時代になりました。しかし、そこには依存症という大きな危険があります。精神科医の岡田尊司氏は、「インターネット・ゲーム依存症は、覚醒剤や麻薬と同様、ひとたび取り憑(つ)かれてしまうと、生涯続く嗜癖(しへき)となり、その人の人生を蝕(むしば)み続ける。それは、まさに『現代の阿片(あへん)』による、阿片禍というべき事態なのである」(『インターネット・ゲーム依存症』文春新書)と警鐘を鳴らします。本書には、岡田氏が直接、治療に関与した具体的な事例がたくさん出ています。大人が「ITに若いうちから慣れておくのが重要だ」と考え、スマホを買い与えることで子どもや孫を依存症にしてしまうような悲劇を避けなくてはなりません。

 兵庫県立大学准教授の竹内和雄氏は『スマホチルドレン対応マニュアル』(中公新書ラクレ)で、スマホに関連し、児童生徒が抱える可能性のある問題について具体的に論じています。竹内氏は「重篤な依存症に陥っている場合や、いくら話し合っても平行線をたどる場合も実際には多々あります。そういう場合に大事なのは当事者である親たちだけで抱え込まず、学校の先生やカウンセラー、ときには児童相談所などに積極的に相談する姿勢を持つことです」と強調します。さらに早い段階から精神科医の診察を受けることも重要と思います。

 現実問題として、児童生徒がパソコンやスマホにまったく触れないということは考えられません。愛知県の金城学院中学校高等学校は、『中高生のためのケータイ・スマホハンドブック』(学事出版)を作成しています。深谷昌一校長が、「この本はケータイ・スマホの便利さとともに、そのかげに潜むリスクを論じることで、それらとどのように向き合えばよいかを高校生の立場から考えたものです」と記しているように、金城学院高等学校の生徒有志が作成したガイドブックです。外からの規制に頼るのではなく、自らインターネットによるコミュニケーションの持つ正と負の両面について真面目に考えています。

(作家・元外務省主任分析官)


インターネット・ゲーム依存症―ネトゲからスマホまで

インターネット・ゲーム依存症       ■
―ネトゲからスマホまで

岡田 尊司【著】
[出版社] 文春新書
[価 格] 885円

スマホチルドレン対応マニュアル―「依存」「炎上」これで防ぐ!

スマホチルドレン対応マニュアル
―「依存」「炎上」これで防ぐ!

竹内 和雄【著】
[出版社] 中公新書ラクレ
[価 格] 864円


中高生のためのケータイ・スマホハンドブック

中高生のためのケータイ・スマホハンドブック
今津 孝次郎【監修】
金城学院中学校高等学校【編著】
[出版社] 学事出版
[価 格] 648円


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