どくしょ応援団

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読みきかせ応援団

ママ・パパ・祖父母向け、おすすめ本を紹介

蜜月10年「絵本の時間」 父母発、広がる世界

 わが子と一緒に絵本を開くひととき、楽しんでいますか。育児真っ最中のバイオリニスト高嶋ちさ子さん、3人の子に10年以上にわたって読み聞かせをした教育学者の汐見稔幸さんに、「絵本の時間」を聞きました。また、家事に仕事に忙しいお母さん、子どもと向き合うのに戸惑うお父さん、孫と豊かな時間を過ごしたい祖父母のみなさん、それぞれに向けて、「きっと読み聞かせが楽しくなる本」を、絵本選びの達人3人に選んでもらいました。

ママ編
バイオリニスト・高嶋ちさ子さん「読むふりして作り話しも」
絵本ナビ編集長・磯崎園子さん「お母さん応援本を選びました」
パパ編
教育学者・汐見稔幸さん「僕の子育て中の『武器』でした」
ファザーリング・ジャパン代表理事・安藤哲也さん「お父さんの得意分野がいかせる本」
祖父母編
翻訳家・間崎ルリ子さん「親とは違う大人が登場する本」
アスパラアンケート
読み聞かせ ママの24%が「毎日」

◆僕の子育て中の「武器」 教育学者・汐見稔幸さん

 大学院生の時に生まれた長女を筆頭に、3人の子育てをしました。まるで知識がなかった僕の「武器」になったのが絵本。子どもたちが保育園に通っていた13年間、毎晩のように読んで聞かせました。

 長女は次から次へと別の絵本を持ってくるし、すぐ下の長男は「もいっかい、もいっかい」と同じ絵本をせがむ。疲れていて手を抜くと「もっとゆっくり!」なんてダメ出しされて。多忙なあのころは半分義務感で読んでいたけれど、子どもが巣立っていった今、僕自身がもっと楽しめばよかったなあ、と思うことがあります。

 かつては、おばあちゃんが昔話を語ってくれたものです。囲炉裏端にみんなを集めて、「むかぁーし、むかし……」と始めると、子どもたちは物語の世界にすうっと入っていく。そして、お話の世界を旅して、最後に「悪者は食べられちゃったとさ。おしまい、おしまい」といったひと言で、「ああ、よかった〜」と現実の世界に戻ってくる。

 子どもたちは物語の世界を体験しながら、えたいの知れないものへの恐怖を解消したり、「正しいことをすれば幸せになる」「うそをついてはいけない」といった、生きていく上での最低限のモラルを身につけたりした。今はその役目を、絵本と、それを読み語る親が担っているのです。

 いい絵本は、大人の心も揺さぶります。特に男性は、感性とか人生観とか、ちょっと哲学的なことを読みとって感激したりする。

 僕は、C・ゾロトウの『かぜは どこへいくの』(H・ノッツ絵、松岡享子訳、偕成社)が心に残っています。坊やの「どうして? なんで?」に母親が答えていく単純なお話ですが、大人の僕には、何千年、何万年と連綿と続いてきた命の不思議や、人生を一歩一歩前に進んでいく人間のいとおしさが感じられたのです。

 お父さんが選ぶ絵本は、お母さんが選ぶのとはきっと違ってくる。父と母、両方の価値観を体験すれば、子どもの世界はぐんと広がるはずです。

 喜んでお話を聞いてくれる蜜月は10年もありません。その幸せな時間を逃すのはもったいない。「今日はお父さんが読んでやるぞ!」なんて言ったら子どもは驚くかな。でもきっとお母さんとは違う物語の世界に、つぶらな瞳を輝かせてくれるでしょう。

 (聞き手・中津海麻子 写真・吉永考宏)

『かぜはどこへいくの』
作:
S・ゾロトウ
出版社:
偕成社
価格:
¥1,050(税込)
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しおみ・としゆき

 1947年生まれ。白梅学園大学学長。3人の子(33歳、28歳、25歳)の育児体験から父親の育児参加を呼び掛ける。


◆NPO法人ファザーリング・ジャパン代表理事の安藤哲也さん

 「何を読めばいい?」「ママみたいに上手に読めないよ」と悩むお父さんは多い。でも、父親が活躍できる絵本ってあるんです。乗り物が好きとか、虫に詳しいとか、得意分野を生かして子どもと盛り上がれる。そんな5冊を選んでみました。

(聞き手・中津海麻子)


『わゴムはどのくらいのびるかしら?』
 わゴムのはしをベッドに引っ掛け、坊やは家の外へ。自転車に乗り汽車に乗り、ついにはロケットで月へ! 汽車なら「ガタンゴトーン」、ロケット発射の場面ではカウントダウンするなど、効果音を入れると盛り上がります。(M・サーラー文、J・ジョイナー絵、岸田衿子訳、ほるぷ出版・1260円、2〜3歳から)
 
文:
M・サーラー
絵:
J・ジョイナー
訳:
岸田衿子
出版社:
ほるぷ出版
価格:
¥1,260(税込)
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『ピッツァぼうや』
 雨降りで退屈している息子を見て、お父さんは坊やでピッツァを作ろうと思いつく。坊やをテーブルの上に乗せ、こねたり、小麦粉に見立てたベビーパウダーを振りかけたり。読み終わったら親子で「ピッツァごっこ」にトライしてみては?(W・スタイグ作、木坂涼訳、セーラー出版、1575円、3歳ぐらいから)
 
作:
W・スタイグ
訳:
木坂涼
出版社:
セーラー出版
価格:
¥1,575(税込)
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『これがほんとの大きさ!』
 出てくる絵は全部実物大。世界最大のガの絵を見ながら「お前の頭に止まったらどうする?」、オーストラリアの巨大ミミズを「こいつがもし背中に入ったら……」なんて言うと、子どもたちは「キャー!」「やだ〜」と大騒ぎ。(S・ジェンキンズ作、佐藤見果夢訳、評論社・1680円、4〜5歳から)
 
作:
S・ジェンキンズ
訳:
佐藤見果夢
出版社:
評論社
価格:
¥1,680(税込)
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『パパがサーカスと行っちゃった』
 サーカスが大好きなパパが街にやってきたサーカス団と一緒に行っちゃった! コミカルで破天荒なお話だけど、離れていても親が子どもを思う気持ちは変わらないんだなぁと、ジーンとします。(E・キャロット文、R・モエダン絵、久山太市訳、評論社・1470円、4〜5歳から)
 
文:
E・キャロット
絵:
R・モエダン
訳:
久山太市
出版社:
評論社
価格:
¥1,470(税込)
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『ウェン王子とトラ』
 わが子を人間に殺された憎しみから、村を襲う母トラ。困り果てた王に占師は「王子をトラにさしだせば平穏がおとずれる」。幼い王子はトラの下で強く優しい少年に育つが……。種を超えて生まれるきずなを描き、切ない。BGMにブルースをかけると珠玉の映画を見るような感動が。(C・ジャンホン作絵、平岡敦訳、徳間書店・1995円、小学4年ぐらいから)
 
作・絵:
C・ジャンホン
訳:
平岡敦
出版社:
徳間書店
価格:
¥1,995(税込)
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あんどう・てつや

 1962年生まれ。2006年に父親の育児を支援するファザーリング・ジャパンを設立。12歳、9歳、1歳の子育て中。