JSEC2014の審査講評                                          審査委員一覧

■総評

 全国の126校から合計221件の応募がありました。うち個人研究は83件、チーム研究は138件であり、個人研究が増加しつつあります。高校での自由(課題)研究を通した教育が一層奨励されている結果と思われますが、今年も応募作品のレベル向上には目を見張るものがありました。しかし一方で、研究報告の書き方として、例えば、図や写真の説明が不十分で正確に理解しにくい作品や、文献の引用が漠然とし本文中の「どの記述」について引用したのか特定できていない作品等が見受けられました。できるだけ研究結果を誤解無く一義的に読者に伝えられるように書き方、図の作り方、その説明の仕方を工夫してほしいと思います。

 予備審査、一次審査による2段階審査を経て30件の研究(優等賞作品)が最終審査にのぞみました。これら30作品の研究分野を高校の主要科目を参考にして大きく分類をすると、物理・天文系(工学系応用物理等を含む)が4件、化学系(環境化学等を含む)が8件、生物系(細胞・分子生物学等を含む)が8件、地学系(地球惑星科学、環境系を含む)が4件、数学・コンピューター科学系が6件でした。また、これらのうち個人研究は10件、チーム研究は20件であり、やはり個人研究の割合が次第に増加しつつあります。

 これら30作品のポスタープレゼンテーションによる質疑応答を通して「自分自身がどこまで研究を掘り下げて考えているか、どのような工夫をしているか、今後の発展性や人類・社会等への貢献をどのように考えているか」を含め様々な観点から総合的に審査し、グランドアワード3賞を初めとする各賞が別記の様に決定されました。


■分野別講評と受賞研究の評価ポイント

  ◇研究分野ごとに専門の審査委員による総評を掲載します。
  ◇上位受賞作についてはその評価のポイントを専門の審査委員から示しています。
   特別協賛社賞、協賛社賞、主催者賞、テレビ朝日と花王の特別奨励賞については各社の審査委員から講評しています。


【生物系分野(動物系)】

 生物系(動物系)分野の全体の研究内容は年々、レベルが高くなっています。その中には長い間解明できなかったものを色々と試行錯誤の結果みつけたり、また自然の中で偶然にみつけたり、大がかりな調査を行って生物の多様性を試みたものがあります。例えば、100年近く、中々明確に解明できなかったトビムシの初期発生をミシン油を用いることによって、卵割から神経胚、幼生の初期まで見事に連続的に観察したものがありました。これは高校で先輩達が行ってきたトビムシの研究を、今までとは異なる角度から初期発生に焦点を絞って研究したものです。また、清流の中で偶然にごく少数の緑色のナミウズムシを発見し、なぜ緑色になるのかを食餌との関係で明らかにした研究もありました。他に審査員奨励賞受賞作の、ノコギリクワガタを多くの島々で採集し、火砕流との関係の大がかりな調査と遺伝子解析を行った優れた研究などがありました。

 総評としては生物界に存在する多種多様な動物について、自分が大変に興味をもったり、発見したりしたことを着実に、継続して行って、ある成果まで持っていく試行錯誤の課程と努力の足跡がわかり、年々研究内容の質が良くなっているといえます。


◎花王特別奨励賞
 「緑色のナミウズムシの生態」

 たまたま発見した緑色の個体に興味を持ち、様々な視点での仮説を構築し、それを丹念かつ論理的に実験を積み重ねて検証した高校生らしい研究です。観察を通して山口県では初めてとなる新種のアメリカナミウズムシも発見しており、研究論文の構成もしっかりしています。見落としがちな小さな変化を丁寧に拾い上げ、そこから生態系全般を意識して見極めようとする姿勢を高く評価しました。


◎審査委員奨励賞
 「ノコギリクワガタは幸屋火砕流を生き延びたか? 〜大隅諸島産ノコギリクワガタの多様性の秘密と亜種分類の妥当性〜」

 鹿児島県の南方には色々な島々が火山によってできたり、また、分裂して離れたりして、点在しています。そのような火山でできた色々な島々で、この火山砕流が生き物に大きな影響を与えてきました。それは生物にとって生存していくために適応と進化の多様性をもたらすと考えられます。この研究では、鹿児島県の大隅半島から南の方に点在する島の中のノコギリクワガタに焦点をあて、色々な島で採集したノコギリクワガタを従来の形態学的比較分類から、遺伝子解析を試みて、系統樹を新しく作り出し、島の火砕流の形成や離合集散とノコギリクワガタの変化度をみました。従来の形態学的分類系統樹と同じものもありますが、いくつかの点で亜種の分化がみられることを明らかにしました。このように、ノコギリクワガタへの深い造形、粘り強い研究と多くの努力によって生物の多様性と変化の様子を明らかにした点が高く評価されました。


【生物系分野(植物系)】

 生物学(植物系)では、毎年、植物の抽出・揮発成分を用いて他の生物に対する新たな有効性を検証しようとする研究が多い。これらの研究は往々にして過去の研究事例と比べて新規性が乏しく、また、限られた時間・装置・技術の中で本当に有効性を有する物質の特定にまで到達できることは稀です。植物本来の生き様に根ざした現象から高校生諸君が興味を引かれた対象を見出し、それについて原因と仕組みを追及する研究が期待されています。身近な植物にはまだまだ未解明のことが多く、大学や研究機関の研究者が見逃しているような事柄の中から、将来新たな研究分野を切り開くような斬新な研究の種が出てくることを期待します。多くの生物種でゲノム情報が比較的容易に解析できるようになっている現在、従来からのモデル生物にとらわれた生物学から、より多様な生活環を有し系統的にも異なる生物を幅広く解析することが主流となりつつあります。この傾向は、研究に倫理的な制約の少ない植物や光合成生物の分野では特に顕著です。最終審査会に残った2課題は、このような新たな研究の動向に沿ったものであり、高校生らしい自由なアイデアで研究が進められ、また、最近の手法・知見を取り入れ、興味深い結果に到達している点が評価されました。


◎朝日新聞社賞
 「切断した根が接着する!? 〜セイヨウタンポポの根の傷が接着するための内的・外的要因を探る〜」

 異なる性質も持った植物の茎を使った接ぎ木が、農業の生産性や品質向上に向けて多用されています。しかし、一般的には根に注目した研究は少ないといえます。本研究は身近に生えているセイヨウタンポポの根に着目し、縦、横に切断した場合だけでなく、L字型に切断、そのままつなぎ合わせるだけでなく逆向きでも接着するかどうかを根気よく調べ、根の切断部の接着のしやすさの原因を研究し、成長しやすい温度や、まんべんなく圧力をかけることが重要であることなど、外的要因も突き止めました。また、植物ホルモンが関係している可能性にも迫りました。切断した根をうまくつなぐことができれば、希少種や絶滅危惧種の再生に道が開ける可能性があり、研究の発展も大いに期待できること等から高い評価を得ました。


◎審査委員奨励賞
 「エチレンはどのようにカイワレダイコンの子葉をカールさせるのか 〜細胞レベルのメカニズムを探る〜」

 この研究は、密閉空間でカイワレダイコンを発芽するとその子葉が裏側を巻くように湾曲する個体が発生することを見出し、その仕組みと原理の解明を試みたものです。開放系では、湾曲した子葉が表れにくいことから、ガス性の成分に着目し、植物ホルモンの一種であるエチレンにその作用があることを見出した。エチレンは、細胞表面のセンサー分子により検知され、その情報が細胞内に伝達されると考えられています。センサー分子に作用して、エチレンの効果を阻害することが知られている1-メチルシクロプロペンを与えると、子葉の湾曲が抑制できることからもエチレンの関わりが強く示唆されました。湾曲した子葉としていない子葉で、縦方向・横方向の細胞の数と大きさを測定し、湾曲するのは子葉の表側の細胞が横方向に伸長することを見出しました。これらの結果から、エチレンにより表側の細胞の細胞壁のセルロース繊維の方向性が変化し、横方向にのみ成長した可能性を新たに指摘しました。見逃されがちな身近な植物の小さな変化に興味を持ち、エチレンの新規な作用について検証できたことは、受賞者の高い意欲と地道な取り組みの成果であり、高校生の研究レベルとしては十分高いもので、高く評価されました。


【化学系分野】

 今回のJSEC応募研究のなかで化学分野の研究は44件あり、全応募221件のうちの2割におよびました。その44件が予備審査で11件に絞られ、そのうちの7件が一次審査を通過してファイナリストに選ばれました。この7件のうちの3件が個人研究で、4件がチームによる研究です。どちらかと言えば科学部などでのチーム研究が主体となりがちな化学分野の研究ですが、ファイナリストのうちの半分近くが個人研究というのは、個人研究者の課題に対する熱い思いを感じさせるものでした。

 7件のうち環境問題を視野に入れたものが2件だけというのは、少々意外でした。化学の研究成果と社会とのつながりは、新規物質の開発そのものは無論ですが、生活環境の改善への寄与というのも重要な視点です。また、得られた知見に対して反応メカニズムなどといった化学的な解析・考察がなされることが、特に化学分野の研究では必要であることも認識して頂きたいと思います。

 この7件のなかから、特別協賛社賞1件と協賛社賞2件の合計3件が受賞の対象として選ばれたのは素晴らしいことです。


◎富士通賞
 「亜硝酸ナトリウムを用いた大気中のオゾン濃度測定」

 この研究は、食品添加物にも使用されている亜硝酸ナトリウムの化学反応を利用して、大気汚染物質の一つである光化学オキシダント濃度の簡易測定方法の提案と実証を行っています。以下3点をはじめ、幅広い視点の高度な研究成果であることを高く評価しました。

  1. 1.分析手法や化学反応を着実に理解した上で阻害要因を明らかにし、オゾンの検出感度を高める検討が行われている。
  2. 2.測定サンプラーの作製に紙コップや洗濯挟みを使うなど高校生らしい身近な材料を用いることで、多地点の同時測定を行った。
  3. 3.大阪府北部の39地点で計測したデータと自治体公表値を対比させて有効性を実証している。

◎花王賞
 「卵殻の内皮が示す機能を用いて食品のメラニン沈着を抑制する研究」

 食品の廃棄という身近な問題に目を向け、自分たちにできる解決方法を探ろうとする高校生らしい前向きな姿勢の研究です。課題解決手段として自然の中にある素材を生かそうとしている点も、社会のサステナビリティにつながる発想があります。数多くの実験結果をベースに仮説を立てて検証していくという研究の基本がしっかりしており、多くの参考論文を読んだり、専門家からの意見も聞いたりして研究を達成している点も高校生の研究として高く評価します。


◎JFEスチール賞
 「チューブ内の水素燃焼炎の移動速度の研究」

 この研究は、

  1. (1)化学の授業での燃焼実験と、原子力発電所の事故とを結びつけてテーマ選定に至った着眼点
  2. (2)様々な気体を混合させて実験を繰り返し、新しい発見につなげた熱意と分析力
  3. (3)プレゼンテーションにおける論理展開力や、質疑での回答の柔軟性
  4. (4)安全に十分に配慮して実験を行ったこと

などが、JFEスチールの行動規範である「挑戦。柔軟。誠実。」に則った優秀な研究であると評価しました。また、現在鉄鋼業界は水素を活用した新しい製鉄プロセスを共同で研究しており、その点においても親近感を感じました。


【地学関連分野】

 私たちのまわりにある地層、化石、岩石、大気、宇宙などについて、不思議だな、なぜだろうと疑問を投げかけて、高校生の地学的な研究は、進んできたと思います。今年も力を尽くした作品がたくさん集まりました。地道に根気よく多くのデータを集めて、疑問を解いていく姿勢を評価したいと思います。クラブの先輩が残した研究の上にさらに新しい研究を積み重ねて発展している作品もありました。また、身近な台所の道具を使って実験を試みている作品もありました。もっと素晴らしい作品を生むために、2つほど提案したいと思います。ひとつは、インターネットの検索機能を上手に使って、過去の研究を振り返ってみることをお勧めしたいと思います。1世紀以上も前の研究にも学ぶことがあると思います。もうひとつは、一応研究がまとまったら、そのまとめはちゃんと論理的に進んでいるかということをチェックしてみることもお勧めします。


◎科学技術政策担当大臣賞
 「砂山シミュレーション 〜揺れによる斜面崩壊〜」

 2014年は8月の広島の土石流、9月の御嶽噴火、11月の阿蘇噴火と、私たちの住んでいる日本列島が生きている変動帯に位置していることをまざまざと認識するようでした。応募研究も自然災害対応へ寄与することを念頭に進められているものが多くありました。本作品「砂山シミュレーション」も、3.11の大地震を経験して、研究が始まったようです。いろいろな微地形の平面モデルをつくり、その重心の上から砂をこぼしていくと実際の地形をほぼ復元できることを示し、なぜ、そのようなことができるかを、例えば砂の粒子サイズ依存性などを調べ、一歩一歩論理的に考察しました。また、この小規模なモデルによる地形構造シミュレーションと現実の地形を詳細に比較し、このモデルによって土砂災害が起こりやすい場所を推定できることを指摘しました。このように、本研究は大変よく考察された研究として高く評価されました。


◎審査委員奨励賞
 「縞構造を伴う高高度発光現象エルブス -エルブスに伴う縞構造の発見と電離圏擾乱との関係-」

 最近の天気予報はよくあたるようになりました。膨大な観測データを使い、大型で高速のコンピューターで処理できるようになったからです。こんなに素晴らしい観測網があったら、もう高校生の研究する余地などないように見えますが、実は、まだまだ広くて自由な、研究されてない空間があるようです。本研究はそのような空間に果敢に切り込んでみたものです。エルブスとは何かもはっきりは分かっておらず、また、縞構造をもつエルブスなど、初めて観測された事実です。縞構造を説明するために仮説・演繹を何度も行っています。研究を行っている生徒のみなさんが大変生き生きとしていたことが、とても印象的でした。


【物理関連分野】

 ここでは、物理・天文分野37件の他、他の分野に応募があった物理学・応用物理学の側面が強い研究(電気・機械工学分野11件、 エネルギー・運輸分野9件)について述べます。

 物理・天文分野37件(個人研究10、チーム研究27)ではチーム研究の比率が平均より比較的多く最終審査にはチーム研究3件が残りましたが、チームであることが研究の向上にどのように生かされているのか少し分かりにくかった様です。この中で高校1年生2人チームの「レオナルドの橋」に関する研究がテレビ朝日特別奨励賞を受賞しました。災害時への貢献を考慮した点も高く評価されました。電気・機械工学分野11件(個人研究5件、チーム研究6件)は、電子回路が関係する研究や音、波力発電、人体インピーダンス、プラズマの利用、光の干渉の利用等々、バラエティーに富んだテーマの研究があり、総じて審査員は楽しめました。しかし、単に工作に終ってしまった研究やまとめ方に工夫が必要な重要な研究が見られました。全体的にもう一歩の工夫・考察によって飛躍的向上が期待される研究が見られました。この中の高校1年生による「DCモーターのPLL制御」に関する研究が最終審査に残り、科学技術振興機構賞を受賞しました。 エネルギー・運輸分野9件(個人研究3件、チーム研究9件)は、省エネルギー問題に関連した研究が多かったのですが、もう一工夫がほしい研究、結果の再現性の確認や実験の確からしさの判断が望まれる作品が多くみうけられました。太陽電池や触媒の研究では材料中の電子が絡む性質(電流や化学反応等の本質)の理解が難しかったようです。その理解に向けて、ご指導の先生方や友人とできるだけ多くの議論を行うことを勧めます。


◎科学技術振興機構賞
 「ロータリーエンコーダを位相比較器として用いたDCモーターのPLL制御」

 本研究は、高校1年生が一人でDCモーターの回転制御法の技術開発を行い、基本技術を完成した研究です。本研究はこれまでに無い側面のある研究でした。扇風機の羽根の回転を見ていて気がついた現象を利用して「ロータリーエンコーダを位相比較器として用いてDCモータのPLL回転制御」を実現し、既存のPLL制御方法とも比較してその有効性を示しました。考案から、回路の製作、問題点の検討、改良等を繰り返し、この間の様々な困難を克服して現在に至りました。本技術開発だけで無く、この研究の過程で様々な基礎知識、必要な方法論を体得した。また、審査委員との質疑を通して、さらなる可能性にも気がついたと判断されました。

 電気工学・機械工学分野に応募された研究でしたが、実験物理学分野等においても重要であり、専門が異なる多くの審査員による高い評価を得ました。


◎テレビ朝日特別奨励賞
 「『レオナルドの橋』を人が渡れるか」

 "典型的文系"のテレビマンには難解で"早口言葉"のような研究タイトルが並ぶ中、そのシンプルな問いかけにまず心引かれました。
 かの天才芸術家、レオナルド・ダ・ヴィンチが軍事用に考案したというその橋は文献や実験用のミニチュアで知ることは出来るが、本当に橋として川に架けられた姿を目にすることは皆無です。
 「それならば自分たちで作っちゃおう!」その発想が素晴らしい。
 しかも「増水などの災害時に応用できないか?」人のために役立てようという"志"にも心打たれました。
 キラキラした瞳でプレゼンしてくれた小倉高校の二人はまだ1年生だという。
 もっと便利で頑丈な橋、きっと君たちなら作れる!


【数学、コンピューター科学分野】

 数学は全体で24作品の応募がありました。その中から、予備審査と1次審査を経て4作品が最終審査に残り、優等賞の栄誉を得ました。しかし、残念ながら個別の賞に輝くことはありませんでした。JSEC、また、国際大会であるISEFでは数学を普段日本で考える数学の範囲よりも広くとらえています。本年度の最終審査作品にも、数理科学と分類できる作品もありました。また、コンピューターサイエンスの応募作品にも数学の応募作品として考えることができる作品もありました。

 さて、数学の全応募作品を眺めると、みなさん真剣に数学の自由研究を楽しんでいることがわかります。教科書の演習問題の別解を探求することや、教科書の問題を一般化することから始まり、自分で問題を作って解くことが自然なステップアップだと思います。応募作品にもそれが見られ、さらに進めて、初等整数論やその一般化、幾何学、数理モデルの作成とコンピューターによるシミュレーションなどが多く寄せられました。

 科学のどの分野にも共通することは、厳密性、間違いのない計算、論理的論考による結論の導出が、基本的な研究姿勢であることです。コンピューターサイエンスの分野は計算の理論に始まって、計算機の設計、情報の利用まで幅広い範囲をその対象とします。今年度の応募作品もまさに、その広がりに対応しています。しかし、現象や機構を計算という立場でとらえることが共通した基礎です。最近の風潮として、世界的に早期のプログラム教育を推し進めようとしています。その中で、アプリケーションだけにとらわれず、自然現象にとどまらず社会現象も含めて、計算という立場から対象をとらえることがますます重要になってきます。


◎文部科学大臣賞
 「白黒フィルム写真のカラー化」

 カラー画像から白黒(濃淡)を作成することはできます。しかし、その逆は数学では不良設定問題と呼ばれ解が1つに決まらない問題です。条件を加えると白黒画像からカラー画像を構成することができます。応募作品は、この問題に独自の観点から取り組んでいます。特に色を再現する新しい方法を提案しており高く評価されました。写真や画像をデジタル化し、望む画像を構成する手法を Computational Photography といいます。写真の発明以来、文化遺産としての白黒写真が多数残されています。これらの白黒写真から過去の色が推定・復元できれば、歴史理解が変わるかもしれません。時代考証をして彩色することも可能です。しかし、手軽に家庭用プリンターによって彩色が可能になれば、より多くの人が過去の色を楽しみ理解することが可能になります。本研究は、このような時代の求める技術的要求と、社会的影響両方にこたえる研究になっており、文部科学大臣賞に値する作品になっています。


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