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JSEC2014 グランドアワード・特別協賛社賞・協賛社賞・主催者賞・特別奨励賞・審査委員奨励賞

グランドアワード

文部科学大臣賞

【コンピューター科学】

 白黒写真をカラー化するという研究を行いました。白黒写真に残された情報は色の明るさを示す「輝度」のみで、各面素が赤か緑か、といった色の情報は残っていません。また輝度のみでは、同じ輝度を示す色が複数存在するため、一般的に機械的な力ラー化は不可能と考えられています。しかし、例えば球体では面の向きの違いによって反射率が変わります。赤い物体と青い物体では、この明るさの変化の仕方が異なります。このように、1画素ごとではなく、白黒写真全体から色ごとの特性を利用して元の色を推定し、カラー化することを目指しています。


科学技術政策担当大臣賞

【環境管理】

 斜面の崩れ方には、雨や雪などが大量に浸透したり、人為的要因(道路建設等)や地震動など多くの要素があります。その中でも地震による被害について、斜面を含んだ山の裾野の形である「等高線」に着目し、崩れ方を山の斜面角度から予測し、地図形式「スフラマップ」で纏めました。等高線の土台に砂を落としてできる砂山の形状は、実際の山の形状とかなり一致し、砂山の形成には、斜面角度と高さの関係として「内接円法則」を発見しました。その砂山を揺らすと崩れた場所が、実際に崩壊した場所と一致する部分が多くありました。またスフラマップは、土砂崩れ発生時の避難経路の設置ルートや土地開発の進め方といった災害予測にとても役立ちます。


科学技術振興機構賞

【電気工学・機械工学】

 扇風機の回る羽根の向こうに、電源タップの光るLEDを見たとき、羽根の回転速度によって光の見え方が変化することに気が付きました。その現象の原因は、電源タップのLEDがAC電源の50Hzのタイミングで点滅していたため、羽根がLEDを隠すタイミングによって光が見え隠れすることでした。そこで、この羽越しの光の見え方を利用したモーターの回転速度制御方法を思いつきました。
 この方式は従来のモーター制御方法(PLL制御方法)と似ていることがわかりましたが、従来方法に比べ部品点数を少なく構成できました。研究では、この方式と従来方式とを性能比較して、実用性について検討を行いました。

特別協賛社賞

富士通賞

【化学】

 光化学スモッグを引き起こすオゾンの大気中での濃度を簡単に測定する方法を開発しました。 亜硝酸ナトリウムを染み込ませたパッシブサンプラーを野外に固定して、大気中のオゾンと反応させます。どの程度反応したのかは、未反応の亜硝酸ナトリウムに発色試薬を加えることで色の濃さとして表しました。この実験結果を自治体が公表している値と比較すると両者は直線関係にありました。
 また、紙コップを用いた簡易的な装置で大阪府北部の39地点で同時にオゾン濃度を測定し、オゾンマップを作成しました。

協賛社賞


花王賞

【化学】

 現在、日本圏内で廃棄されている食料は年間約1.2億トンです。このうち、食べられる状態、食べても影響の無い状態の食料が500〜800 万トン捨てられています。この廃棄の原因の多くは食品の見た目の劣化です。この劣化を少しでも減らすために添加物が用いられています。しかし、現在存在する添加物は有害である可能性があるため、より安全で効き目のある添加物の開発が求められています。そこで、廃棄物である卵殻の内側の薄膜(=卵殻膜)が持つ「卵内の生命を維持するために空気は通して、細菌からは身を守る機能」を他の食品を守る食品添加物へ応用できないかと考え、今まで使われてこなかった卵殻膜の機能の再利用を目指した研究を行いました。


JFEスチール賞

【化学】

 30mの塩ビチューブに水素と酸素、不燃性ガスを注入して点火し、それをハイスピード撮影して火炎速度を求めました。その結果、火炎速度は音速を超えていて爆轟と呼ばれる現象であることが分かりました。また、CO2を混ぜると爆轟速度が遅くなることも分かりました。これは専門家にも知られていない新事実でした。C02 がこのようなはたらきを持つのは、分子の自由度が大きく比熱も大きいために、水素の燃焼を抑えることが原因だと考えました。そこで、CO2と同様に比熱が大きい水蒸気を混ぜてみたところ、やはり爆轟速度が小さくなることを確認しました。これも新発見でした。さらに、CO2 によって爆轟が起こりにくくなることも分かりました。

主催者賞

朝日新聞社賞

【植物科学】

 セイヨウタンポポの根はどのような場合に接着するか調べるために、1.切断後押さえつける力による接着の違い、2.傷の向き・深さ・傷口を合わせる方向の違いによる接着の違い、3.温度の違いによる根が接着するまでの日数の違い、4.接着の起こる部位の確認の実験を行いました。
 結果、根の傷が接着するのには、根の圧着方法や傷の向きや深さ、温度が関係しており、また、根自身の中心部分の木部部分が接着することが判りました。
 結論として、根を植物ホルモンの流れを阻害しないよう縦切断し、木部を密着させ幅広く一定の圧着力を加えること、温度の条件として植物が本来自生するのに最適な温度を与えると、接着するまでの時間が短くなることが判明しました。

特別奨励賞

テレビ朝日特別奨励賞

【物理学・天文学】

 レオナルドの橋とは、釘や接着剤を使わずに木材を組み合わせるだけで作ることができる橋です。私たちはまず模型で橋を作成して強度計算を行った後に、実際にかける橋の設計を行って橋を作ることにしました。するとレオナルドの橋は、段数が増えていくことで急激に耐えられる荷重が小さくなっていくことが分かりました。しかし、橋の両端を固定することで、全体として木が曲がりにくくなり、強度が増して人が渡っても耐えられる強度であることが分かりました。そして実際に川に橋をかけて渡りました。強度が確認できたため、私たちは科学体験教室でこの橋を使い、実際に子供たちに橋を渡ってもらうようにしています。


花王特別奨励賞

【動物科学】

 野外に生息していた緑色のナミウズムシを飼育すると3回程度で退色することや、光から遠ざかろうとすることなどから、藻類が細胞内共生をしているのではないと考えられました。また、野外に生息する個体の体内から藻類が検出されたことや、バイオフィルムを塗布したろ紙に引き寄せられたことなどから、藻類を食ベて緑色になった可能性があると考えられました。なお、レバーとトピケラ幼虫に対する集合を比較したところ、レバーを与えていた飼育個体はレバーに、野外に生息していたナミウズムシはトピケラ幼虫に集合しました。このごとから、日頃食べているものに集合する性質があることも分かりました。

審査委員奨励賞

【植物科学】

 以前の研究で、植物ホルモンのエチレンはカイワレダイコンの子葉に対して、下向きに巻くように曲がる「カーリング」という現象を誘導することが分かりました。今回の研究では、カーリングの原因を細胞レベルで明らかにしました。先行研究では、工チレンによって植物の葉柄が曲がることが分かっており、その原因は、「表側の細胞の成長が促進されること」とされています。しかし、子葉の切片を作成し細胞の数・形を調べた結果、カーリングの原因は、「エチレンによって子葉の裏側の細胞の成長が抑制され、表側よりも裏側が短くなること」だと分かりました。私の研究で解明されたカーリングの原因は先行研究と異なる新しいものでした。


【地球惑星科学】

 「エルブス」とは高度90〜100km上空でリング状に赤く瞬間的に発光する高高度発光現象の一つです。このエルブスに縞構造を発見し、その縞の形や成因について研究しました。
 研究方法は、エルブスの発生位置や高度、縞の長さ、間隔、方向などを共同観測校の香川県立三本松高校とデータ交換をしながら、三角測量の原理より求めました。これを同日の縞構造をもつ大気光などの電離圏の波動現象の波長や周期と比較して成因を考察しました。
 この結果、このエルブスの発生地点は島根県北方300kmの高度93.0kmの上空で、縞の教は4本、間隔は90.2km、方向は北東-南西方向でした。これは同日の電離圏の大気光波動の波長58.0kmに近く、方位角もほぼ一致していることが分かりました。


【動物科学】

 鹿児島県にはノコギリクワガタが5亜種生息しています(原名亜種を含む)。私たちはその亜種分類の妥当性と幸屋火砕流の影響を検証しました。形態的・遺伝的比較の結果、亜種分類の妥当性が支持される亜種もあれば、形態的には差があるのに遺伝的には差がない亜種もありました。また系統樹の分岐年代から、黒島産と口永良部島産は大隅諸島の生物を壊滅させたと言われる幸屋火砕流を生き延びた可能性が高いことが分かりました。さらに幸屋火砕流直下で絶滅したと考えられる硫黄島産は、形態的にも遺伝的にも口永良部島に非常によく似ていることから、火砕流後に口永良部島から侵入し定着したのではないかという仮説を立てました。