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JSEC2015 優等賞


【動物科学】

 本土方言個体群と屋久島方言個体群について、音声、形態、DNAにどのような違いがあるのかを調べ、その結果を基に屋久島方言個体群の分類学的な位置(別種か?亜種か?それともやはりただの"方言"なのか?)について考察した。また屋久島方言の分布に幸屋火砕流(約7,300年前)がどのように影響を与えたのかについて考察を行いました。
 結果として「屋久島方言」は、"サビ(ウィーヨーシ)"の部分を欠くため鳴き声は本土産より短いものの、形態的・遺伝的差異は小さいことから、別種や別亜種に分けるほどの差ではなく,鳴き声が異なるだけの生態的変異であり、"型(方言)"と考えるのが妥当と考えました。一方、地学的なデータを元に「屋久島方言」の起源は屋久島であり、約7,300年前に鬼界カルデラの噴火で発生した幸屋火砕流によって口永良部島、黒島、硫黄島の旧個体群が絶滅したことで、屋久島で生き残った屋久島方言個体群の一部がそれらの島々に分布を拡大することができた、という仮説を提唱しました。


【植物科学】

 マメ科植物の根には根粒と呼ばれるコブがあり、その中には根粒菌という細菌がいます。この根粒菌はマメ科植物から栄養を貰う一方、植物に空気中から取り入れた窒素を提供しています。このようなお互いに利益のある関係を共生といいます。実はこの共生関係には決まった相手がいると言われ、同じマメ科でもエンドウの根粒菌はミヤコグサには共生しないなど、宿主特異性と言われる一定のルールがあります。しかしこのルールは提唱者や、詳細な定義などは実はわかっていません。本研究は従来共生しないとわれている根粒菌とマメ科植物の共生の可能性を調べることと、根粒菌と同様の土壌細菌である硝化細菌が根粒形成に与える影響を研究しました。


【化学】

 金属イオンの磁性(反磁性や常磁性、常磁性磁化率の大小)の違いに着目して、磁場中に磁性の異なる金属イオンを含む水溶液を通した時、磁場中に留まる金属イオンと通り抜ける金属イオンに分かれ、それらを分離できるのではないかと予想しました。金属イオンの磁性の測定(ML法)し、磁場に金属イオンが引き寄せられる様子を観察しました(試験管法)。また、金属イオンの濃度を測定する装置(Mi装置)を作製しました。自作した磁気クロマトフィー装置を用いて、磁性の違いで金属イオンが予想どおりに分離することを観察しました。さらに海藻灰の水溶液では、磁気クロマトフィーでコバルト(供縫ぅンやニッケル(供縫ぅンを濃縮できることが分かりました。


 【化学】

 車の排気ガス等に含まれる二酸化窒素NO2は、肺などの健康影響があり、最近では、ディーゼル車の排気ガス試験の不正が社会問題となっています。大気中のNO2の測定には化学発光法が推奨されていますが、高価な機器が必要で、観測点が限られています。そこで吸光光度法に基づく安価な測定方法として、LEDや光センサを用いて二酸化窒素測定器(反射君)を開発しました。NO2で発色するザルツマン試薬を浸したろ紙を洗濯バサミで各測定場所に吊し、発色したろ紙を回収して反射君で測定しました。鹿児島市内の環境省の大気汚染物質広域監視システム(そらまめ君)のデータとほぼ一致しました。観測地点において、交通量が多くなるとNO2濃度が高くなることがわかりました。


【化学】

 酸塩基指示薬であるブロモクレゾールパープルを用いると、羊毛と絹を異なる色に染め分けできることを発見し、その染色メカニズムを解明しました。羊毛や絹はどちらもタンパク質からできた繊維であり、同じような分子構造です。これらを鑑別する繊維鑑別試薬(複数の染料の混合物)は古くから知られていますが、単一の染料による染め分けの報告例はほとんどありませんでした。なぜ、ブロモクレゾールパープルで羊毛と絹を異なる色に染色できるのか?繊維を構成するアミノ酸の種類の違いから、染色のメカニズムを探りました。
この方法を利用すると、安価で簡単に繊維を鑑別できます。他の動物性繊維の鑑別にも挑戦中です。


【化学】

 今日における化石燃料の枯渇の解決策の1つに燃料電池があります。現在、普及している陽イオン交換型燃料電池はコストが高いのが最大の欠点なのですが、アルカリ型燃料電池は安価に製造できるメリットを持っています。しかし、アルカリ型燃料電池が普及しない理由の1つは、実用的な陰イオン交換膜が開発されていないためです。文化祭で作製した簡易なアルカリ型燃料電池にポリビニルアルコール(PVA)で作製した膜を用いた所、わずかに発電したことをきっかけに、PVAに様々な物質を混合した膜の作製を繰り返し、最終的には、PVA高分子に微小なモリブデン酸化物を固定することによって、陰イオン交換膜が合成できることを発見しました。


【微生物学】

 有機溶媒は生物にとって猛毒となります。私たちは、土壌細菌の中から有機溶媒中でも生育できる有機溶媒耐性細菌を見つけました。その一部は有機溶媒を分解して栄養分にできる有機溶媒資化性細菌でした。有機溶媒に対する耐性は(1)有機溶媒分解酵素をもつこと、(2)周囲に粘液を分泌してバリアーを形成すること、(3)高熱・アルカリ性・飽和食塩水中でも働く強いタンパク質を持つこと、(4)極限環境下で外界との表面積を減少させて球菌化することによって得られることがわかりました。有機溶媒を分解する性質から、石油汚染に対する環境浄化に利用することを考え、バイオハザードを防ぐために細菌を固定したバイオリアクター化を試みました。


【微生物学】

 大気汚染の影響は、従来からスギの先枯れなどで調べられています。しかし、大きなスギの木に影響が現れる前には微生物に悪影響が出ているかもしれません。この研究では、微生物としてスギ樹皮に分布する変形菌(粘菌)を環境の違う場所で比較しました。汚染源は工業地帯や都市域として、川伝いに汚染大気が上流側に拡散すると考えて地域を調査しました。その結果、粘菌の分布は、工業地・商業地と山間地では違い、工業地・商業地で増える種と減少する種が見つかりました。また、スギ樹皮のpHは環境によって変化していることから、樹皮pHに敏感に反応している種が見つかりました。粘菌は大気汚染のセンサーとして役立つかもしれません。


【物理学・天文学】

 クラドニ図形とは、上に砂や塩をまいた金属板やガラス板が共振する際に現れる図形である。共振する際に、板の振動しない部分(節)が現れ、そこに砂が集まることで図形ができます。板の形、材質、厚さなどを変えて実験した結果、同じ板の形では同じクラドニ図形が現れることがわかりました。ただし、板の形が同じでも材質や厚みによってクラドニ図形が現れる周波数は異なり、その値には一定のルールが存在することがわかりました。また、それは既存の理論と合致していました。また、実験では外力を中心に与えていますが、外力を与える位置によって現れるクラドニ図形が制限されることを発見し、それを理論的に説明することができました。


【地球・環境科学】

 マングローブ(熱帯・亜熱帯で、淡水と海水が入り混じる河口に生育する植物の総称)の林の周囲には、カニやゴカイなどたくさんの生き物が住んでいます。私は沖縄県にある西表島で野外調査を行い、たくさんの生き物たちを養うマングローブの土壌に興味を持ちました。そこで、マングローブ林の生育している土壌と、生育していない土壌を採取し、土壌に含まれる有機物について、量や種類などを分析していきました。分析結果から、マングローブ林下の土壌が多量に有機物を保持しているという根拠を明らかにしました。また、この土壌がマングローブと周囲の生態系にとってどのような役割を果たしているのか物質循環の観点から考えました。


【地球・環境科学】

 化石を見つけたことから、この研究は始まりました。化石から、その生物の当時の動きや生態を推定することはとても難しいとされています。私が中学生の時に見つけたイルカの化石には、頭と首をつなぐ関節の一部が残っていたことから、首の動きに注目しました。博物館に所蔵されている215個体のイルカの頭骨、骨格を観察・計測したところ、頭骨と首の骨をつなぐ関節が首の可動に影響を与えていることがわかりました。この関節の構造を調べることで、骨の計測から関節の可動角を求める公式を作成しました。また、首の動きの大小と生息環境には密接な関係があること、作成した公式と関係から、絶滅したヌマタネズミイルカというイルカは浅海で首と大きく動かしていたことを推測することができました。


【地球・環境科学】

 CO2を吸収する森林の保全も地球温暖化の解決策の1つとして注目されているので、「森林によるCO2吸収量は森林の違いで変わるのか」をテーマにして研究を始めました。
 研究方法は、岡山県北部のクヌギ人工林。沖縄の久米島の森林内に10m×10mの区画をとり、それぞれの区画内の樹木の樹高、胸高直径、樹齢を測定しました。測定結果からCO2吸収量を算出し、過去の様々な森林の調査結果との比較を行いました。
 この研究で、個体の大きさとCO2吸収量には大きな関係があることがわかりました。また、遷移段階の進んだ天然林が最も効率よく、CO2を吸収していたことから、天然林の保全が重要であり、地球温暖化対策にもつながることがわかりました。


【材料科学】

 私たちは、環境浄化のために、シリカとアルミナから無機イオン吸着材をつくり、その性能を調べてきました。具体的に水の中に含まれるCa2+やPO3−などのイオンを私たちがつくった吸着材でどのくらい取り除けるか実験し、取り除けた場合、取り除けなかった場合の原因について考察を行なってきました。結果として、取り除けるイオンの量は水溶液のpHによって大きく変化し、陽イオンはpH12で最高水準、さらに陰イオンもpH4前後で取り除けるということが分かり、これまでにない吸着材をつくることに成功しました。この吸着材は環境浄化への切り札になると考えています。


【エネルギー・化学的】

 太陽電池は光エネルギーを電気エネルギーに変える装置です。発電時にはCO2を全く出しません。しかし、皆さんがよく見かける黒色のソーラーパネルは作る時に多くのエネルギーが必要です。私たちは電気分解を応用した方法で、色素を利用した太陽電池を作っています。この方法では少ないエネルギーで電極を作ることができ、本当に環境に優しい太陽電池といえます。また、色素を変えればカラフルにできます。この研究が進めば、将来身近な看板や標識が実は発電しているという日が来るかもしれません。しかし、今はまだ発電する効率が低いので、その向上を目指して電極の作り方を研究しています。


【エネルギー・化学的】

 アキタブキ葉の色素液から、クロロフィルを取り除いた黄色色素液(ABFM)を用いた色素増感太陽電池(DSC)を調製しました。今回の研究では、ABFMを用いたDSCで422.6mVと高い起電力が得られたことから、DSCへの利用の可能性を示すことが出来たと考えています。
 吸光度測定、フラボノイド定性反応、TLC分析の結果から、ABFMには数種類のフラボノイド色素が含まれることが推定されました。また、数種の化成品・合成品フラボノイド色素を用いてDSCを調製し、起電力を測定、色素分子の立体構造と起電力の関係について考察しました。


【エネルギー・物理的】

 災害時やキャンプ時に小川や雨どいの水を利用して、ラジオや携帯電話の充電、LED照明に利用できるポータブルな「超小型水力発電」の開発を目指しました。どんな環境の小河川においても安定した電力を供給するために、水車の回転効率を改善させる必要があります。本研究では「水の抜け道」、「羽の撥水性」の二点に着目して、様々な流量ごとに回転数を測定し、最も回転効率の良くなる条件の決定を試みました。結果として、「羽の撥水性」は回転の効率化に効果があり、「水の抜け道」はなるべく内側に水が抜けない経路が最も望ましいということが分かりました。今後は、水車の回転に影響を及ぼす他の要素も検討し、さらなる改善を試みていきます。


【数学】

 ライプニッツの調和三角形という、パスカル三角形の分数バージョンの三角形がある。その三角形を用いた公式 数式数式にヒントを得て、パスカル三角形からリーマンゼータ関数 数式に似た関数を作った。それをパスカルゼータ関数と名付けた。この立場に立つと、リーマンゼータ関数は第1列目のパスカルゼータ関数となる。そして、第2列目のパスカルゼータ関数は 数式であり,第3列目のパスカルゼータ関数は、数式である。私は、それぞれのパスカルゼータ関数は、第1列目のパスカルゼータ関数であるリーマンゼータ関数に、必ず何らかの関係があるはずだという信念から研究をおこなっている。


【数学】

 3点を結ぶ経路で最も短いものは120°で3つに分けられる点から各頂点へ結んだ経路になります。この証明がシュタイナー問題です。私はこれを最短経路と呼びます。今回、脈という管が最短経路を示すと言われるモジホコリ(脈という管をつくる生物)をシャーレに培養し3点の餌を脈がどう結ぶか実験しました。しかし、最短経路を示しませんでした。そこで、その経路は何か考えると三角形の内心から各頂点へ結んだ経路だと分かりました。内心を用いた実験として、ボロノイ図(塩の山)があります。塩の山は底面の内心がちょうど頂上となります。これは簡単に作ることができます。そこで、これを実社会に応用できないかと考えたのが私の研究です。