JSEC2015の審査講評                                          審査委員一覧

■総評

 全国の129校から合計255件の応募がありました。うち個人研究は98件、チーム研究は157件であり、年々個人研究が増加しつつ有ります。昨年に比べると応募数が34件増加し、新規校が37校増加しています。SSH指定校だけではなく、多くの高校での自由研究を通した教育が一層奨励されている結果と考えられます。加えて様々な研究発表会が各地域で開催され、研究レベルだけでなく研究のまとめ方や発表の仕方においても生徒諸君の向上を促していることが理解できます。しかし一方で、毎年JSECでも指摘してきた様に、研究論文中の図や写真の説明(いわゆる図の説明)が不十分で研究方法や結果を正確に理解しにくい作品や、文献の引用について適切とは言えない作品がまだ多数見受けられました。できるだけ自分達の研究内容を誤解無く第三者に伝えられるように工夫してほしいと思います。

 今年の255件の研究は、予備審査で62研究に絞られ、次に2段階目の審査である一次審査によって30研究が優秀な研究に選ばれ最終審査に臨みました。これら30研究を2015年度の分類にしたがって大きく分類をすると、生物学系(細胞・分子生物学、計算生物学等を含む)が6件、化学系(生化学を含む)が7件、物理学系(天文学、エネルギー関連分野等を含む)が7件、地学系(地球・環境科学系を含む)が3件、数学系が3件、エンジニアリング系(機械工学、材料科学、ロボット工学・知能機械、環境工学などを含む)は4件、その他の分野(行動・社会科学など)は0件でした。尚、今年は情報系(組み込みシステム、システムソフトウエアーを含む)への応募が無く残念でした。これら30研究のうち個人研究は40%(昨年は33.3パーセント)であり、昨年に比べると個人研究の割合が増加しました。

 上記の30研究についてポスタープレゼンテーションによる発表・質疑応答を通して様々な観点から総合的に審査が行われました。各研究ともに大変優秀でしたが、別記の様にグランドアワード3賞を初めとする各賞9件の計12件の賞、および優等賞18件が決定されました。


■分野別講評と受賞研究の評価ポイント

  ◇研究分野ごとに専門の審査委員による総評を掲載します。
  ◇上位受賞作についてはその評価のポイントを専門の審査委員から示しています。
   特別協賛社賞、協賛社賞、主催者賞、テレビ朝日と花王の特別奨励賞については各社の審査委員から講評しています。


【生物系(植物科学・微生物学)】

 植物科学・微生物学ともに、身近な生物に対するシンプルな興味からスタートした高校生らしい研究が目立ちました。今年度はどちらかというと応用指向の研究が多かったように感じます。多くはユニークな着想・着眼点で研究が行われており、大変興味を引かれました。ユニークな研究であっても、従来の関連研究の成果・知見をふまえた新しい視点が必要であり、結論ありきでそこに誘導する様な研究態度は好ましくないです。評価の高かった研究は、充分な数の解析を行い、統計的にデータを解析し、客観的に解釈するという基本的なポイントがきちんと行われているものでありました。

 根粒菌の宿主選択を検討した研究では、硝化細菌を一緒に混在させるという通常研究者が予想もしない大胆な実験系をトライしており、高校生らしい柔軟な発想が見られました。土壌中から有機溶媒や薬品に耐性な微生物を単離する研究では、周辺の土からそういった薬品を唯一の炭素源として生育できる微生物を複数見出すなど、予想を超えた成果をあげた研究がありました。


【生物系分野(動物科学、細胞、分子生物学)】

 今回も生物系においては、大変ユニークかつハイレベルの作品が多くみられました。作品の中には、一人でこつこつと試行錯誤しながら、自分の知りたい生物現象について、マクロからミクロの分子レベルの解析を行っているものがありましたし、複数の人達で行ったり、部活動として長年、継続して、新しいアプローチをしているものもありました。麹菌とコロニーの形成では、自分で長い期間、開発した系をもちながら、どうして同心円状の輪の形成ができるかを、考察しています。麹菌という身近な生き物の不思議とそれに対するアプローチと理解度は素晴らしいです。

 他には、日本では古くから扱われているカイコの絹糸腺がどのような成分であるかを理解しつつ、絹糸として出てくる前の状況を開腹によってセリシンのみを多量にかつ純度を高く取り出し、精製し、セリシンの溥膜をつくったり、シャーレの底に敷いて、その中で細胞増殖の高さも見ています。基礎研究から応用研究と展開している、好例の1つです。他に屋久島地方で散在する島々の中でどのようにして生物は進化をしていくのかについて、ツクツクボウシの鳴き声から分析しているのもユニークです。

 ここで講評として述べておきたいのは、応募の時に提出された資料とプレゼンの時とでの差が全般的にみられました。折角、良い資料とデータを出しながら、プレゼンの時、はっきりとポイントをのべることができなかったり、審査員との質疑応答ではあまり答えられないものも見受けられました。プレゼンはコミュニュケーション力と理解度を知ることにもなるので、大切な場であることを知っておいて欲しいです。


【化学系分野】

 今年度のJSECへの応募総数255件中、化学分野に含まれるものが47件、加えて生化学に関する研究が8件ありました。予備審査を通過して一次審査の対象に選ばれた62件中の13件が化学分野、1件が生化学に関するもので合計14件、全体の23%と大きな割合を占めましたが、ファイナリスト30件のなかでは7件と、昨年度と同じ数になりました。こうした数字から読み取れるのは、高校の理科教育のなかでは化学という分野が生徒にとって馴染み深いものである一方、その深奥を極めるのには高いハードルが存在することかと思われます。それを裏付けることとして、予備審査段階55件のなかには、「参加することに意義あり」との思いで応募して来られたようなものから、専門の研究者でも息をのむような斬新な研究テーマに挑戦しているものまで、とても幅広いレベルのものがありました。「理科好き」の裾野を広げる趣旨では前者のような参加も勿論歓迎ですが、後者のような取り組みが増えることは、JSECとしては強く望むところです。化学分野のなかから、グランドアワード1件に加えて協賛社賞と特別奨励賞各1件が選出されたのは、その意味でも心強いことです。


【地学関連分野】

 ここでは天文関連の研究以外の地学関連の研究全体について講評します。恐竜や石ころや化石や鉱物を好きな子どもはたくさんいます。そして、好きなことを追い求めて研究者になった人もたくさんいます。今年は20件の応募があり,3件の優秀な研究が最終審査に臨みました。この中で恐竜の好きな高校生が自分で掘り当てたイルカの化石を研究してJSECに応募しました。上位の賞には、僅差で届きませんでしたが、立派な研究でした。

 「好き」から始まって、「不思議だな」を追求するべく、コツコツとデータをためて、研究へ至る、JSECにもそんな道を通った研究が出てきました。また、クラブ活動を通しての研究も、研究地域が「学校に近い・遠い」といった違いに関わらず、疑問を自然に投げかけ、地道な努力を積み上げる研究が増えています。努力が実を結ぶためには、まず、過去の研究をよく理解して、自分の研究に取り込むなり、変更していくなりすることが必要と思います。表面的な形式に流れないようにしてほしいと思います。また、研究がひと段落したら、研究を客観的にながめて、何が余計か、何が足りないかをみつけて、次の段階に進んでいってほしいと思います。


【物理関連分野】

 物理学(天文学など一部の地学分野を含む)59件の他、他の分野に応募があった物理学・応用物理学の側面が強いエンジニアリング(機械工学、材料科学、ロボット・知能機械、環境工学など20件/注:一部の研究は化学系分野の講評を参照)について述べます。

 トイレでの尿はねなど身近な物理現象に着目した研究を初め、不可能という「常識的判断」のために一般的には行わない研究、さらに工学的応用色のある研究まで、非常に多彩な研究がありました。これらの物理学関連の研究のうち最終審査に11件が選ばれました。この中でエンジニアリングの機械工学分野に応募された「ロータリーエンコーダを用いたステッピングモーターの省電力制御」が文部科学大臣賞を受賞しました。また、物理学分野(エネルギー)の「風車の性能とソリディティの関係」がテレビ朝日特別奨励賞を受賞し、物理学(物理学・天文学分野)の「静岡県磐田市堂山古墳の鞆形埴輪は古代の天球儀か?」と「小型望遠鏡による系外惑星の探査」が審査員奨励賞を受賞しました。このように合計4件が上位の各賞を受賞しましたが、これらのことから物理学関連分野の研究レベルが総じて特に高いレベルであったと言えます。


【数学、コンピューター科学分野】

 回を重ねるに従って、数学応募作品全体のレベルは上がっています。また、分布は二つになっています。その一つは、教育課程を超えた話題を取り扱う自由研究です。他の一つは、教育課程に関する課題の拡張展開、すなわち、入試問題や練習問題に隠れる一般的法則や、特別な性質を探る研究です。特記すべきは、拡張展開型の研究のレベルが上がっていることです。すでにある問題に疑問を持ち、自分で再検討することは、科学一般に対する最も基本的な立場です。どちらの立場作品であっても、その課題の学問的な必要性と自身の立場を、アブストラクト、資料、ポスター、口頭発表の全で、審査委員に明確に伝える必要があります。特に、教育課程を超えた話題の場合、思い込みにとらわれず、課題の主題を明確に伝える発表の構成を、応募生徒が納得して作成するためには、高等学校の指導者との十分な質疑検討による推敲が重要です。場合によっては、学外指導者との専門的な質疑検討を十分に行うことも必要です。これは、個人応募作品、チーム応募作品どちらにも共通の課題です。教育現場においても、今まで以上に、時間の許す限り作品の推敲に助力していただければと思います。

 特記すべきは、ISEFにおいて2015年より、数学に関する作品の審査領域が数理科学(Mathematical Sciences)から数学(Mathematics)に再整理され、他分野との融合による数理モデル化とくに、生命関係に関する数理モデル化は新設のBioinformatics に移ったことです。また、アルゴリズムに関する審査領域は、同じく新設のSystem Softwareのサブカテゴリに移っています。「数学活用」に関係する課題をISEFとの関係で考える場合、今後応募側でも注意が必要です。


【各賞受賞理由】

◎文部科学大臣賞
 「ロータリーエンコーダを用いたステッピングモーターの省電力制御」

 本研究は、高校2年生が一人で行った研究の成果で、昨年のDCモーターの回転制御法の技術開発に関する研究で得た知識と経験を利用してステッピングモーターの省電力化に展開した研究です。昨年の研究の過程でロータリーエンコーダを用いた位相比較制御が、回転状況に応じて電力を遮断する性質に気づき、今回、この仕組みをステッピングモーターに応用してその省電力化を実現する新しい制御方法を考案し、加えて実際にそれを試作して自ら実現した。 考案から、回路の製作、問題点の検討、改良等を繰り返し、この間の様々な困難を克服して現在に至りました。また、質疑応答から、この研究の過程で様々な基礎知識、必要な方法論を体得したことが良く分かりました。以上の結果、専門が異なる多くの審査員から高い評価を得ました。

◎科学技術政策担当大臣賞
 「天然に存在する薄膜を発電装置の材料として活用する研究」

 昨年度のJSECでは、今回の研究グループの一員も参画したチームが「卵殻の内皮が示す機能を用いて食品のメラニン沈着を抑制する研究」のテーマで花王賞を獲得し、ISEFへの代表にも選ばれています。身の回りに存在する廃棄物の一つである卵殻膜のさらなる有効利用を目指して、今回はそれを燃料電池の電解質膜として活用することを発想し、その実現を目指して精緻な研究を積み重ねることによって赤色のみならず青色LEDの点灯もできるまでの成果を挙げることができたのは、廃棄物を材料とする新規技術の開発の視点でも高く評価することができます。卵殻膜と並んで、おなじ廃棄物であるタマネギやサツマイモの皮などとの比較も適確な実験を通して丁寧に行っており、グランドアワードとしての価値が十分にあると思われます。


◎科学技術振興機構賞
  「わ和輪 〜培地における?菌のコロニー形成〜」

 この研究は寒天培地上で麹菌のコロニーが、一定の温度・光周性の条件で菌糸密度や胞子形成頻度等により同心円状の模様を描く原理について着目し、その仕組みの解明を目指したものでした。同心円模様ができる条件を詳細に検証し、光周期の検知に関わる光受容体を明らかにしています。今後、温度の検知機構についてもこの研究の発展により解明できる可能性があります。また、複数の胞子から出芽したコロニーが真円状になる機構についても検証し、コロニー末端で菌糸が近接するとお互いに避けるように外側に向かって菌糸が伸長することにより真円状のコロニーが形成されるという仮説を提唱しています。培地中の何らかの栄養源の欠乏がシグナルとなっている可能性を示唆しており、菌糸伸長の制御機構の解明につながる可能性を秘めており大変興味深い研究成果です。


◎富士通賞
 「5次魔方陣を求める」

 過去50年に渡りコンピュータ性能は5年で10倍という驚異的なペースで向上してきました。しかし、この性能向上に大きく寄与してきた半導体素子の寸法縮小はあと数年でほぼ停止します。性能向上が止まれば、コンピュータが人類に与えてきた夢 --人の知的活動を支援し拡張する知能機械-- が実現できません。今後のコンピュータの性能向上の中で重要になるのが演算のアルゴリズムと、そのハードウェアへの組み込みです。本研究は5次魔方陣という限定された課題ではありますが、重複や漏れなく魔方陣の数を数え上げる高効率のアルゴリズムを考案し、プロセッサ並列動作によるオーバーヘッド(余計な仕事)が少ない形で実装し動作を実証しました。コンピュータの夢の実現につながる作品であることを高く評価し、富士通賞に選ばせて頂きました。


◎花王賞
 「ルミノールの化学発光振動反応の反応機構の研究」 

 ルミノールの化学発光振動反応、特に瞬間的な強い発光に興味を持ち、反応機構に関して研究した作品です。研究の進め方がすばらしく、英文誌を含む先行研究を詳細に調べ、これまでにわかっていること、未だ解明されていないことを理解した上で仮説を立て、仮説の証明のために多くのデータを積み重ね、考察して結論を見出していることを高く評価します。また、論文の中では主張したい点が整理され、課題が明確になっている点はレベルが高いと考えます。プレゼンテーションでのやり取りからも、高いコミュニケーション能力を感じました。研究のきっかけとなったホタルの体内でも同じ現象が起こっているのかについても調査、考察すると、更に普遍的かつ興味深い論文になると考えます。


◎JFEスチール賞
 「硝酸イオン電池による発電を用いた水質浄化」

 この研究は、

  1. (1)地元河川の水質という身近な環境課題からテーマ選定に至った着眼点
  2. (2)環境課題解決と電力創出を両立させるという「夢」のある発想力
  3. (3)様々な条件で粘り強く実験を繰り返し、発電システム開発に結び付けた熱意
  4. (4)プレゼンテーションにおける論理展開力や、質疑での回答の柔軟性

などが、JFEスチールの行動規範である「挑戦。柔軟。誠実。」に則った優秀な研究であると評価しました。 また、鉄鋼業界では、鉄を製造するために大量の水と電気を使用しますが、水はほぼ全て再利用され、電気は自給自足しており、本研究との親和性が高いと感じました。


◎朝日新聞社賞
 「カイコ絹糸腺抽出セリシンの取得と動物細胞培養素材への応用」

 カイコの繭を形作るたんぱく質の一つにセリシンがあります。繭糸の中では繊維をつなぐ役目を果たしていますが、細胞を増殖させる素材としても注目されています。ただ、セリシンを繭から取り出すときは煮沸しなければならず、熱変性が生じやすいという問題があります。本研究は、カイコの解剖を繰り返し行う中で、絹糸を作るときの器官である絹糸腺にセリシンが液体の状態で大量に含まれていることを確認、このセリシンをうまく取り出し、性質を丹念に調べました。その結果、絹糸腺から得られたセリシンのほうが細胞の増殖を促進し、このセリシンで作った膜も柔軟性のある素材であることを見いだしました。今後、絹糸腺抽出のセリシンがさまざまな分野で活用できる可能性があり、研究の発展も期待できるため高い評価となりました。


◎テレビ朝日特別奨励賞
 「風車の性能とソリディティの関係」

本研究の動機は、2011年の大震災以降に特に注目されているエネルギー問題の解決に役立ちたいということであり、世のため人のために努力する若者たちの志に共感しました。再生可能エネルギーのひとつ、風力発電の新たな可能性を探るため、小規模分散型の"マイクロ風力発電"の性能向上を目指した着想も、日本の現状を正しく把握した結果であり時宜にかなっています。風車の最適な形状を調べるのは大変難しいテーマですが、全長7mもの大がかりな風洞を自ら作成し、実験や分析をやり遂げた行動力を高く評価しました。また研究をアピールするための自作の被り物も、プレゼン方法として評価しました。


◎花王特別奨励賞
  「振動による粒子の凝集〜"こする"に隠された200Hz〜」 

 「200Hz周辺の振動を与えることで、過飽和液体からの結晶析出やコロイドの凝集が加速される」という発見が注目される作品です。普段何気なく、当たり前のように考えている事柄に興味を持ち、シンプルな実験でインパクト抜群の結論を導き出しています。粒子の凝集の原因を特定の振動数に求めるという着眼点の面白さに加え、疑問に感じたことや発見したこと、気づいたことを大切に突き詰め、自身で仮説を立て、装置に工夫を凝らしながら実験を繰り返す姿勢と、実際に数多くの実験を積み重ねた努力を高く評価します。もう一歩踏み込んで、先行研究の詳細な調査を加え、作品中で言及しているような水質浄化への応用など今後の展開を検討していくことで、さらなる発展につながることを期待しています。


◎審査委員奨励賞
  「水噴流による浮遊物回収装置「Dream Strider」の製作」

 瀬戸内海の複数の海岸において、海洋中を浮遊していたプラスチック、発砲スチロール、ゴミ等が打ち上げられ散乱している現状を目の当たりにしたことから問題意識が高まり、本研究がスタートしています。本研究の特徴は、こうした海洋中を浮遊するゴミ等による環境汚染の改善を目指し、「水噴流による水輸送」を用いて汚染物質を回収する装置の開発を行っているところです。審査においては、綿密な実験計画をもとに検証し、一般化に努めようとしている点、単純な仕組みであることから装置の耐久性・実用性が高いこと等が高く評価されました。また、水噴流を用いることで固形物のみならず水面に浮遊する油膜等液体物の回収も可能なことから、今後のさらなる発展が期待できます。


◎審査委員奨励賞
 「小型望遠鏡による系外惑星の探査」

 系外惑星探査は、生命を宿すもう一つの地球を探すという目的もあり、1990年代から活発に行われています。通常は口径10m級の大型光学望遠鏡でサーベイするのですが、この研究は「無謀にも」高校にあった口径25cmの望遠鏡でこれを観測しようという野心的なものでした。当然のように何回も失敗したのですが、それでもあきらめず、最後にトランジット法により系外惑星を観測したというのは素晴らしいという一言に尽きます。そこに至るには、忍耐力だけではなく、パリ天文台から公表されているデータを参考にして目標を定める研究力も持ち合わせていたことが重要であり、総合的に審査員から高い評価を受けて今回の授賞となりました。


◎審査委員奨励賞
「静岡県磐田市堂山古墳の鞆形埴輪は古代の天球儀か?」

 この研究は、堂山古墳から発掘された鞆形埴輪が古代の天球儀ではないか?という大胆な仮説に基づいて様々な検証をしたものです。その土台が24に区切られているのは二十四節気を表している、表面の丸い模様によりオリオン座と思われる星座が書かれている、真ん中の穴は太陽の方向を示している等々の計算や考察がなされています。これらは考古学に類するものであるとも思えますが、埴輪の穴と日照時間の計算との関係を考察しているところは間違いなく物理です。古代遺跡にはこのような発見が多く報告されているが、身近な古墳にもあったことは驚きです。ここで終わらず、さらに深く掘り下げてほしいという願いを込めて、今回の授賞となりました。



ページの一番上へ