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JSEC2015 グランドアワード・特別協賛社賞・協賛社賞・主催者賞・特別奨励賞・審査委員奨励賞

グランドアワード

文部科学大臣賞

【機械工学】

 私の研究はプリンタなどに用いられているステッピングモーターについての研究です。ステッピングモーターはステップ動作を得意とする利点がありますが、消費電力が大きいという欠点があります。今回ロータリーエンコーダという回転センサを用いて省電力化する方式を考えました。この方式は従来方式にロータリーエンコーダを追加するだけのシンプルな構成です。実験の結果、従来方式に比べ大きな省電力効果を確認することができました。


科学技術政策担当大臣賞

【化学】

 私たちは、普段は廃棄されている野菜の皮や卵の殻の薄膜(卵殻膜)といった天然薄膜を、燃料電池に用いる研究を行いました。燃料電池はエコな電池といわれていますが、電解質膜という部分に課題があるために実用化はできていません。私たちは、その電解質膜に天然薄膜を用いようと考え、燃料電池に組み込むことにしました。その結果、天然薄膜でも発電が起こることを発見し、テープを張り付けてしっかり組み込んだり、色素や金属の溶液を加えると性能が良くなることが分かりました。そして、市販の電解質膜とほぼ変わらない性能が得られ、実際にLED電球につけても点灯しました。私たちは性能改善を続けていき、今までの燃料電池を超える性能の燃料電池を実現したいです。


科学技術振興機構賞

【微生物学】

 昨年に引きつづき、麹菌を寒天培地で培養したとき同心円状コロニーを形成する原理の解明に取り組みました。昨年の研究では明暗および温度の周期変化によって菌糸の生育が変化し、菌糸密度が変わることで同心円状のコロニーが形成されることを明らかにしましたが、今年はコロニーが円形に広がる理由、環境条件とコロニーの広がる速さの関係、環境条件の周期変化の応答に関与する遺伝子の特定に焦点を当て、顕微鏡による観察や画像解析、遺伝子の組み換えなどの手法を用いてより詳細な解析を試みました。

特別協賛社賞

富士通賞

【数学】

 縦横に同数のマスを持つマスの集合のうち、すべての縦横斜めのマス目の和が等しいものを魔方陣といいます。また縦横1つのマス目の数をnとすると、そのマスの集合のうち、魔方陣であるものをn次魔方陣と呼びます。n≦5の時についてはその全解がわかっています。n=5の時はスーパーコンピューターを用いて導出されていますが、多くの時間がかかります。今回私は5次魔方陣を私の知りうる限り最速で解き、全解を導出することに成功しました。この成果を発展させていくことで未だ未踏の6次魔方陣の全解導出を目指したいと思います。

協賛社賞


花王賞

【化学】

 ルミノールは水酸化ナトリウムと過酸化水素と金属イオンがあると発光します。銅イオンの濃度が薄く、チオシアン酸イオンがあると、ホタルの様に、瞬間的に非常に強い発光が繰り返されます。この現象について、各成分の濃度を変えて、発光強度と振動周期を調べました。
 間歇的な強い発光は、従来HOOラジカルよるとされてきましたが、反応のフィードバックループに関係しているOS(O)CNラジカルによって起きていることを突き止めました。銅イオン電極と発光の同時測定により、強い発光時に銅イオンの濃度が上昇することを、はじめて測定に成功しました。発光時に酸化還元電位が減少する現象は従来謎でしたが、OS(O)CNイオンの急激な濃度上昇で説明できることがわかりました。各成分の濃度変化を反応速度式からシミュレーションし、OS(O)CNラジカルとOS(O)CNイオンの急激な変化を再現できました。


JFEスチール賞

【環境工学】

 20世紀最大の発明の1つ「ハーバー・ボッシュ法」は、「空気からパンを作る」と例えられ、100年間、食料や生活必需品の生産を支える優れたアンモニア合成法ですが、合成には全人類の消費エネルギーの1%以上を使い、生活で使用した余剰なアンモニアが硝酸イオンに姿を変え、生態系の乱れや健康被害を起こしています。そこで、私たちは、硝酸イオンを燃料として発電することによって硝酸イオンを除去する、夢の「硝酸イオン電池」の開発に挑みました。その結果、硝酸イオンに電子を与えてアンモニアにする窒化炭素触媒とアンモニアから電子を奪って窒素ガスにする酸化鉄微粒子を固定した活性炭触媒の開発に成功し、夢への第1歩をふみ出しました。

主催者賞

朝日新聞社賞

【細胞・分子生物学】

 カイコの繭を構成しているタンパク質のセリシンは細胞増殖を促進する動物細胞培養素材として注目されています。一般的にはセリシンは繭を煮沸し抽出されるので、加水分解や熱変性を生じます。この問題を解決するためにセリシンの合成器官である絹糸腺から抽出することを考案しました。絹糸腺から抽出したセリシンでは柔軟なフィルムを作成することができ、培養ディッシュのコート素材として用いることで、顕著な細胞増殖が観察されました。これらの理由により、絹糸腺から抽出したセリシンは動物細胞培養素材としての可能性が期待できると考えています。

特別奨励賞

テレビ朝日特別奨励賞

【エネルギー・物理学】

 風力発電は大型のものが有名ですが、日本では地形から小型のものが有効です。大型の風車は年中風の強い場所に、小型の風車は市街地など様々な風速の場所に設置されます。しかし小型の風車の研究はあまり行われておらず大型の風車を小さくしたものが普及しています。私たちは小型の風車は設置場所の環境に合わせて設計するべきだと考え、設置環境(周速比という変数で表す)と最も基本的な設計要素であるソリディティ(風車が回転時に描く円の面積と羽根の面積の比)の関係を自作した風洞と風車で実験を行って求めました。その結果から従来の風車よりも大きいソリディティを用いることで、性能を大幅に向上させることができると考えられました。


花王特別奨励賞

【化学】

 一般にガラス棒で試験管を「こする」と結晶化が促進されることが知られていますが、私たちはこの原因を解明しました。このきっかけはアセチルサリチル酸の合成の際、超音波洗浄機で試験管に振動を与えると通常より早く結晶化が起こることを発見したことです。この発見から結晶化の促進に振動が関わっていると考え、結晶化や凝集の促進と振動の周波数の関係を調べたところ、凝集の促進に影響を及ぼしているのが200Hz周辺の振動であることを突き止めました。さらに試験管をガラス棒でこすったときに発生する振動の中に200Hzの振動が含まれていることがわかり、この振動が試験管をガラス棒でこすると結晶化が起きる原因であると考えました。

審査委員奨励賞

【環境工学】

 次のような実験場面をイメージしてください。水槽に水を満たします。ホースの一端を水道の蛇口に取り付け、もう一端を水槽の水中に入れ、ホースの先端が水面の下になるように斜め上向きに設置します。そして、蛇口をひねり、水中から空中へ向かって水噴流を水槽の外に出る勢いで発射します。さて、問題です。水槽の水量はどうなると思いますか。増える?変化しない?減る?答は、減ります。なぜでしょう。これは、水中から発射された水噴流が水面の水を輸送するからです。この現象を使うことで水面に浮遊するゴミを回収できることが分かり、現在、浮遊物回収装置を製作しています。私たちの夢は、製作した装置で世界中の海を美しくすることです。


【物理学・天文学】

 系外惑星とは、太陽以外の恒星の周りを回っている惑星のことで、太陽系内の惑星に比べて距離が非常に遠く、そのうえ自ら光りを放たないためとても暗く、直接観察することはほとんど不可能です。そのため、ほとんどの観測は天文台の大型望遠鏡か、大気圏外の観測衛星によっておこなわれています。今回の研究では、その系外惑星を小型望遠鏡による間接的なトランジット法(系外惑星が恒星の前を横切るときに、恒星がわずかに滅光するのをとらえる方法)で観測し、そこから求めた滅光率(暗くなる割合)を使い、その系外惑星の半径や密度、周期を求めました。これらの値から、自分たちが観測した惑星が「ホットジュピター」に分類される惑星であることがわかりました。


【物理学・天文学】

 研究方法は鞆形埴輪の実物や発掘報告書の実測図を参考に、埴輪の模様や線が5世紀の天体の位置や方向と一致するかどうかを天球儀や星図、天体シミュレーションソフト、模型実験と照合させて検証しました。この結果、鞆形埴輪は鞆の本来の形状や大きさとは著しく異なり、台座がつけられています。埴輪の下部にある四角模様が二十四節気を示しています。埴輪の二重線の延長線方向が磐田市の北極星の高度や夏至、冬至の日の太陽の南中高度と一致します。埴輪の丸い点とオリオン座の恒星が作る角度や辺の比がほぼ一致します。以上から、この埴輪は古墳の副葬品であると同時に、太陽や星の位置を測定できる古代の天球儀として使用されていたことを明らかにしました。