JSEC2016の審査講評                                          審査委員一覧

■総評

 高校生科学技術チャレンジ(JSEC)は、高校生の自由な発想に基づく科学技術に関する自由研究のコンテストで、今回が第14回となりました。今年度のJSEC2016には、全国から昨年とほぼ同数の253件の応募がありました。例年通り、書類審査による予備審査と一次審査を通過した30作品について、プレゼンテーションによる最終審査会を実施しました。全応募作品および最終審査に進んだ30作品が占める分野の割合は昨年と同様で、物理、化学、生物、数学、情報、工学・エンジニアリングなど広範でした。

 応募作品のレポートやプレゼンテーションから、高校生は最新の科学技術分野や環境・エネルギー問題に関心が高く、身近な生活や話題の中で研究テーマとしていることがうかがえました。研究形態は、高等学校の部活動や課題科目の中で少人数グループ研究や個人研究として取り組んだものと、高等学校の活動とは独立に自らテーマを設定したものとに分かれます。これらを新規および継続研究でみると、ほぼ半々となります。

 応募作品レポートには、熱心に興味を持って取り組んだ形跡が認められ、好感がもたれるものが多かったです。研究課題は、天体の観測に関係する研究、力学や光学関連の物理現象の計測技術およびエンジニアリングの研究、植物や廃棄物に着眼した電気や化学エネルギーに関する研究、震災廃材の工学応用研究、昆虫の行動やフェロモンなどに関する生物関連研究、地質や資源に関する研究、折り紙と数学の関係性の研究など、多岐にわたっていました。研究の実施方法については、必要な情報をインターネットを通じて入手して、基本となる物理・化学法則、数学の定理などを自主的に学んでいる様子、実験装置や物理現象や生物の行動の観測のために研究装置を工夫している様子、そして、実験や観察データを蓄積してパソコンを用いてシミュレーションや画像解析を上手く活用しながら纏め上げている様子が随所に見られました。研究の達成度という点から見ると、書類審査およびプレゼンテーション審査のいずれにおいても、作品の質的な平均レベルが上がっているという印象でした。その背景には、高等学校の理数科教員の指導、大学や研究機関の協力、国の理数科教育支援などがあると感じられます。

 なお、最終審査会では、高校生が進めてきた研究成果について熱心に語り、非常に好感が持たれました。ただし、発表時間内にあれもこれもと結果の説明だけを急ぐのではなく、どのような興味や動機から研究をはじめ、どのように取り組み、どこまで進められ、さらに、研究の結果や進捗状況からその先にどんな夢があるかをストーリーとして話すと、よりわかりやすいものになったと感じました。

 最後に、今後も、多くの高校生が自ら科学技術に関係する興味ある研究課題を見つけ、果敢にチャレンジし、JSECに参加してくることに期待いたします。


■分野別講評と受賞研究の評価ポイント

  ◇研究分野ごとに専門の審査委員による総評を掲載します。
  ◇上位受賞作についてはその評価のポイントを専門の審査委員から示しています。
   特別協賛社賞、協賛社賞、主催者賞、テレビ朝日と花王の特別奨励賞については各社の審査委員から講評しています。


【生物系(植物科学・微生物学)】

 本年度の生物学の作品は全般に大変高い評価を得ました。高校生らしいユニークな視点で大学や企業の研究者が扱わない非モデル生物の独特な特徴を捉え、その原因原理について解析的な研究が行われていた点が評価されたためだと思われます。

 植物科学の分野、タヌキモの仲間のウサギゴケという植物の研究では、土中に伸びる根に捕虫嚢を造り、誘引物質を分泌して線虫等を捕虫嚢内に取り込み、その内部の特徴的な構造により一旦侵入すると出られないようになっていて、捕食消化されることを示した点が評価されました。実際の環境中ではどの様な動物が補食の対象になっているかの同定、誘引物質の特定、補足した動物の分解の仕組みの解明、窒素栄養の施肥と捕虫嚢分化の関係の証明など様々な展開が期待される研究でした。また、レポートやポスターに貼られた顕微鏡像の手描きのスケッチは、大変緻密でまるでそこに自分が見ているようであり、その点も多くの審査員の目を惹きました。

 石垣のすき間に適応する植物についての研究は、数カ所の観測地点で長期間にわたり高校生らしい視点で観察した結果をまとめたもので、ニッチな植物の展開分布を植物の形態に基づいて考察した視点はユニークでありました。周囲の環境や畑面の利用のされ方と展開する植物の関係についての考察や、同じ地域で積極的に除草される部分とそうでない部分などの比較は興味深い課題になると思われました。また、すき間の植物の種類と畑面の生産性や病害虫の影響等に何らかの相関を見出すことができれば、これまで見落とされがちであった分野に新たな展開が期待できると思われました。


【生物系分野(動物科学、細胞、分子生物学)】

 今年度の動物科学系の作品は、高いレベルの研究が数多く提出されました。いずれも身近な動物についての研究で、高校生らしい作品でした。どの研究でも、すぐれた観察力で得られた視点から研究を始めています。また、観察装置と観察方法を自分たちで考え、いろいろな工夫をしてデータを出しています。

 オオアメンボの研究では、生息地の環境をよく観察し、自然に近い状態の飼育装置を自分たちで作り上げ、アメンボの産卵や孵化にも成功しています。また、水面波発生装置も自分たちで作り上げ、実験に用いています。アブラゼミの研究では、自宅のまわりの木で、羽化殻が一部の葉にかたまってついていることに気づき、羽化殻が他個体の幼虫を誘引する匂い物質を有しているのではないか、という発想から研究を始めています。ナミウズムシ(プラナリア)の研究では、在来種と外来種が共に生息している水路を発見し、2種間の関係を様ざまな面から解析しています。


【化学系分野】

 化学分野へのエントリー数は、今回は56件(うち1件はカテゴリー「生化学」、6件は「エネルギー:化学的」)で、応募総数の22%であり、物理学と生物学分野に次ぐ多さでした。56件のうちの13件が書面による予備審査を通過し、その後の一次審査で8件(うち2件が「エネルギー:化学的」)がファイナリストに選ばれました。この数は8つの大カテゴリーのなかで最も多い数でした。この8件のなかで、身の周りにある廃棄物に相当するような物質を、化学的な視点からエネルギー源に活用することを目指す研究が数件みられたのは、現代の科学技術の使命からみても心強い印象を抱きました。そのほかにも、日常のどちらかと言えば物理的な諸現象を、化学的な視点で解明することに意欲的にチャレンジするテーマも多々あり、化学という分野の多様性を実感させる今回の作品群でした。


【地学関連分野】

 今年は20件の応募があり、3件の優秀な研究が最終審査に臨みました。海岸浸食や湧水や森林火災に関する研究でした。上位の賞には僅差で届きませんでしたが、コツコツと進めた立派な研究でした。

 地学の研究は扱う物が、とても大きな宇宙や地球などの一部であり、何億年という長い時間を含んでいるという特徴があります。でもその物は、やっぱり自然界にあるので、数学や物理や化学の法則に従います。生物の特徴を示すこともあります。野外で不思議な現象に出合ったら、まず、なぜだろうかと、自分のもっているすべての知識を使って、論理的に考えてみてください。友達や先生とも議論してみてください。それから仮説をたて、どうやって検証していくかを考えてください。地学の分野はなかなか実験のできないものも多いです。そんなときは、もう1度野外に出て、よく観察して、自然からデータをもらえるだけもらってきましょう。そのデータを積み上げれば立派な研究になります。


【物理関連分野】

 物理分野では、力学、波動、光学、電磁気学の物理法則を基本として、自然現象を観測するための装置試作、観察、解析、モデル化と解析などを研究課題とする応募作品が今年も多く集まりました。身近な自然現象の対象として、シャボン玉の色、物体の回転運動や落下運動、衝突現象や摩擦、圧縮・膨張現象、月食や日食などが、昨年同様に取り上げられています。個人研究あるいは部活動の少人数グループ研究として行なわれていますが、いずれも、前年までの研究実績を上手く活用して、一年間の研究をまとめています。今年は、理論的な解析の詰め、原理に基づく装置改良、自然現象の実験室レベルでの再現、パソコンを用いたシミュレーションによる物理現象の再現などにおいて、レベルが高い印象の作品が多くみられました。また、プロペラの改良や楽器の試作など、物理の基本法則を巧みに応用してエンジニアリング分野に果敢にチャレンジした作品に好感が持たれました。


【数学、コンピューター科学分野】

 今年も、数学に関して優秀な応募作品を読むことができました。ただ、残念ながら、グランドアワード3賞には届きませんでした。この結果は、決して数学の応募作品が優秀でないことを意味していません。優秀な数学の作品よりも、今回は、賞を取った応募作品発表がより科学的説得性に優れていたと推測できます。

 JSECの審査は書類審査と、ポスターによる研究発表との2種類の研究発表から成り立っています。応募作品に順位をつける関係から、どのような優れた応募作品でもポスター発表の後に、順序が逆転することがあります。最先端の研究でも発表のあとで、賞の種類、順位が入れ替わってしまうことがあります。また、数学の中には、ゲームやパズル、遊びにその起源をもつ話題があります。その中にはさらに、本当の数学として広がりが期待できる話題もあれば、パズルの数理として閉じた話題もあります。両方の難しさを比較し、順位を付けることは難しい判断です。

 本年度特記すべき感想は、数学以外の応募課題の研究方針や実験結果の解析・説明が、ますます数理的になってきたことです。国が進める数理科学の展開に向けて、JSEC応募者がその進展を担うことを期待しています。


【各賞受賞理由】

◎文部科学大臣賞
 「オオアメンボAquarius elongatusの水面波への応答について」

 この研究では、自然に近い状態の飼育装置の中で、自作した水面波発生装置を用いて実験を行っています。水面波発生装置で振幅の異なる水面波を発生させ、アメンボの反応をデジタルカメラで動画撮影することによって解析しています。その結果、水面波の振幅が、ある値以下の時は100%反応し、ある値以上の時は全く反応しないという、非常にきれいな結果を得ています。また、オスがメスを呼ぶ時に、独特の水面波を発生させるコーリングという情報手段があるといわれていますが、チームは、約13ヘルツの水面波を人工的に発生させ、メスがこれに反応して交尾行動を誘発することをビデオ撮影するのに成功しています(これを見た審査員は感動しました!)。

◎科学技術政策担当大臣賞
 「割れる直前のシャボン膜が呈す黄金色や白色は光の干渉によるものか」

 身近な物理現象の中に興味ある課題を見出し、これを解き明かす一連の過程は、サイエンスやエンジニアリングへのチャレンジングの基本です。この研究は、シャボン玉が、膜色が緑、青、紫、・・となって割れるという規則性があることを見出し、その謎を解き明かすことを目指したものです。シャボン膜の膜厚変化に伴う反射光スペクトルの変化を分光器で調べ、光の干渉原理に基づいて理論解析を行い、割れるまでの色変化を膜厚の変化と対応づけています。測定装置や測定方法の工夫など粘り強く研究に取り組み、膜厚が30nm 程度になるまでの範囲を測定可能とし、シャボン玉が割れる直前の「黄金色、白色、無色」の膜色の場合も含めて光の干渉で説明できることを示しました。研究により超薄膜の厚さを正確に求める手法と技術を確立しており高く評価しました。


◎科学技術振興機構賞
 「人工光合成の研究 −酸化タンタル/タンタル板を使った二酸化炭素からギ酸の生成と可視光応答−」

 太陽光をエネルギー源として、大気中の二酸化炭素を効率的にギ酸に還元することで地球温暖化をはじめとする環境問題に貢献することをターゲットに据えての、基礎的な研究という点で、「エネルギー:化学的」の研究カテゴリーの観点からも価値のある取り組みです。その目標に向けて、酸化タンタル/タンタル板を電極に用いての精緻な実験を数多く行い、結果を科学的に分析して一定の成果を挙げていることが評価され、グランドアワードに選ばれました。


◎花王賞
 「ファンプロペラの効率アップ −風を変えるシンプルな表面加工−」

 ファンプロペラの効率を向上させるために、材質や形状ではなく、表面状態の変化に着目して研究を進めた作品です。ゴルフボールの小さな凹みが空気の流れの変化を生じさせることに着目して、ファンプロペラに応用しようした発想のユニークさ、120枚もの試作プロペラを作成して多くの検討を行ない、結果を導いた努力と、実際のコンピュータファンに適用して検証まで行なったことを高く評価します。論文も読みやすく、質疑応答での回答も的確で、自身の考えがよく整理されていました。レイノルズ数に応じた所定位置に細い溝を掘ることで効率が向上するというのは驚きの発見で、今回の研究で得られた高い効率向上は、さまざまな分野での応用の可能性を感じさせます。


◎JFEスチール賞
 「アルミラクル −天然染料を用いたアルマイトの着色−」

 この研究は、アルマイトを対象にしており、鉄という金属を取扱う当社にとって、親しみ深く、そして身近な食器等を対象にした点は、我々のみならず多くの審査員にとって身近に感じやすく、興味を惹かれる内容でした。
 「自分で自由自在に安全に金属を着色してみたい」という着想は、とてもユニークかつ新鮮で、強度や伸び等の機械特性のバリエーションを主に商品開発している当社にとって、大変示唆に富む研究でした。
 また、基礎的な理論の理解はもちろんのこと、情熱を持って粘り強く実験を繰り返し、その苦労が糧となり、自信を持って活き活きとプレゼンテーションをされていたことも高く評価できるものでした。


◎朝日新聞社賞
 「魂柱の振動を利用した新規電子ヴァイオリンの研究 ヴァイオリンの音響解析とシミュレーション」

 趣味でヴァイオリンづくりをしているうち、この楽器特有の振動の仕組みに興味をもったのが本研究のきっかけだそうです。ヴァイオリンの内部には表板と裏板をつなぐ「魂柱」があり、これが表裏の振動を一致させているために独特の音色が生まれます。「魂柱に注目すればリアルな電子ヴァイオリンをつくることができる」と考え、さまざまな大きさの模型をつくったり、振動を調べる実験を繰り返したりしました。日々の生活で感じた疑問を自分の手で確かめようという科学的な姿勢が出発点となり、着眼点のよさ、実験の的確さ、根気強さなどもあいまって、おもしろい研究成果につながったのです。「将来、効果的なヴァイオリン教育に役立ちそうだ」と期待を抱かせる点も高く評価されました。


◎テレビ朝日特別奨励賞
 「廃棄物を利用した人の生活圏全てにおいて発電可能な装置の開発」

 本研究の動機である「世界中の人に電気を届けたい」という志や、廃棄されるものを再利用しようという思いに共感しました。さらに、先輩たちの昨年の研究を選考委員のアドバイスを生かして進化させた結果、身近な廃棄物を燃料とした場合でも同様の現象が起きることを見いだし、解析した研究成果を高く評価したいと思います。ごく普通の生活の中にある廃棄物を電解質膜と燃料に使った発電装置が、今後も研究を重ねていくことで、非電化地域やエネルギー問題解決の一助、災害時の活用などにつながることを期待します。若い世代が、大きな夢に向かって丁寧な取り組みを重ねている姿勢を頼もしく感じます。


◎花王特別奨励賞
 「地下で虫を捕まえるウサギゴケ」

 食虫植物のタヌキモ科の一種であるウサギゴケの捕食方法について研究した作品です。タヌキモ科の多くは水生種で、吸引により虫を捕食していることが報告されている中で、陸生種のウサギゴケが土中で同様の捕食をするかに疑問を持ち、仮説を立てて研究を進め、結論に導いた進め方はすばらしいと評価します。作品では、顕微鏡写真とともに緻密なデッサンでも構造が説明されています。デッサンで描けるということは詳細に観察した証であり、その姿勢も高く評価します。論文も読みやすく、研究への熱意が感じられるプレゼンテーションも、高いコミュニケーション能力を示しています。今後、匂い物質に関する検討を加えることで、さらに良い論文になるでしょう。


◎花王特別奨励賞 「オオアメンボAquarius elongatusの水面波への応答について」

 オオアメンボが感知する水面波についての研究で、「風による波」、「えさの虫が起こす波」、「同種間で交信する波」を区別するしくみを解明しようとした作品です。視点の面白さ、手作りの装置を用いて粘り強く観察を続け、仮説を立てながら仕組みをつきとめようとした姿勢を高く評価します。仮説を証明するための実験も行ない、納得性があり、かつ、わかりやすい結果が得られています。飼育しているアメンボに名前をつけて研究に取り組んでいるところも楽しく、手づくりの模型や実験映像を駆使したプレゼンテーションも素晴らしいものでした。全体的に着眼点が分散しているため、今後、どこかに焦点を絞ることでより良い研究になると考えます。


◎審査委員奨励賞
 「ナミウズムシとアメリカナミウズムシの種間関係」

 本研究は、在来プラナリア(ナミウズムシ)と外来プラナリア(アメリカナミウズムシ)に着目し、これら2種の混在地が生じている理由と、種間関係の解明を目指したものでした。本研究の特徴は、継続的なフィールド調査により課題を見出したこと、仮説を丁寧に検証しているところです。ナミウズムシの生態調査の過程で、アメリカナミウズムシとの混在を発見したことは、日頃から目的意識を持った調査・観察を行っている証拠といえます。審査においては、こうした生態調査に加え、先行研究分析を通して仮説と立て、入念に実験計画が作成されていること、さらに最終審査におけるプレゼンテーションが高く評価されました。今後のさらなる発展が期待できます。


◎審査委員奨励賞
 「セミがフェロモンを持っている? −アブラゼミが匂い物質を用いて羽化場所を決めている可能性を探る−」

 長年、アブラゼミの生態調査を行う中で、「羽化殻が一部の箇所に複数固まって付いていること」、「複数個体が狭い範囲で同時に羽化する時は一定の距離を保ち羽化していること」という一見、相反する現象に疑問が生じたことから本研究はスタートしています。本研究では、匂い物質に着目し、Y字菅とガスクロマトグラフィーを用いて仮説を検証しました。これらの結果から、羽化殻による誘引作用、羽化途中の個体による忌避作用を見出すことができました。さらに、本研究結果が比較的系統の近いカメムシに関する研究や農作物に対する忌避剤開発に活用でき、研究の発展も期待できるため、審査において高い評価を受けました。


◎審査委員奨励賞
 「グリーンフラッシュの謎にせまる。−モデル化と発生装置の製作−」

 太陽が、地平線に沈むときや顔を出すときに、一瞬の間であるが緑色に輝くグリーンフラッシュと呼ばれる地球規模の天体の現象が観測されています。この研究では、太陽光の地球上の観測者までの光の経路に沿って、大気中での光の分散、屈折、散乱、全反射などの光学現象をモデル化し、これを実験室レベルでの再現装置を試作し、実証しました。再現装置は、LED光源、三角プリズム、イオウコロイド溶液、砂糖水と真水の構成ブロックからなり、地球規模の光学的現象が模擬できるように工夫されています。光源からの入射光の角度などの光学条件や、コロイド溶液や砂糖水の濃度を調整して緑色の輝きを再現しています。製作した装置は、グリーンフラッシュ現象の発生機構の解明にとどまらず、地球規模でおきる他の光学的現象の再現や理解にも活用できると考えられます。今後の研究展開を大いに期待したいことから、奨励賞作品として評価しました。


■その他特記

 近年の傾向として、人を対象とする研究も応募されるようになりました。倫理・安全性・環境配慮にご注意いただきたいと思います。JSECでは、研究をする場合の基準を設け、SRC委員会で作品をチェックしています。また、JSECに応募される高校生の皆さんの公平性の確保のため、レポート提出や審査会での展示物についての約束事も設けています。継続研究については、研究レポート内で前年までの研究と、当年度に行った新しい研究内容とを明確にするようにとしていますが、守られていないものも見られました。新規か継続かで審査に差が出ることはありませんので、その研究の良さをきちんと評価されるためにも、研究期間を明記するようにしてください。

 また、最終審査会では液体物の展示は禁止されています。ブースに展示しようとしていて、撤去を求めたケースも複数ありました。実験を再現させたいという出場した高校生の気持ちは十分に理解できますが、最終審査の公平性・安全性という点からも認められませんので、画像や映像で見せる等に変更して工夫するようにしていただきたいと思います。これらはすべて応募要項に書かれていますので、応募の際はよくお読みいただき、約束事は厳守していただきたいと思います。なお、冒頭で触れた人を対象とする研究などの場合には、研究開始前に準備しておくべき書類の決まりもあります。JSECのホームページで事前に確認をお願いいたします。

 JSEC事務局では、こうしたJSECの約束を守り、最終審査会を経てISEF派遣が決まった高校生の皆さんには、ISEFで英語によるプレゼンテーションで十分に成果が発表できるようにサポートをしています。JSEC2017でも独創性に富み、世界に視野を広げた研究作品の応募を楽しみにしておりますので、日々の研究に励んでいる高校生の皆さんには是非ともJSECに応募することを目指していただきたいと思います。


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