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墨滴、時間節約の声うけ誕生

11月7日付朝刊30ページ 教育1

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墨メーカー最大手の「呉竹」の商品=奈良市

 「書道」とは「書の道」。硯(すずり)に向かって墨をすれば、そこはかとなく心が整います――。墨メーカー最大手の呉竹(奈良市)の綿谷基会長(63)は、そう言ってから、残念そうにつぶやいた。「学校の授業や町の書道教室で、墨をする光景はほとんど見かけなくなった」

 墨の代わり使われているのは墨滴だ。同社の営業マンたちから「学校現場で墨をする時間を惜しむ傾向がある」という声が上がり始めたのは1953(昭和28)年ごろ。56年、まず水に溶かして使うチューブ状の「練り墨」を商品化し、58年に国内で初めて液体状の墨滴を売り出した。

 いつでも、すぐに均一な黒色が出る墨滴は当初、「邪道だ」と返品されることもあったが、少しずつ広まった。73年には、同社が筆ペンを発売した。墨をする機会は、学校以外でも減っていった。

 今では、服についても洗濯すれば落ちる墨滴もある。「書道セット」に墨が入っていない場合もあるという。「墨は液体だと思っている子も多い」と綿谷さん。

 ニーズに合わせて商品開発してきたが、「最初の授業だけでも、墨をすり濃淡の中にいろいろな表情があることを感じてほしい。デジタル化の進む現代でも、良さを伝えていきたい」

 (古田真梨子)

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