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名もなき新島、どんな運命 残れば領海わずかに拡大? 小笠原諸島

11月16日付朝刊1面 1総合

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小笠原諸島・西之島(左)の沖約500メートルに出現し、噴煙を上げる新島=21日午前、本社機から、河合博司撮影

拡大西之島周辺の海底/クリックすると拡大します

新たな島(西之島付近)

 東京の南1千キロ、小笠原諸島に新たな島が生まれた。名前はまだない。今後、日本の領海や排他的経済水域(EEZ)は広がるのか。27年ぶりの新島の出現に関係者の期待は膨らむが、過去には現れてすぐに消えた島もあり、夢に終わる可能性もある。

 海上保安庁が21日昼に上空から観測したところ、前日に直径200メートルだった島は、長さ400メートル、幅200メートルに成長した。噴煙も前日の1・5倍の高さ900メートルまで達していた。

 「海の憲法」と言われる国連海洋法条約は、島について「自然に形成された陸地で、水に囲まれ満潮時でも水面上にある」と定義する。今回は小笠原諸島にある西之島の南南東約500メートルの領海内に現れ、内閣官房総合海洋政策本部によると、明らかに日本の主権の及ぶ島だという。

 名前はどうなるのか。同本部は「消滅せず安定してからの話」と慎重だが、地図や海図に名前が書かれていない島の命名と同じ手続きで、まずは地元での呼び名を市町村に照会する。東京都小笠原村は「何もなかった海なので、名前はない」としており、政府が名前の候補を挙げることになりそうだ。1973年に近くにできた島は「西之島新島」と命名され、その後に西之島と陸続きになった。

 菅義偉官房長官は21日の会見で「領海が広がればいい」と期待を寄せた。陸から12カイリ(約22キロ)までが領海となるため、同本部は「わずかに広がる可能性がある」とみる。一方、漁業や海底資源を独占できるEEZは200カイリ(約370キロ)まで。130キロ東の父島や210キロ南の北硫黄島を中心とするEEZと重なり、広がらない可能性が高い。

 ただ領海もEEZも、国際的に認められるには、海保が島を測量して海図に載せる必要がある。噴火が続くため、海保は測量船を出せず、飛行機での監視にとどめており、「島が落ち着くまで見守るしかない」という。

 (工藤隆治)

 ■溶岩出なければ消滅?

 新しい島は今後どうなるのか。専門家によると、火口から溶岩が流れ出るかどうかが運命を左右する。

 21日午前に本社機に同乗した東京大地震研究所の金子隆之助教(火山学)は「しっかりとした地形を造っている。島として残る可能性がないわけではない」と話した。

 上空からは、噴火の際、大きな岩が噴き上がって空中に飛び出し、水蒸気が尾を引く「コックステールジェット」という現象が確認できた。これは、地表に出てきたマグマが水に接して爆発する際の特徴的な現象だ。噴火が続き、噴出物が重なってマグマが海水に触れないようになり、溶岩として流れ出すようになれば、島が成長していくことも考えられるという。

 気象庁の山里平・火山課長は、噴出物が積み重なって島のようになっているだけで、波による浸食に弱い状態だと見る。「噴火が今の程度でおさまれば島は残らないだろう。前回(1973〜74年)の噴火後に残ったのは、溶岩が出たからだ。残るのはなかなか大変だ」。

 産業技術総合研究所の石塚吉浩・火山活動研究グループ長は「西之島は過去に一度しか噴火の記録がなく、どの程度、噴出物が出るかは分からない」と話した。

 (合田禄)



島すくすく、溶岩赤々 小笠原の新島

11月25日付朝刊39面 1社会

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火口から溶岩を噴出する新しい島=本社機から、遠藤啓生撮影

小笠原諸島の西之島近くにできた新しい島を24日、本社機から見たところ、真っ赤な溶岩が火口から噴き出している様子が確認できた。同乗した東京大地震研究所の中田節也教授(火山学)は「100メートルほどの溶岩流ができ、先端は海に注いでいる」と語った。溶岩流ができると、表面が固められ、島が崩れずに残る可能性が高まる。島の高さは二十数メートルに達し、最高地点が標高25メートルの西之島と同程度の高さまで成長。成長とともにマグマの通り道が安定し、地表まで到達するようになったと見られる。

 (編集委員・黒沢大陸、写真は本社機から、遠藤啓生撮影)

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