現在位置:
朝日新聞社インフォメーション >
NIE 教育に新聞を >
この記事を手がかりに >
記事

紙のカレンダー、どう生き残る

11月28日付 【大阪】朝刊8面 2経済

印刷

新日本カレンダーの宮崎安弘社長=大阪市

■新日本カレンダー社長・宮崎安弘さん(56)

 【諏訪和仁】――お店や企業がつくる贈答用カレンダーが減っています。

 「もともと近所の酒店、米店、電器店が、お店の名前や電話番号を入れて配っていました。多い家では10部以上ももらっていたと思います。そういうお店が減っています」

 「流通業などの大企業も、顧客サービスをカレンダーではなく、ポイントで還元するようになってきました。うちの生産量も、ピークだったバブル期に比べて10%減です」

 ――毎日1枚ずつめくる「日めくり」が、特に減った気がします。

 「うちは91年前に日めくりで創業し、ずっとつくり続けていますが、1964年の東京五輪までが全盛期でした。いまでは全生産量約3千万部のうちの15%に減った。月ごとにめくる『月めくり』が増え、今では75%が月めくりになってしまいました」

 ――月めくりが増えたのはなぜ?

 「日めくりだと、1週間、1カ月といった先の予定を書き込んだり、見渡したりできない。大安や仏滅などの六曜や旧暦、二十四節気といった暦を知るためだけでなく、日程管理の役割も求められるようになったからでしょう」

 ――予定を書き込めるものがいいと。

 「大きな月めくりはみんなで見るため、職場では個人の予定を書きにくい。そこで、職場や家庭の机に置く『卓上型』が毎年増えています。今年は昨年より生産を増やしました。15年ほど前から増え始め、今では全生産量の10%を占めるほどです」

 「パソコンやスマートフォンに書き込むほどではない、ちょっとしたことを書き込むのに便利だし、すぐ見ることができるのがいいようです。手帳代わりに1人1部使うので、今後も伸びそうです」

 ――売れ筋の図柄やデザインに変化は?

 「今年6月に世界遺産登録された富士山のカレンダーは、来年用に今年の3倍つくりましたが、飛ぶように出荷されました。ホームセンターなどが売る家族全員の予定を書き込めるタイプも売れています」

 「その一方で、10代、20代向けのアイドルやタレントの写真を使ったものは大幅に減りました。インターネットで、画像を見られるようになったせいかも知れませんね」

 ――新しいトレンドもあるのですか。

 「昨年、新たに出した月の満ち欠けを描いた日めくりや月めくりは、来年用も引き続き売れています。東日本大震災以降、自然の力の大きさを感じ、寄り添って暮らそうと思う人が増えているのでしょう」

 ――紙のカレンダー、なくなることは?

 「1年を通して四季がわかるカレンダーは、日本文化そのもの。後世に伝えていきたい。スマートフォンやタブレットは敵視しません。紙だからこそできることも生かしながら、スマホなどと融合したサービスを考えていきたい」

■カレンダーの未来は?

 毎日見るカレンダーですから、できることはまだある。読めば前向きになる言葉をつづった認知症の人向けの「人生をあきらめないカレンダー」のように、人が元気になるものをつくりたいです。

     ◇

 みやざき・やすひろ 関西学院大法卒。80年大日本印刷に入り、85年に新日本カレンダー(大阪市東成区)に。01年に父・靖介氏から社長を引き継いだ。新日本カレンダーの13年1月期の売上高は約95億円、パートなどを含む従業員数は約320人。

     ◇

 〈国内のカレンダー市場〉 二十数年前のバブル期は年3億部だったが、ここ数年は2億部まで減った。金額では800億円から600億円ほどに縮小。現在、部数の半分は印刷大手が生産する大企業向けで、残りが中小メーカーによる商店や個人向けだ。

ポイント学習ページへ ワークシートへ

バックナンバー

過去記事一覧

NIE 教育に新聞を

 新聞、ニュースを調べ学習や自由研究に役立てるページです。ご感想・お問い合わせなどは、NIE事務局(ファクス03・5540・7469)まで。