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 (いちからわかる!)
  個人情報の売買は違法じゃないの?
 (朝日新聞社発行 2014年7月18日付 朝刊2ページ)


 ◆ 不正(ふせい)な入手(にゅうしゅ)はダメ。でも売買自体(じたい)は禁(きん)じられていない

 アウルさん 通信教育大手(つうしんきょういくおおて)・ベネッセホールディングスの顧客情報(こきゃくじょうほう)を流出(りゅうしゅつ)させたとして元(もと)システムエンジニアの男が逮捕(たいほ)されたね。

  不正競争防止法違反(ふせいきょうそうぼうしほういはん)という容疑(ようぎ)だ。企業(きぎょう)にとって大切な情報を不正に取得(しゅとく)したことが問われている。2003年の法改正(ほうかいせい)で顧客情報のほか、商品(しょうひん)の設計図(せっけいず)や商売(しょうばい)の仕方(しかた)といった「営業秘密(えいぎょうひみつ)」を不正に取得した場合の刑事罰(けいじばつ)ができた。でも、ライバル企業を優位(ゆうい)にすることを立証(りっしょう)しなければいけなくて、事件(じけん)にするのが見送られてきた。

  その後、法律が変わったの?

  09年の法改正では、要件(ようけん)が「不正な利益(りえき)を得たり、保有者(ほゆうしゃ)に損害(そんがい)を与えたりする目的(もくてき)」に緩和(かんわ)され、情報を不正に取得しただけで摘発(てきはつ)できるようになった。だから、社員(しゃいん)や関連会社(かんれんがいしゃ)の社員でなくても、刑事責任(けいじせきにん)を問いやすくなった。

  名簿業者(めいぼぎょうしゃ)や最終的に購入(こうにゅう)した企業も摘発されるんでしょ?

  いや、購入元の違法行為(いほうこうい)を知っていないと、逮捕される可能性(かのうせい)は低い。一方で、転売(てんばい)した業者や最終的に買った企業が、情報を持ち出した人と共謀(きょうぼう)していたら、摘発されることもある。今回の事件も今後の警察(けいさつ)の捜査(そうさ)で明らかになっていくだろうね。

  でも、個人情報の売買(ばいばい)は違法じゃないの?

  個人情報保護法(こじんじょうほうほごほう)は売買を禁じていない。取引(とりひき)は本人の同意(どうい)を得るのが原則(げんそく)だが、ホームページに取り扱う情報の種類や目的、提供手段(ていきょうしゅだん)を示して、当事者(とうじしゃ)から求められたら削除(さくじょ)するといった条件(じょうけん)を満たせば、同意はいらない。

  名簿業者を規制(きせい)することはできないの?

  個人情報保護法はもともと情報を所有する企業が対象で、名簿業者は当初想定(とうしょそうてい)していなかった。名簿業者をチェックする省庁(しょうちょう)もなく、「個人情報を保護するには不十分(ふじゅうぶん)」という声もある。
(八木拓郎)




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 (時時刻刻)情報管理、見えぬ答え
  顧客批判受け一転、補償へ ベネッセ情報流出
 (朝日新聞社発行 2014年7月18日付 朝刊2ページ)


 大量の顧客情報を流出させたベネッセホールディングス(HD)は17日、情報管理体制の不備を認めた。否定していた補償にも踏み切り、信頼回復を目指す。ただ、情報システムにからむ作業は幾重もの委託構造になっており、情報漏れをなくすのには限界もある。政府は名簿業者の規制強化を念頭に個人情報保護法の改正を目指すが、課題も多い。

 「一刻も早く安心してもらえるよう、全力を尽くす」
 ベネッセHDの原田泳幸会長兼社長は17日、都内の会見で、改めて頭を下げた。流出を公表した前回の会見から約1週間。容疑者は逮捕されたものの、原田氏の表情は厳しいままだ。
 12日までに、ベネッセの相談窓口にはのべ約5万人から電話が寄せられた。うち6%にあたる約3千人は「進研ゼミ」などの退会に言及。その後も電話は続き、16日だけで約1万人にのぼるなど批判や反発はベネッセの想定を超えていた。
 顧客の怒りの火に油を注いだのが、9日の会見での原田氏の「(クレジットカード番号などの)センシティブ情報は流出していない」との釈明だ。子どもに関する情報は、親にとっては重大な情報だ。過去に個人情報を流出させた企業は金券などを配るケースも多く、早々と「金銭的な補償はしない」と明言した原田氏の姿勢への批判も相次いだ。
 17日の会見では一転して補償を打ち出した。原田氏は「お子さんの情報は、一般的なお客様の情報以上に、企業が責任を負うべき機密情報だ」と述べ、認識を改めたことを強調した。
 「機密情報」を預かる企業でありながら、グループ外部からの派遣社員が正規のアクセス権を使って、複数回にわたりデータを持ち出すなどずさんな管理も明らかになった。ベネッセの松本主税・最高リスク管理責任者は「事故が起きた以上、改善は必要」と、情報管理が不十分だったと認めた。
 ただ、どれだけシステムを整備しても、管理するのは人間だ。原田氏は「システムがあっても(従業員の)倫理観や強い責任感が必要だ。再発防止に向けて、大きな命題だと感じている」。
(平井恵美、生田大介)



 ◆ 外注・下請け、良心頼み ◆

 顧客情報に関するデータベース(DB)をつくってビジネスに活用しているのは、ベネッセに限らない。多くの大企業は、DBなどを管理する社内の情報システムの開発や運用・保守などをベネッセと同様に、情報サービス会社などに外注するのが一般的だ。
 こうしたシステム開発の現場で作業をする技術者は、システムエンジニア(SE)と呼ばれる。現場は様々な所属や身分のSEが寄り集まって、共同作業しているケースも多い。
 多くの現場では情報漏れを防ぐため、操作できる人を限定したり、機密情報はコピーや持ち出しができないようにしたりしている。操作の記録(ログ)も細かく残し、問題が生じた場合には後から追跡できるようにしている。
 豊富な経験を持つ大手情報サービス会社に外注した場合でも、実際の作業は「下請け」に出されるケースも多い。ベネッセの顧客情報を流出させたのは、再委託先であるグループ外の「下請け」に派遣されていたSEだった。ベネッセは社員の情報管理に力を入れてきたが、外注先からの情報漏れまでは防ぐことができなかった。
 しかし、情報管理を厳しくし過ぎると、システムを十分に仕事で活用できなくなったり、トラブルが起きた際の対応が遅れたりする側面もある。大手情報サービス会社の担当者は「データを人間が扱う以上、情報漏れのリスクを完全にゼロにするのは不可能。最終的には良心に頼るしかない」と限界を認める。
(高木真也)



 ◆ 名簿業規制、加速か ◆

 菅義偉官房長官は17日の記者会見で、名簿を売買する業者について「全体像がかなり把握されてくると思う。再び(事件が)起こらないように何が必要なのか。しっかりと法整備をしていきたい」と述べた。
 もともと消費者庁は、来年に向けて検討が進められているビッグデータ活用のための個人情報保護法改正に合わせ、名簿業者への規制導入を求めてきた。先月まとまった改正大綱では「検討課題」にとどまっていたが、事件を受けて一転現実味を帯びてきた。
 消費者庁は、名簿業者がどのような名簿を持っているかを国に登録させることを検討している。個人が利用停止の申し出をしやすくすることが目的だ。
 そのためにはまず名簿業者の実態を把握する必要がある。業者を指導監督するための法律を作ることも選択肢に挙げられる。よく似た例に探偵業法がある。2007年に施行され、探偵業を定義づけるとともに、都道府県公安委員会への届け出や契約時の書面交付などを義務づけた。
 だが、違法行為に手を染めている業者は把握できそうにない。探偵業者に関しては、全国の消費生活センターへの「契約以上の金額を請求された」といった相談は探偵業法施行で一時減ったが、後に増加して施行前と同水準に戻った。
 菅氏は「流出した全ての情報を消去する仕組みを検討する必要がある」とも述べている。これも実現には課題が多い。情報を入手し、利用している業者が「不正手段で流出したものとは知らなかった」と主張した場合、それでも消去を命じるとなると現行規定からの大転換になる。同庁は「個人情報をどう使い、どう守るかというバランスを考えなくてはならない」。
(小泉浩樹)



 ◆ 過去に情報流出で補償した主な企業 ◆

発表時期 企  業  名 対象人数と1人あたりの支払額流出規模(可能性含む)
03年 ローソン       115万人に500円     56万人   
03年 ファミリーマート     18万人に1千円     18万人   
04年 ソフトバンクBB   452万人に500円    452万人   
04年 サントリー      7万5千人に500円    7万5千人   
05年 オリエンタルランド   12万人に500円     12万人   
09年 三菱UFJ証券       5万人に1万円    149万人   
(企業名は当時。ローソンはポイントカード会員56万人分が流出したが、流出対象外も含め全会員115万人に補償。三菱UFJ証券は流出した149万人分のうち名簿業者に実際に売られた5万人分を補償。支払額は金券なども含む)

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