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 (時時刻刻)
  御嶽山噴火、予知は困難 微動観測から12分後
 (朝日新聞社発行 2014年9月28日付 朝刊2ページ)


 突然起きた御嶽山の噴火。半月前から山頂付近での地震活動が活発化したが、ほかに噴火の前兆はなく、予知は困難だったと気象庁や専門家は説明する。今回の噴火で何が起こったのか、噴火はいつまで続くのか。

 御嶽山の噴火は、27日午前11時53分。気象庁が火山性微動を観測した12分後で、突然だった。
 2007年の小規模噴火後は静かな状態だった御嶽山は、今年9月に入って地震活動が活発化した。9日に10回、10日は52回、11日には85回に増えた。気象庁はこれを受け、活動が活発化したことを自治体などに情報提供していた。
 しかし、12日以降は、地震が3~27回に減り、噴火警戒レベルは「レベル1(平常)」にとどめていた。北川貞之火山課長は、「地震の回数は減っており、噴火の可能性が高まったと判断することは難しかった」と話す。御嶽山は、気象庁が常時監視しているとはいえ、設置された観測機器は限られている。
 産業技術総合研究所の中野俊・上級主任研究員は「火山性地震という予兆はとらえていたが、噴火に結びつかないケースもあり、レベルを上げる判断は難しい」と話した。
 山頂から南に6・3キロにある国土交通省のカメラが南側の斜面に流れ下りる噴煙をとらえた。距離は少なくとも3キロに達した。これは火山噴出物と火山ガスが混ざって流れ下る火砕流なのか。
 気象庁は、火砕流と断言していないが、火山噴火予知連絡会の藤井敏嗣会長は「映像から判断すると火砕流と考えていい」と話す。静岡大の小山真人教授も「一方向に流れ、3~4キロぐらいまで達したことから火砕流ではないか」と指摘する。


■「水蒸気爆発」の可能性 マグマが地下水加熱、少ない前兆

水蒸気爆発とマグマ爆発の違い

水蒸気爆発とマグマ爆発の違い

 今回の噴火について、複数の火山学者は予兆をつかむことが難しい「水蒸気爆発」が起きたと指摘する。
 噴火は大きく分けて、マグマが直接噴出する「マグマ爆発」と、地下水がマグマに熱せられて起こる「水蒸気爆発」がある。
 マグマ爆発は、上昇するマグマの動きによって、山が膨張したり、小規模な地震が起きたりする。マグマが地表に出た近年の噴火には、火砕流が発生した1991年の雲仙普賢岳(長崎県)や溶岩流が流れ下った1983年の三宅島(東京都)などがある。
 一方、水蒸気爆発は、マグマそのものの動きは小さく、すでに山にある物質を吹き飛ばす。1995年の焼岳(長野・岐阜県境)などの例がある。
 今回は、山の膨張などは観測されていなかった。
 御嶽山を長年研究する三宅康幸・信州大教授によると、79年以降にあった複数の噴火は全て水蒸気爆発だったという。「噴出物を詳しく調べないと分からないが、前兆が無かったことから見ても水蒸気爆発ではないか」と指摘する。
 現地入りした金子隆之・東京大地震研助教は「火山灰がごま粒状にくっついており、水気の多い噴火ではないか」と話した。
 気象庁は終息まで数カ月に及ぶ可能性も指摘する。山岡耕春・名古屋大教授は「今後1~2週間は断続的に続くだろう」と話した。

■観測蓄積乏しく

 宇井忠英・北海道大学名誉教授(火山地質学)の話
 1979年の噴火に非常によく似ている。
 当時の噴火も小規模で、観測の蓄積もほとんど無いに等しい。データが豊富な有珠山では4日前から明瞭な兆候を観測して予知できたが、他の火山では通用しにくい。観測態勢の充実は理想だが、一足飛びにはいかない。予知の難しさ、被害の縮小に生かす難しさを、目の当たりにした。
 周辺に住民がいない御嶽山で難しいのが登山者の対応で、活火山だと意識してもらう必要がある。まだ、火山性微動が続いており、注意深く見守りたい。





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 火山列島、急襲 御嶽山噴火、地元は備え途上
 (朝日新聞社発行 2014年9月28日付 朝刊3ページ)


噴火警戒レベル

噴火警戒レベル

 警戒の間もなく、「予想外」の噴火をした御嶽山。110の活火山がある日本列島は、同様の突然の噴火のリスクを常に抱えている。一度発生すれば大きな被害をもたらす火山災害だが、他の災害に比べて国や自治体の対策は遅れている。

 「噴火があまりなく、火口がどこにできるかによっても危険地区が変わる」。御嶽山の防災対策を担当する国土交通省多治見砂防国道事務所(岐阜県)の担当者は27日、火山対策の難しさを語った。
 御嶽山では近年、1979年、91年、2007年と噴火があった。地元では火山への防災対策に取り組んできた。長野、岐阜両県はそれぞれ、噴火に備えた防災協議会を地元自治体などと07年までに設置。同事務所も11年、両県などと「御嶽山火山噴火緊急減災対策砂防計画」を策定した。噴火で発生する土石流を防ぐハード面の対策や訓練の実施が盛り込まれた。だが、未定の部分が多く、年1回ほど開く会議で詳細を検討中だった。
 ふもとの長野県木曽町は地域防災計画で「火山灰が降った場合はマスクやタオルで口をおおって避難する」など噴火対策も盛り込んでいる。噴火を想定した避難訓練も79年の噴火を機に一時実施。ただ、最近は途絶えていたという。
 11日、長野地方気象台は「御嶽山で地震が続いている」と長野県木曽地方事務所に伝えていた。ただ、その後は落ち着いていたため、事務所は「注視」という判断にとどめていた。気象庁が示す噴火警戒レベルも「平常」の「レベル1」だった。
 「レベル2」以上になると、登山者は火口周辺への立ち入りが規制される。ところが27日、御嶽山が噴火。事務所の担当者は「兆候がなかったため予想できず、検討会議を開くこともできなかった」と語った。

 ■避難計画完備7火山のみ

 火山災害への備えは全国でも遅れている。
 1973年施行の「活動火山対策特別措置法」は、農林水産業の被害を防ぐ計画や救助態勢づくりなどを定めるが、具体的な避難計画の策定は強く求めていなかった。国が活火山の周辺市町村に避難路や避難場所を明示する計画作りや、都道府県などと防災協議会を設けることを求めたのは、2011年12月になってからだった。
 火山災害を強く意識する自治体は、備えを強めている。鹿児島市の桜島では09年から昭和火口の活動が本格化し、昨年8月には5千メートルの噴煙が観測された。市は、警戒レベルが5になれば約5千人の全島住民に避難勧告を出し、フェリーで逃がす計画を立てている。
 富士山の噴火に備え、山梨、静岡、神奈川3県や国は今年2月、広域避難計画をまとめた。1707年の「宝永噴火」と同規模の噴火が起きると、火山灰による住宅倒壊の恐れから住民47万人が避難する必要があり、南関東全域で2センチほどの降灰があると想定。溶岩流が静岡県側に流れた場合は最悪で住民23万8千人の避難も必要とした。
 だが、内閣府の今年3月末のまとめでは、国内110活火山で特に監視強化が求められている47火山のうち、周辺市町村の避難計画がそろっているのは7火山のみ。1市町村も作っていない活火山も32あった。計130市町村のうち、計画策定は20市町村にとどまる。防災協議会を設けていない活火山も14あった。
 防災協議会設置が進まない理由として、複数の自治体は、大規模な噴火が近年起きていないことや、他の災害対策を優先していることを挙げる。国の有識者会議は昨年5月、防災態勢の整備と火山監視・研究を強化する法整備が必要と指摘した。火山の防災対策に詳しい荒牧重雄・東京大学名誉教授は「火山災害は他の災害より発生確率が低いため、国も自治体も対策を後回しにしている。全国的に対策を進めるため、火山ごとに精通する専門家も増やす必要がある」と話す。

 ■国内110活火山 監視は手薄

国内の活火山の分布/御嶽山の過去の火山活動

国内の活火山の分布
御嶽山の過去の火山活動
※クリックすると拡大

 地球表面のプレートとプレートがぶつかりあう日本は「火山列島」だ。海側のプレートが陸のプレートの下に沈み込み、地下でマグマがつくられる。その出口が火山だ。気象庁は過去1万年以内に噴火した火山などを「活火山」と定義し、日本には北方領土から海底を含めて110ある。世界の約7%を占めるといわれる。
 これまで国内の火山災害では多くの犠牲者が出た。1792年の雲仙岳(長崎県)では、地震や岩のなだれ、津波で約1万5千人の死者が出たとされる。1914年の桜島(鹿児島県)の大噴火で約60人、26年の十勝岳(北海道)噴火では、死者、泥流による不明者が計144人に上った。91、93年には、雲仙・普賢岳の噴火で火砕流が発生し、行方不明者を含めて計44人が犠牲になった。
 国は対策として、60年代に一部の火山で常時観測、65年に火山情報の発表を始めた。74年から火山噴火予知計画が始まり、火山噴火予知連絡会も発足。2007年には気象庁が噴火警報を出すことにした。現在、気象庁は御嶽山を含む主要47火山を24時間態勢で監視している。
 予知に成功した代表例が、00年3月の有珠山(北海道)の噴火。地震などの異常を読み取り、住民約1万5千人が避難し、人的被害は出なかった。
 ただ、噴火のタイプや前兆となる地震の起き方は火山によっても違い、予知には限界がある。個々の火山ごとに特徴を熟知した専門家の存在が欠かせないが、国内の大学にいる火山研究者は「40人学級」といわれるほど少ない。
 観測態勢の強化も課題だ。11年1月、本格的にマグマ噴火した宮崎、鹿児島の県境にある新燃(しんもえ)岳の場合、噴出物の量は2日間だけで数千万トンにのぼるとみられた。この時は噴火が切迫している兆候をとらえきれなかったとの指摘がある。
 火山予知連会長の藤井敏嗣・東京大名誉教授は「(主な47の)活火山でも手厚い観測態勢があるのは半数に満たない」という。

■国内の主な火山噴火と災害

1707年
富士山/江戸にも降灰(宝永噴火)
1783年
浅間山/死者1151人、江戸でも降灰(天明噴火)
1792年
雲仙岳/地震で眉山が大崩落し津波。死者約1万5千人
1914年
桜島/仙台まで降灰。死者約60人(大正大噴火)
1926年
十勝岳/死者・行方不明合わせ144人
1930年
浅間山/火口付近で死者6人
1940年
三宅島/大量の火山灰、死者11人
1947年
浅間山/降灰や山火事が発生。登山者9人死亡
1958年
阿蘇山/死者12人
1977年
有珠山/大噴火。翌年に泥流で死者2人、行方不明1人
1979年
阿蘇山/死者3人
1986年
伊豆大島/全島民1万人が島外避難
1991年
雲仙・普賢岳/溶岩ドームの崩落で火砕流。93年の火砕流と合わせ44人犠牲
1995年
焼岳/トンネル工事現場で水蒸気爆発
2000年
有珠山/住民が多数避難
2000年
三宅島/ガスが大量発生、全島避難
2011年
霧島山/新燃岳で噴火

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