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 夫婦同姓規定、合憲 最高裁「社会に定着」
 女性再婚禁止、100日超は違憲
  ★学習のポイント★
          元公立中学教員・日本NIE学会理事 有馬進一
        (朝日新聞社発行 2015年12月17日付 朝刊 1ページ)


 最高裁判所の大法廷が下した「夫婦同姓」と「再婚禁止期間」に関する2つの判決に注目が集まっています。
 婚姻(結婚)の際に、夫または妻のどちらかの氏(姓)を称することになる「夫婦同姓」の民法の規定は、憲法に違反せず合憲であるとの判決と、女性のみに6カ月間の「再婚禁止期間」を定めた民法の規定は、憲法に違反するとの判決です。
 どちらの規定も明治時代から続くものですが、「家制度」や「女性差別撤廃条約」とも関連していることから、2つの裁判には古くて新しい争点が含まれています。
 近い将来、多くの人が関係する現実的なテーマでもあります。憲法や民法に関係する、歯ごたえのある学習内容にもなっていますが、当日の紙面や関連する連載記事を参考にしながら、将来の自分と重ね合わせて考えてみましょう。

●以下、今回の学習で参考となる朝日新聞社のシリーズのテーマと掲載日です。ポイントごとに参照して調べてみましょう。

【教えて!結婚と法律】      → シリーズ「教えて!」にジャンプします

  1. 同姓規定、背景に「家制度」(2015年11月25日)
  2. 旧姓使用や事実婚、困ることは? (11月26日)
  3. 夫婦別姓、この姓はどうなる?  (11月27日)
  4. 国際結婚で姓はどうなる?    (11月28日)
  5. 夫婦別姓、各政党の立場は?   (12月2日)
  6. 同姓・別姓、海外の制度は    (12月3日)
  7. 再婚禁止期間、なぜ女性だけ?  (12月4日)
  8. 戸籍のない子、どうして?    (12月5日)

 ◎ 学習のポイント ◎

(1)「夫婦同姓規定合憲」の根拠について、記事を読んでまとめましょう。
 民法第750条には、夫または妻の氏(姓)を称することが定められています。争点となったのは、この規定が日本国憲法第13条、第14条1項に違反するかです。この規定に基づいて、婚姻(結婚)届には、夫の氏か妻の氏のどちらにするかをチェックする欄があります。
 原告は民法の規定そのものが憲法に違反しているとして提訴しましたが、どのような理由が挙げられているのか書き出してみましょう。
 最高裁は多数決で合憲と判断しましたが、どのような根拠に基づいているのでしょう。最高裁の判決には、補足意見や反対意見も示されますから、問題点を幅広く理解するのに役立ちます。

◆参考記事◆
【同姓規定 15人中5人「違憲」】2015年12月17日付朝日新聞朝刊
 http://www.asahi.com/articles/DA3S12120528.html
【再婚禁止期間 夫婦同姓 最高裁判決要旨】2015年12月17日付朝日新聞朝刊
  http://www.asahi.com/articles/DA3S12120409.html
【教えて! 結婚と法律②】旧姓使用や事実婚、困ることは?
  http://www.asahi.com/articles/DA3S12086395.html

◆参照条文◆
民法750条
「夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫または妻の氏を称する。」
日本国憲法13条
「すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。」
日本国憲法14条1項
「すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。」
日本国憲法24条1項
「婚姻は、両性の合意のみに基づいて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。」
日本国憲法24条2項
「配偶者の選択、財産権、相続、住居の選定、離婚並びに婚姻及び家族に関するその他の事項に関しては、法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して、制定されなければならない。」

 

(2)「選択的夫婦別姓」とは、どのような内容の制度でしょう。
 記事にもあるように、「選択的夫婦別姓が合理性がない、と判断したのではない」とし、「この種の制度のあり方は国会で論じ、判断すべきものだ」としていることから、国民的な議論を促す判決になっているとも考えられます。
 「夫婦別姓」を制度化する場合であっても、海外の制度を参考にすると、いろいろなパターンが考えられます。さらに、生まれてくる子どもたちの姓をどうしたらよいかなど、課題もあります。世論調査の結果なども参考にしつつ、導入の可能性を考えてみましょう。

◆参考記事◆
【教えて! 結婚と法律⑥】同姓・別姓 海外の制度は?
 http://www.asahi.com/articles/DA3S12098295.html
【教えて! 結婚と法律③】夫婦別姓 この姓はどうなる?
 http://www.asahi.com/articles/DA3S12088206.html
【教えて! 結婚と法律⑤】各政党の立場は?
 http://www.asahi.com/articles/DA3S12096371.html

 

(3)「女性再婚禁止 100日超は違憲」の根拠について、記事を読んでまとめましょう。
 争点となったのは、民法の女性の再婚禁止期間の規定に合理性があるかということです。最高裁15人の裁判官全員が、「離婚した女性は六カ月間再婚できない」とする民法の規定は違憲であると判断しました。
 父親の推定が重ならないようにするためには、再婚禁止期間は100日で足りるとの判断が示されました。この「100日」という根拠は、どこから導き出されたのでしょう。
 なお、2名の裁判官が女性の再婚禁止規定そのものが憲法違反であるとする少数意見を述べていますが、どのような理由からでしょう。

◆参考記事◆
【再婚禁止残した100日】2015年12月17日付朝刊(3面)
 http://digital.asahi.com/articles/DA3S12120472.html
【教えて! 結婚と法律⑦】再婚禁止期間、なぜ女性だけ?
 http://digital.asahi.com/articles/DA3S12100176.html

◆参照条文◆
民法733条1項
「女は、前婚の解消または取り消しの日から6ヵ月を経過した後でなければ、再婚をすることができない。」
民法772条2項
「婚姻の成立から200日を経過した後又は婚姻の解消若しくは取消しの日から300日以内に生まれた子は、婚姻中に懐胎したものと推定する。」
日本国憲法14条1項(同上)
日本国憲法24条2項(同上)

 

(4)最高裁の裁判官だったら、「夫婦同姓」「女性再婚禁止」について、どのような判決文を書きますか。
 まず始めに、結論としての主文を書きましょう。原告の訴えを認めるか否かを憲法に照らして判断します。続いて、そう判断した理由について根拠を示して書きましょう。
 憲法判断を下す場合には、15人全員による大法廷で審理され、過半数を占める多数意見が最高裁の判断になります。多数意見の立場であっても、補足意見を記すことができます。反対の立場なら「反対意見」を明示する必要があります。
 最高裁の裁判官は、任命後、最初の衆議院議員総選挙の際に実施される「国民審査」を受け、過半数の「×」がつくと罷免させられます。(日本国憲法第78条2項)

◆参考記事◆
【再婚禁止期間 夫婦同姓 最高裁判決要旨】2015年12月17日付朝日新聞朝刊
 http://www.asahi.com/articles/DA3S12120409.html
【社説・「夫婦同姓」の最高裁判決 時代に合った民法を】2015年12月17日付朝刊
 http://www.asahi.com/articles/DA3S12120423.html
【教えて! 結婚と法律①】同姓規定、背景に「家制度」
 http://www.asahi.com/articles/DA3S12084396.html

発展学習
 日本のような夫婦同姓の国は、ほかには存在しないとされていますが、海外では夫婦や子どもの姓はどのように決めているのでしょう。また、国際結婚の場合には、夫婦の姓や子どもの姓はどのように決まるのでしょう。
 また、1万人以上いるとの推計されている「戸籍のない子」は、どのような背景から生じているのでしょう。戸籍がないとどのような問題を生ずるのか調べてみましょう。【教えて!】のシリーズ記事を参考にして調べてみましょう。

◆参考記事◆
【教えて! 結婚と法律⑥】同姓・別姓 海外の制度は?
 http://www.asahi.com/articles/DA3S12098295.html
【教えて! 結婚と法律④】国際結婚で姓はどうなる?
 http://www.asahi.com/articles/DA3S12090323.html
【教えて! 結婚と法律⑧】戸籍のない子 どうして?
 http://www.asahi.com/articles/DA3S12102149.html

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