朝日新聞社 NIE - 教育に新聞を -朝日新聞社 NIE -教育に新聞を-
朝日新聞社 NIE -教育に新聞を-

 印刷印刷  l  記事  l  学習のポイント  l  ワークシート(PDF) l  この記事を手がかりにトップへ  




この記事を手がかりに

 「聖徳太子」「元寇」…表現元通りに
  学習指導要領、批判受け修正
  ★学習のポイント★
          千葉県市川市立第二中学校・武藤 和彦
        (朝日新聞社発行 2017年3月20日付 朝刊38ページ)


 この記事を読んでいて、文部科学省が1998年に改訂した学習指導要領(全国の小・中・高等学校、特別支援学校を対象に学校で教える内容や取り扱いを示したもの)を思い出しました。

 改訂当時は「円周率が3.14から3に」「台形の面積を求める学習はなくなった」という方針が一人歩きしてしまいました。「もう、円周率は3でいいし、台形は求める必要がないね!」という意識が広がった記憶があります。しかし、その後、文部科学省が「円周率としては3.14を用いるが、目的に応じて3を用いて処理できるよう配慮する」「公式を単にあてはめて計算するだけの学習はなくなるが、三角形の面積などを組み合わせて、自分で工夫して台形の面積の求め方を考える学習は行われる」と修正しました。学校現場はこの円周率と台形の取り扱いで混乱しました。

 さて、今回はパブリックコメントで批判にさらされ、文科省が修正せざるを得なかったことを伝える記事を一緒に読んで考えていきましょう。

 


 ◎ 学習のポイント ◎

(1)文部科学省は「聖徳太子」「元寇」「鎖国」の表記をどう改訂しようとしたのでしょうか
 小学校では「聖徳太子」を「聖徳太子(厩戸王・うまやどのおう)」、中学校では順序を入れ替え、「厩戸王(聖徳太子)」に変えようとしました。「元寇」は「モンゴルの襲来(元寇)」に、「鎖国」は「幕府の対外政策」との表記に変更する案を示していました。ほかにも表記を変えるケースがあるようです。改訂案のポイントを整理してみましょう。

 

(2)表記を改訂しようとした理由は何でしょうか
 文科省は学会などの歴史研究を踏まえたとしています。正しくは「厩戸王」なので、中学校では正式名を先に出そうとしたようです。そのうえで「古事記や日本書紀で『厩戸皇子』などと表記されていて、後に『聖徳太子』と称されるようになったことに触れる」としています。「元寇」については、モンゴル帝国の拡大をイメージしやすいように、「鎖国」は江戸幕府が窓口を制限しながらも海外との交易を続けていたことなどを重視したと説明しています。文科省の改訂理由をまとめてみましょう。

 

(3)文部科学省が表記を元に戻したり、復活させたりする理由は何でしょう
 パブリックコメントでは様々な批判が集まったようです。特に不評だった「聖徳太子」では「小中学校で表記が異なるのは教えづらい」という声が相次いだほか、国会でも「連続性がなければいけない」「歴史に対する冒?(ぼうとく)」との批判も。「元寇」については「元寇(モンゴル帝国の襲来)」と従来の表記に戻しました。また、「鎖国」は「『開国』があるのに『鎖国』がないと教えづらい」という意見が続出しました。交流の制限は事実なので、元に戻しました。多くの意見や声を受けて、改定案が修正されたようです。そこで見逃せないのが記事にもある、パブリックコメントではないでしょうか。

 

(4)パブリックコメントについて調べてみましょう
 パブリックコメントとはどのような制度なのでしょうか。大辞林(第3版)によると、行政機関が規制の設定や改廃をするとき、原案を公表し、国民の意見を求め、それを考慮して決定する制度とあります。簡単に言えば、多くの人の意見を聞いて社会に活かせるどうかを決めるための制度といえそうです。自分たちの学校や学級内でも、この方法(パブリックコメント)で改善を図るのもいいですね。

<参考>
・学研「キッズネットサーチ」※聖徳太子・元寇・鎖国の用語検索ができます
 https://kids.gakken.co.jp/jiten/
・小中共通・幼稚園 学習指導要領改訂案(2017年2月15日朝日新聞デジタル)
 ※関連記事として「指導要領から消える『鎖国』」があります)
 http://digital.asahi.com/articles/DA3S12796285.html
・聖徳太子、教科書で表記変更は妥当? 国会で論戦に(2017年3月10日朝日新聞デジタル)
 http://digital.asahi.com/articles/ASK396257K39UTIL04T.html
・電子政府の総合窓口「パブリックコメント制度(意見公募手続制度)について」
 https://www.e-gov.go.jp/help/public_comment/about_pb.html
・電子政府の総合窓口「学習指導要領案に対する意見公募手続の実施について」
 (3月15日締め切り)
 http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=185000878&Mode=0

★ NIEとは ★

 「Newspaper in Education(教育に新聞を)」の頭文字をとった略称のことです。
【→つづきを読む】


★ 新着ニュース(随時更新)★

NIE事務局から


★ 新聞授業実践ワークブック ★
  改訂版を発行 new

新聞授業ガイドブック 改訂版

朝日新聞社ではNIEの実践に向け、授業ですぐに使えるワークシートを盛り込んだ「新聞授業実践ワークブック改訂版」を発行しました。解説編の「新聞授業ガイドブック」とともにご希望の学校に無料で提供しています。【→詳しくはこちら】


★ 新聞出前授業 ★

新聞出前授業


天声人語 書き写しノート


語彙・読解力検定


朝日新聞デジタル



リンク一覧


★ NIEとは ★

 学校などの教育現場で新聞を教材として活用し、児童・生徒たちの学力とモノを考える力の向上を図るための活動です。歴史的にみると、1930年代にアメリカで始まり、世界各国に広がっています。日本では1985年の新聞大会で提唱されました。89年から、一定期間学校に新聞が無料で提供される「NIE実践指定校」制度がスタートし、その後少しずつ規模を拡大して現在にいたります。