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献体登録、20年で倍 解剖実習のための遺体提供 家族関係の薄さ反映?

3月9日付け朝刊1ページ 1総合

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 自分の遺体を医学教育の解剖実習に提供する「献体」の登録者が全国の大学で増えている。20年で倍増した。希望者が多く、登録制限したり、一時停止したりする大学も出てきた。映画や小説で取り上げられ、認知度が高まったほか、自分や家族の体にメスが入ることに抵抗感が薄れるなど、死生観や家族関係の変化が背景にあるようだ。(木村俊介)

 献体希望者は、無報酬、無条件で大学や献体篤志家団体に登録。亡くなると遺族が連絡し、毎年、3500人前後が解剖されている。篤志解剖全国連合会によると、登録者数は累計で、1988年度は計約10万人だったが、2008年度は計約23万3千人に。高齢者が大半だ。88年度に解剖された3653人のうち、献体の割合は56%だったが、08年度は3407人のうち95%にまで増えた=図。献体以外は、行き倒れなどの死者だ。

 登録を制限する大学も出てきた。広島大は10年ほど前から登録を抽選にした。「倍率」は約2倍だ。東京大は5年ほど前から制限。近畿大は2年ごとに50人前後を登録する。現在は約200人が登録待ちという。

 篤志解剖全国連合会長の坂井建雄・順天堂大教授(解剖学)は「口コミで増えている。家族関係がクールになったのも一因では」。近年は本人の意思を尊重する傾向が目立つという。

 高齢者から「身寄りがないので献体したい。遺骨を大学の納骨堂に入れて」との申し出もあるという。一人暮らし、墓の世話で家族に迷惑をかけたくない、といった事情が見え隠れする。登録を断ることもある。

 小説や映画の影響も。歌手さだまさしさんが04年に発表した小説「眉山」では、徳島で一人暮らしの母が末期がんになり、東京に住む娘に内緒で献体登録する。07年には映画にもなった。ロケ地になった徳島大では01年には登録者が少なく、解剖実習も危ぶまれた。しかし、現在は1千人が登録、年間の登録者数を40人に制限している。

 <さだまさしさんの話> 献体をしようと思う、そんな友人の一言から興味を持った。人生を終える時に、医師を育てる、という大切な役にたてるなら、それもありだな、と。そんな思いを医師は受け止めて欲しい、とこのテーマを小説にした。

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