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合格祈願代行、御利益は 護摩たき依頼、ネットに動画・遠方神社へ参拝

1月4日付夕刊1ページ 1総合

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 受験シーズンがやってきた。試験直前、一刻でも惜しい受験生らを相手に、神頼みを代行するサービスがある。御利益のほどは――。

 東京都台東区の業者は「オンデマンド祈願」と銘打った代行サービスをしている。奈良県の寺などで修行を積んだという「修験者」が、依頼者の願いを書いた護摩をたいて祈願。その様子の動画をネットで流す。

 1回の依頼で3千円。動画の冒頭には「心を集中し、軽く合掌してください」のテロップ。依頼者が自宅で手を合わせる。最後に「無事円満成就されました」と流れて祈願終了だ。代表の男性(63)は「時代に即した祈願の形です」と胸を張る。

 中国・上海市内に本社を置く業者は「遠距離などで合格祈願ができない方々のために」と、サイトで代行祈願を受け付けている。代金を振り込むと、東京にいるスタッフが最も近い「吉日」を選んで明治神宮(東京都渋谷区)か湯島天神(同文京区)に参拝する。4100円と、絵馬の奉納付きの8100円の2コースがある。

 ●お守り高値転売も

 学問の神様、菅原道真を祭る太宰府天満宮(福岡県太宰府市)は「代行サービスなどの商売行為は一切禁止」を掲げているが、祈願代行業者や、お守りを高く転売する業者が後を絶たないという。

 こうした業者への対抗の意味も込めて、太宰府天満宮自体がファクスでの合格祈願を受け付けている。1件5千円から。自筆ファクスか現金書留による申し込みを条件としている。

 同天満宮の職員は「ネット通販での手軽な買い物とは違う。神社の尊厳を保つために、これ以上は譲れません」と言う。

 神頼みを他人に任せてよいのか。全国約7万9千の神社を統括する神社本庁(東京都渋谷区)は「昔から、病気の人に代わっての回復祈願や、遠方の孫のために祖父母が合格祈願に出向くことなどは一般的だった」と言いつつも「神域にある社塔に自ら参拝することが基本である」との立場だ。自らネットで祈願を募集する神社も増えたため、2010年7月に全国の神社に自粛を求める通知を出した。

 ●「そもそも他者頼み」

 国学院大の井上順孝教授(宗教社会学)は「合格祈願は、そもそもが他力本願の行動。今はネットの世界が一般的になり、代行業者への依頼が増えるのは自然な流れではないか」。ただ、「ネットには悪徳業者もいるので、各自が気を付けて」と話している。(古田真梨子)

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