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(首都圏発)交通 並走2路線、速い方は? 山手線と京浜東北線、田端―品川/首都圏

4月14日付朝刊32ページ 首都4県・地域総合

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4・5月は「交通」

 首都圏を代表する過密ダイヤの鉄道路線、JR東日本の山手線と京浜東北線は、田端駅から品川駅まで13・9キロ区間を並走しています。その間、抜きつ抜かれつの状態になり、車窓越しに気をもんだ経験はありませんか。二つの路線、速いのはどちら――。

 ●乗客 先に来た列車?

 4月上旬、JR有楽町駅ホーム。4番線に大船方面行きの京浜東北線、遅れて3番線に外回りの山手線が東京駅から到着し、記者は京浜東北線に乗り込んだ。

 相次いで出発し、ほぼ同じ差を保っていたが、田町駅で京浜東北線が時間調整のため停車。「山手線の方が先に出発します」と車内放送が流れた。後から来た山手線に抜かれた。

 両路線の列車が並んで走る場面は、動画投稿サイトに「山手線vs京浜東北線 併走バトル」などのタイトルで多数の投稿がある。抜いたり抜かれたりする映像の面白さが人気だ。

 どちらに乗るか。両方が通学に使える慶応大2年の斎藤優樹さん(19)は「早く来た列車に乗る」。鉄道写真の撮影が趣味で、アルバイトも私鉄駅の補助員という鉄道ファンは、その理由を「区間距離が短すぎ、車両性能ではなく遅れなどの運行状況が到着時刻の差になる」と説明する。

 乗客に聞くと、「とりあえず、早く到着した電車に乗る」と斎藤さんと同じ答えが多かった。「後ろから来た列車に抜かれると、むかつく」(男子高校生)との声がある一方、「すいている列車に乗る」(20代OL)という人もいた。

 京浜東北線が快速運転をしている毎日午前10時半から午後3時半ごろにかけては、快速列車が止まる駅までなら京浜東北線のほうが早く着く。だが、田端駅―品川駅間の12駅のうち、快速が止まるのは5駅だ。

 斎藤さんは京浜東北線の快速に乗り換えようとして失敗し、ドアが閉まってしまった経験がある。JR東日本が乗り継ぎ調整をしていないためだという。

 ●JR 速度は「同じ」!

 山手線と京浜東北線の車両の基本性能は別表の通り。最高速度はともに時速120キロ。両路線で出せる最高速度も90キロで同じだ。駅間距離が0・5キロ〜2・2キロと短く、駅間で加速減速をするため、単純に最高速度までは出せない。

 両線の速さについて、ダイヤの作成担当でJR東日本東京支社の輸送商品計画グループリーダー、三井倉昭夫さんは「運行速度は車両間隔や天候などが複雑に絡む。どちらかで速度調整があると追い越しが起きることもあるが、車両の能力、速さの問題ではない」と説明する。そのうえで、「結論としては、両線の車両の速度は『同じ』としか言えません」と答えた。

 速さを比べるには、車両が停止状態から速度を上げる能力を示す「起動加速度」という指標もあるが、公表していない。JRによると、線路のカーブやぬれ具合、乗客数などで加速は大幅に異なるため、運行上の速さを比べるには不向きだとしている。

 山手線の運行は、平日朝が2分20秒から2分30秒間隔、日中が4分、夕方が約3分間隔。土日、祝日も約3分間隔だ。京浜東北線もラッシュ時間は山手線とほぼ同じで、快速時間帯は5分間隔で運行している。

 両路線は乗務員区という組織が分かれ、運転士は両方をかけもちすることはない。とすればなおさら、隣が気にならないか。

 三井倉さんは「運転士は定刻を守ること、安全運転が最優先。隣を走っていても、他の路線のことを考えることはない。つまり、張り合う気持ちなど全く起きません」と、ピシャリ。(紺野信幸)

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