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30年 とけない魔法/東京ディズニーリゾート

4月14日付朝刊39ページ 1社会

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15日から始まるパレード=いずれも小玉重隆撮影

 東京ディズニーリゾート(TDR、千葉県浦安市)が15日、開業30周年を迎える。よちよち歩きの子どもが親となり、自らの子どもの手を引いて同じ場所でカメラにおさまる。入園者も、使うお金も過去最高だ。「夢と魔法の王国」はデフレにも強い。

 「こんなうるさい孫ができるとは思わなかったわね」。4月上旬、東京ディズニーランド(TDL)を訪れた千葉県浦安市の仲波とく子さん(58)は、孫の杉田敢威(かむい)ちゃん(7)を抱きあげて笑った。

 とく子さんが初めて来園したのは30年前の4月。開園直前に浦安市民が無料招待された時だ。外国のような街並み。そびえるシンデレラ城。日常からかけ離れた光景に目を奪われた。

 次女で、敢威ちゃんの母、遥さん(30)は当時、生後9カ月。遥さんは、成長するにつれてTDLに夢中になった。高校時代は園内でアルバイト。夫(37)との初デートもTDLで、結婚式はディズニーシーのホテルで挙げた。敢威ちゃんは生後4カ月から連れて来ている。「ここが好きという気持ちが、親から子へ伝わっていくんじゃないかな」と遥さん。

 83年、TDLが開園し、01年には隣にディズニーシーがオープン。30年がたち、大きな強みは、仲波さんのように3世代で楽しむ人たちが増えていることだ。

 埼玉県鶴ケ島市の高橋晴美さん(60)も、5年前に初めて来て以来、年4回は娘や孫たちと来園。ホテルに2泊しゆったり過ごす。普段は人混みや行列は嫌いだが、「ここでは並ぶのも苦にならない」という。

 運営するオリエンタルランドも、3世代を意識した戦略を打ち出す。昨年3月から1年間放送したテレビCMは、幼い女の子「舞浜ゆめの」が大人になり、結婚、出産、子育てを終えるまでを、TDRでの体験に重ねてアニメで描いた。

 今春からの新CMのナレーションは、「子どもたちが笑うと、おばあちゃんが笑う。それを見てママもうれしくなる。さあ一緒に、3世代で――」。30周年を記念し、60歳以上が複数日使えるパスポートを15日から来年3月20日まで値引きするという。

 ■グッズ、毎年2割更新

 13日、福岡県久留米市の造園業、佐藤康博さん(25)が羽田空港から帰路についた。妻の明菜さん(24)、長女の未海(みう)ちゃん(1)との東京旅行。3泊4日で最大の楽しみはディズニーだった。

 ツアー代とは別に、ミッキーマウス柄の子供服やおみやげに3万円近く。「金銭感覚がなくなりますね」

 神奈川県横須賀市の森武美さん(49)は11日、次女の綾乃さん(23)と2人でグッズを5万円分買った。

 自宅では明かりをこまめに消す。夫や子には弁当をもたせる。500円玉は「ディズニーで使う用」に開いた口座に。「新商品なら買わずにはいられない」

 バブル後の90年代、来園者は年1700万人前後で足踏みしたが、「シー」で2千万人台になり、この3月までの1年は2750万人。過去最多だ。使うお金も、過去最高だった前年を超す1万420円(入園券込み)との予想を公表している。ハウステンボス(長崎)の約8千円、サンリオピューロランド(東京)の約4500円を引き離す。

 オリエンタルランドの上西京一郎社長(55)は「削ったお金を幸せが味わえるものに使う。そんな消費者の志向は明確だ」と話す。ただし、財布のひもが緩むのは経営努力があってこそ。

 園内で扱うグッズ約3万点のうち2割近く、飲食メニュー1千点の3、4割を毎年入れ替える。日々の売れ行きに目を光らせるコンビニを思わせる手法だ。清掃スタッフは水を浸したほうきで地面にミッキーやドナルドダックを描く。清掃スタッフに扮したパフォーマーがパントマイムをして驚かせる。アトラクション待ちの人も飽きさせない。

 ■ブログ、口コミ広がる

 「いまインしたよ」。東京都江戸川区の団体職員、松岡かおりさん(30)は週1回のペースでTDRを訪れるファン。インは入園という意味で、園内の様子や感じたことを写真とともに、スマートフォンからフェイスブックに投稿する。

 ファンのブログや投稿サイトには、口コミ情報があふれている。

 TDRが2年前に開設した公式ツイッターのフォロワーは43万人超。ブログやフェイスブックでは、ショーやパレードの担当者が開発秘話を明かし、商品情報を伝える。

 TDRとネットの親和性には企業も注目する。アトラクションのスポンサー、キリンビバレッジは紅茶飲料の販売に合わせて園内のホテル30連泊を抽選でプレゼントするキャンペーン中だ。2月末に発表すると、「30連泊 やば」「舞浜から通勤」などの反応が瞬く間にネット上に拡散した。(永井啓子、平井恵美)

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