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欧州生まれの日の丸車両 日立、英の鉄道866両受注 部品は独伊日、製造は英

7月19日付朝刊12ページ 2経済

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日立製作所が英国で生産する高速鉄道車両のイメージ図=同社提供

日立が英国で納入する鉄道車両は大半が欧州製だ

 日立製作所は18日、昨年7月に受注した英国の高速鉄道事業で270両を追加受注したと発表した。計866両のほとんどを現地生産し、主要部品も大半を欧州企業から調達する。製造業では円安で生産を日本国内に移す動きも出ているが、日立は鉄道の受注増が見込める欧州との関係強化を重視する。

 日立が受注したのはロンドンと全国の主要都市を結ぶ高速鉄道の車両で、最高速度は200キロ。電力とディーゼルの両方で走れる。昨年受注した596両と合わせた総受注額は58億ポンド(約8800億円)で、日本企業が海外で受注した鉄道では最大規模という。

 英北部のニュートンエイクリフに鉄道車両の新工場を建設し、2015年から生産を始める。ピーク時は730人を現地で雇う。日本でつくる約20両の試作車以外はすべて現地で生産し、17年から車両が走り始める計画だ。

 日立は6月末までに、ディーゼルエンジンやモーター、ブレーキはドイツ、車両の消費電力などを測る装置はイタリアの企業からそれぞれ調達する契約を結んだ。内装も欧州企業と交渉中で、日立がつくる電気系統の設備など日本でしか買えないもの以外は欧州で調達する方針という。05年に受注した英国の別の高速鉄道計画で、全車両を日本でつくったのとは様変わりだ。

 ■将来見据え現地拠点 「国内回帰」と異なる進路

 円安を背景に、パナソニックや東芝など他の電機大手では生産を海外から国内に移す動きが進む。

 日立は、英国の運輸当局から現地生産の要望があったものの、実際の契約では現地生産や欧州企業との契約を義務づけられてはいない。だが、日立の荒木良夫・IEPプロジェクト推進室長は「国内生産という選択肢はない」と断言する。「英国の新工場を欧州向けの車両輸出拠点にする。そのためには、現地との関係を深めることが重要だ」と考えているからだ。

 欧州各国では、鉄道車両の老朽化が進んでおり、新車両に切り替える計画が今後次々に出てくるとみられる。欧州で生産し、現地で実績がある欧州企業の部品を多くつかった車両なら、今後の受注競争で有利になる――という計算だ。また「現地の人にしかわからない事情もある」と、現地企業が各国の運輸当局などに張り巡らせた情報網にも期待する。

 13年3月期の鉄道事業の売上高は約1470億円だった。欧州事業の強化で17年3月期には2400億円にし、その6割を海外で稼ぐ計画だ。(田幸香純)

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