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高知・四万十市で41.0℃ 国内最高気温を更新

8月13日付朝刊1ページ 1総合

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最高気温の順位

高気圧が重なると暑くなる

 12日も全国的に猛暑になり、高知県四万十(しまんと)市で午後1時42分、国内の観測史上最高の41・0度を記録した。これまでの最高だった埼玉県熊谷市と岐阜県多治見市の40・9度を6年ぶりに更新した。四万十市が40度を超えるのは3日連続で、同じ地点としては全国で初めてだった。▼28面=「日本一」アピール

 気象庁によると、四万十市をはじめ、奈良県十津川村で39・4度、長野県飯田市で39・1度など13地点で、その地点の観測史上1位の暑さになった。他にも浜松市や甲府市などで39度を超えた。記録的な暑さのピークは14日ごろまでとみている。

 41・0度を記録した四万十市の西土佐地区は、愛媛県境に近い山あい。高知地方気象台によると、同地区の標高は70メートルほどと低く、周りは山に囲まれている。海からの南風が届かないため空気がよどみやすく、強い日射が加わると気温が上がる。今夏は、太平洋からの暖気が西回りで日本列島に流れ込む傾向にある。入り口にあたる高知県西部の四万十市で、西からの風が、山を越える際に温度を上げながら吹き下ろす「フェーン現象」に似た状況になったことも考えられるという。

 ■上空、二重の高気圧

 今回の猛暑は、中国大陸のチベット高気圧が一部切り離されたのが主な原因だ。気象庁によると、上空1万メートル前後を強く吹く偏西風が中国大陸の東で大きく南に蛇行。それによってチベット高気圧の本体から切り離された高気圧が、8月上旬から日本列島を覆った。

 この高気圧の高さは上空8千〜1万2千メートル。そのため、日本列島の上空5千メートル前後を覆う太平洋高気圧の上に重なり、高気圧が生む下降気流が上空1万2千メートルからつながった。

 大気は下降すると、周りの気圧が上がるのに伴い圧縮され、そのエネルギーで高温になる。今回は、太平洋高気圧だけの時より高い所から大気が下降した分、より暑くなった。

 (赤井陽介)



ぐんぐん、41.0℃ 高知・四万十市「暑さ日本一」早くも看板 国内最高気温を更新

8月13日付朝刊28ページ 2社会

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高知県四万十市では、暑さ日本一をアピールする看板が産地直売市の店頭に早速登場した=12日午後3時9分、四万十市西土佐江川崎、菊池均撮影

 国内最高気温の記録が12日に塗り変わった。高知県四万十市で41.0度を観測し、2007年8月に埼玉県熊谷市と岐阜県多治見市が記録した40.9度を超えた。6年間にわたり「日本一暑いまち」の座にあった熊谷市と多治見市は、思わぬライバル出現にも、暑さを逆手に取った街づくりの気持ちは冷めていない。▼1面参照

 ■熊谷市「悔しいけど…」 多治見市、再逆転に期待

 四万十市の国道沿いにある産地直売市場の店頭には、早くも日本一をアピールする看板が設けられた。

 看板を作った商工会事務局長の酒井奈穂さん(42)は「暑いのはつらいが、全国の人に知ってもらうチャンスです」。酒井さんの友人は「煮えるような暑さ」と表現し、暑さ日本一にちなんだクッキーやまんじゅうの考案を始めた。

 トップを明け渡した熊谷市。街づくりグループ「元町子供会」の中島雄平さん(25)は「悔しいが、暑さが厳しい街の人たちと交流を深め、暑さに強い街づくりを続けたい」。店の入り口に特大温度計を置く地元百貨店「八木橋」は「日本一を抜かれても、温度が下がるわけではない」と撤去を考えていないという。富岡清市長は「暑さを競っているわけではない。市民の健康を第一に暑さ対策に取り組む」とコメントした。

 多治見市の古川雅典市長は「再逆転があるかも知れない。暑さ日本一の看板は当面外さない」。

 地元の建設業界は道路の表面温度を抑える舗装を開発。「暑い多治見」を逆手に、国内やマレーシアなどに販路を伸ばしてきた。先頭に立って売り込んできた男性は「2位になったが、今まで通り力を入れていく」。

 ■体温超す気温、影響は 熱こもり臓器不全も

 12日は熱中症で搬送される人が相次ぎ、千葉県や愛知県などでは死者も出た。40度近くの異常な高温状態になると、私たちの体にどんな危険があるのか。

 体には、皮膚の表面から空気に熱を逃がす働きと、かいた汗が蒸発するときに熱を奪う現象を利用して体温を下げる働きがある。

 だが、体温より気温が高くなると、熱を逃がすのが難しくなる。さらに湿度も高いと、汗が蒸発しにくくなって発汗による体温調節も利きにくくなる。これが熱中症の原因だ。

 順天堂大の稲葉裕名誉教授(予防医学)は「そのままだと臓器がダメージを受け、意識がなくなったり、尿が出なくなったりして多臓器不全を招くリスクもある」と話す。免疫機能もうまく働かなくなり、感染症にかかりやすくなるという。

 大量の汗をかくと、体液のバランスも崩れる。水分が足りなくなると、体内で血液がうまく循環しなくなる。脳や心臓の働きを保つレベルの酸素を運ぶこともできず、ひどくなると血圧低下や心不全、意識の消失などが起きる。

 子どもやお年寄りは特に注意が必要だ。子どもは体内の水分を汗以外にも吐く息や皮膚から失いやすく、お年寄りは水分を多く含む筋肉が減っていて、余裕がなくなっているからだ。また子どもやお年寄りは腎臓の機能が低く、尿から水分を失いやすい事情もある。

 東京都健康長寿医療センター研究所の高橋龍太郎副所長は「室内にいたとしても、普段の5割増しぐらいの意識で水分をとることが必要」と話す。

 (岡崎明子、武田耕太)

 ■世界最高56.7℃ 米・デスバレー、100年前に記録 今年も54℃「靴溶けた」

 気象庁によると、最高気温の世界記録は米カリフォルニアの砂漠地帯、デスバレー国立公園。1913年7月10日、56・7度に達したとの記録がある。

 今年も猛暑が襲い、ロサンゼルス・タイムズ紙によると、6月30日に国立公園局の気温計は54度以上を指した。CNNは「運動靴が溶け出した」と言う住民の声を紹介。公園局の職員は地面に置いたフライパンで目玉焼きを作ってユーチューブに投稿した。

 イラク南部の中心都市バスラも世界有数の暑さで知られる。12日も午前で42度に達し、午後には46度に上昇した。

 地元の運転手ムアマー・ムサナさん(38)は12日、「41度くらいなら過ごしやすいね」と語った。油田が広がる郊外の砂漠地帯では50度超も珍しくない。「暑さは慣れっこだけど、水が熱すぎてシャワーも浴びられない」

 (ロサンゼルス=藤えりか、ドバイ=村山祐介)


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