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(天声人語)書聖・王羲之の麗筆

大阪市立昭和中学校・植田 恭子

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 さまざまな筆記具がありますが、今年の年賀状を、あなたは何を使って書きましたか。パソコンのお世話になったというひとも多いのではないでしょうか。手書き文字を書いたり、読んだりする機会が減ってきた現代だからこそ、「墨と筆」で書かれた書は大切にしたいですね。

 書の世界で「書聖」と呼ばれ古今随一の書家とされる王羲之(おうぎし)の作品の写しが見つかりました。今回は王羲之の摸本発見を話題にした天声人語から書の世界について考えていきましょう。

 ●学習のポイント

 (1)王羲之ってどんな人物?

 「おうぎし」というと、書道を学ばれた方なら誰もがその書に触れ、その「書」にあこがれ、尊敬の念を抱くひと。少し大げさかもしれませんが、王羲之とはそのような人物です。中国の書聖は、書道史上に名を残し、日本にも大きな影響を与えました。

 生没年についても諸説あり、真筆は現存していませんし、摸本もよい状態のものは世界でも十点前後とされています。ですから、今回の王羲之の摸本の発見というのは大きな出来事なのです。

 2013年1月22日から東京国立博物館で特別展が開かれます。興味をもたれた方はぜひすばらしい書の世界に触れてみてください。

 (2)三蹟、三筆って何?

 漢字とともに書も日本に伝えられました。王羲之の書いた「楽毅論」を臨書したものも残っています。漢字から平仮名や片仮名を生み出したように、遣唐使などにより、もたらされたものから多くを学びました。王羲之をはじめとする中国の書家からも多くの影響を受けていました。その一方で、独自の書を生み出していくことになります。

 三蹟(さんせき)、三筆(さんぴつ)というのは、平安時代の代表的な書道に優れたひとのことです。三蹟は、小野道風、藤原佐理、藤原行成、三筆は空海(弘法大師)、嵯峨天皇、橘逸勢を指します。それぞれどのようなひとかを調べてみましょう。弘法大師が実は筆を選んだエピソードが紹介されていますね。三蹟、三筆の書にまつわる情報も集めてみましょう。どのような書を残しているかについても調べてみましょう。

 (3)書と文字の関係について

 『漢字百話』(中公新書)で白川静さんは、「中国では早くから文字を用いる筆記法があり、書は筆で書かれた字を意味する」と述べておられます。

 書と文字の関係について調べてみましょう。石川九楊さんの『書と文字は面白い』(新潮文庫)は、漢字はどのように生まれたのか?「文字ではない書」っていったい何など、王羲之をはじめ、小野道風など多くの書と文字をもとに書かれた興味深い本です。

 漢字については「太古の呪術や生活の姿を伝える」のが「漢字の世界」であるという白川さんの『漢字百話』(中公文庫)や『漢字伝来』(大島正二著・岩波新書)などたくさんの本がありますので読んでみましょう。

 (4)書の世界を体験しましょう。

 筆の弾力と墨の濃淡、生み出される書の世界は無限です。上手い下手が問題ではありません。あなたが好きな文字やことばを筆で書いてみましょう。

 季節の好きなことばを書きとめて、オリジナルのカレンダーを作ってみるのも楽しいでしょう。書くことを日常の生活と結びつけていけるといいですね。今だと、寒中見舞いを書いてみてもいいでしょう。新年の決意を書いて部屋に張るのもいいですね。

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