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(文化の扉 歴史編)偉人の実像は? 福沢諭吉 自由・平等唱える アジア蔑視発言も

藤沢市立大庭中学校・有馬 進一

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 岩波文庫の『福翁自伝』を輪読(りんどく)した高校時代の国語の授業を思い出します。読み慣れない明治の文体にはかなり手こずりましたが、今思えば、それが100年以上ものタイムトリップをするためには必要な作法だったように思います。当時の慶應義塾の高揚した空気のようなものが教室に満ちて、まるで塾生にでもなった気分で読み進めることができました。

 志を高く掲げて熱く語りかけながらも、どこかクールな思想家であった福沢諭吉。気さくでありながらも、他に迎合しない巨人です。とは言え、幕藩体制が崩壊する中で、近代日本の国のかたちや人間の生き方を示し続けた大思想家であり教育者であったことは間違いないでしょう。今回は、偉人・福沢諭吉の実像に迫ってみましょう。

 ●学習のポイント

 (1)福沢諭吉の生涯を映像で見てみましょう。

 映像化されにくい人物として、記事では紹介されています。様々な分野で活躍したこともあり、いろいろな顔を持つとらえどころのない人物であることからもストーリーが組み立てにくいとも言えます。わが家の近くに慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス(SFC)があり、よく利用させていただいています。そのメデイアセンターで下記のDVDを見つけ、さっそく借りて視聴してみました。福澤諭吉の生涯がわかりやすくまとめられていますので、近くの公共図書館で探してみてはどうでしょう。

 ※参考資料
 DVD「学問と情熱 福澤諭吉: そして文明の海原へ」
 紀伊國屋書店評伝シリーズ  第21巻

 (2)福沢諭吉の生涯を略年表にまとめましょう。

 福沢諭吉の生涯を知るためには、伝記物が一番でしょう。何種類もの伝記が出版されていますが、中学生のみなさんには、『福沢諭吉』(小島直記著、講談社少年少女伝記文学館・第15巻)お勧めします。小学生でしたら、『福沢諭吉』(浜野卓也著、ポプラ社おもしろくてやくにたつ子どもの伝記・第15巻)などが良いでしょう。学習まんがも出ていますから探してみましょう。

 ※「福沢諭吉年譜」(慶應義塾のサイト「慶応義塾を知る・楽しむ」)
 http://www.keio.ac.jp/ja/contents/fukuzawa_history/index.html

 (3)福沢諭吉の実像に迫る。

 記事では、「諭吉語録」や「グルメな諭吉」、「おちゃめな諭吉」が紹介されています。一言では言い表せないほどのマルチ人間・福沢諭吉の知られざる一面を調べ、その実像に迫ってみましょう。Webサイトでは、下記の慶應義塾のホームページが参考になります。その中の「慶應義塾豆百科」がお勧めです。

 ※慶応義塾豆百科(慶応義塾のサイト「慶応義塾を知る・楽しむ」)
 http://www.keio.ac.jp/ja/contents/mamehyakka/index.html

 また、「天は人の上に人を造らず、人の下に人を造らず・・・」で始まる『学問のすゝめ』は、福沢諭吉を知る上で必読の書です。この他に、『西洋事情』や『文明論之概略』が有名です。小中学生には読み解くには大変かもしれませんが、おおよその内容をつかむためにも、手にとってみてはどうでしょう。さらに、批判的な立場からの研究も実像に迫るためには大切なことです。近々刊行される『福沢諭吉の教育論と女性論』(安川寿之輔著)が楽しみです。

 (4)福沢諭吉のゆかりの地を訪ねてみましょう。

 まずは少年時代を過ごした大分県中津市にある福沢諭吉の旧居です。蘭学を学んだ適塾も旧緒方洪庵住宅として大阪市中央区に現存します。東京都中央区明石町には、慶應義塾発祥の地の記念碑があります。その右隣には、「解体新書」が翻訳された場所を示す碑もあり、そこが日本の近代文化発祥地であることがわかります。

 そして、何と言っても港区の慶應義塾大学三田キャンパスが挙げられるでしょう。福沢諭吉のお墓は港区元麻布の善福寺にあります。命日は2月3日(1901年)。法名には慶應義塾の教育の基本を示すことば、「独立自尊」が組み入れられています。

 ※参考図書
 『福澤諭吉 歴史散歩』(加藤三明・山内慶太・大澤輝嘉著、慶應義塾大学出版会)

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