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世界の富士山、宿題の山 審査の経緯、非公開 世界遺産登録へ

慶応義塾大学大学院メディアデザイン研究科(元公立中学教員)・有馬 進一

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 富士山に登ったことがある人も多いことでしょう。私も、高校時代からこれまでに3度、頂に立ちました。その都度、違った顔を見せてくれる魅力のある山です。頂上からの眺めはもちろんですが、登山道で、無数のアサギマダラ(蝶)がひらひらと舞う姿に出会い、思わず息をのんだこともありました。登ったことはない人でも、朝夕見ることができれば、富士山のへの思いは格別なものがあると思います。

 いよいよ世界文化遺産として登録される日が近づいてきました。自然の豊かさでも意義のある山ですが、今回は文化遺産としての登録となります。

 学習のポイント

 (1)私たちにとって、富士山はどのような存在の山でしょう。

 富士山への思いは、一人ひとり違ったものがあることでしょう。日本人の見方と外国人観光客の見方も当然違いがあるでしょう。でも、圧倒的な存在感がありますから、どこかに共通するものがありそうです。

 日本に住んでいても、残念ながら直接見ることができない人たちも多いことでしょう。富士山の写真集やビデオは身近にあると思いますが、下記のホームページでもすてきな写真を鑑賞できますから、まずは富士山やその写真などを見て、自分にとってどんな存在か、どこが魅力かなどについて、ことばにしてみましょう。

 (参考)朝日新聞デジタルのフォトギャラリー「富士山、世界文化遺産登録へ」
 http://www.asahi.com//national/gallery/20130430icomos/

 (2)登録名称「富士山と信仰・芸術の関連遺産群」とは何か、調べてみましょう。

 これまでに、「自然」遺産での登録を目指したこともある富士山ですが、今回は「富士山と信仰・芸術の関連遺産群」として、文化遺産での登録となっています。山だけでなく、具体的に、どのような構成要素が指定を受けることになるのでしょう。下記のホームページなどを参考に調べてみましょう。

 (参考)NPO法人「富士山を世界遺産にする国民会議」のページ
 http://www.mtfuji.or.jp/index.html

 (3)「世界の富士山 宿題の山」とは、どのような意味でしょう。

 記事につけられた「夏季登山者数の推移」のグラフから、登山客の増加がわかります。年間30万人を超える登山者でごった返す登山道の写真も掲載されています。富士山は既にオーバーユース(過剰利用)の状況にあることが問題とされているのです。環境保全の問題や登山者の安全対策など、考えなければならない問題がたくさんあります。

 山小屋も数多くありますが、1畳のスペースに2人寝ることも珍しくはありません。トイレやゴミの問題など、様々な問題が発生してきます。

 このほかにも解決しなければならない宿題がまだまだありそうです。

 (4)この宿題の解決策を考えて、提案しましょう。

 文化遺産候補を審査するイコモスは、2016年2月1日までに、「保全状況報告書」の提出を求めています。観光客の増加を期待してそろばんをはじく前に、その抑制策を考える必要がありそうです。特に地元の静岡・山梨両県は、宿題の解決策を考えてそれに取り組まなければなりません。

 すでに「マイカー規制」の強化などが実施されていますが、新たに「入山料」の徴収が検討されています。

 このほかにも解決策があるはずですから、地元の自治体や新聞の「声」欄などに提案してみてはどうでしょう。

 (参考図書)
 『富士山学への招待 NPOが富士山と地域を救う』渡辺豊博著(春風社)
 『富士山 信仰と芸術の源』富士山世界文化遺産登録推進静岡・山梨両県合同会議、NPO法人・富士山を世界遺産にする国民会議(小学館)

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