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楽天初の日本一 「仲間に感謝」田中締めた

慶応義塾大学大学院メディアデザイン研究科(元公立中学教員) 有馬 進一

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 今年の日本シリーズは、プロ野球ファンならずとも、特別な思いで見た人も多かったことでしょう。最終戦、巨人ファンは仙台での応援に今ひとつ力が入っていなかったように感じました。「必勝・巨人」という思いの一方で、震災を乗り越えてがんばってきた「楽天と東北の人たちにエールを送りたい」気持ちとが、複雑に交錯しているように思えたからです。

 開幕前には巨人の優勢が伝えられていましたが、第7戦目にして名実ともに「巨人」を破って東北楽天ゴールデンイーグルスが優勝しました。「がんばろう 東北」の文字をユニフォームに縫い込んで躍動する新興チームの選手たち。その選手たちを勢いづける大声援に、「東北の底力」を見たような気がしました。

 今回は、楽天の優勝を伝える11月4日の朝日新聞朝刊を丸ごと使い、楽天対巨人の戦いを通して、野球、さらにはスポーツの持つ力について考えてみましょう。

 ●学習のポイント

 (1)楽天初の日本一 「仲間に感謝」田中締めた(1面)の記事(見出し)と写真には、どのような関係があると思いますか。

 記事には「歓喜の輪の中心はやはり田中だった。」とあります。レギュラーシーズン24勝無敗1セーブの実績を有する田中将大投手は、前日の第6戦で160球を投げて完投したものの敗戦。マーくんの連勝にストップをかけた巨人はさすがです。

 しかし、この男がいなければ楽天の優勝はなかったと考えると、その存在感は計り知れません。でも、一人の力でチャンピオンフラッグを手にすることはできません。そう考えると、この見出しの背景となっているものが見えてきそうです。正解というものはありませんから、編集者の判断をあれこれと考えて推理してみてはどうでしょう。

 (2)「見たぞ 東北の底力」(社会面)の記事には、東北の人たちの希望や願いが込められています。嶋選手のスピーチを聞いて、「東北の底力」とはどのような力なのか書いてみましょう。

 「東北の底力」というフレーズは、楽天のキャッチャー・嶋基宏選手の言葉です。2011年4月29日、本拠地・Kスタ宮城での開幕戦でのスピーチが元になっています。当時の嶋選手のスピーチ映像を見て、嶋選手の想いを書き留めてみましょう。そうすることで、この記事の背景をより深く理解するきっかけが得られることでしょう。

 (参考)「楽天グリーンスポーツ」
http://rgreensports.web.fc2.com/shimaspeach/shimaspeach.html

 (3)「楽天初優勝 被災地と支え合った」(社説)を参考にして、楽天の優勝をテーマにコラムを書いてみましょう。

 どんなことが書いてあるか社説を要約しながら文章を書いてみてはどうでしょう。

 たとえば、・・・

 楽天イーグルスは、「球界再編騒動」で誕生した地方の弱小球団です。9年前に「38勝97敗1分」という成績で、みじめなスタートを切りました。そして、2年前の東日本大震災では、選手たち自身ももがき苦しみました。そんな中にあって、嶋選手が示した「見せましょう、野球の底力を」とのメッセージは、楽天の選手を奮い立たせる一方で、被災した東北の人たちを勇気づけました。今回の優勝は、被災地の人たちと支え合って、一歩一歩階段を登り詰めた努力の成果と言えるでしょう。楽天の優勝は、これまでのスポーツの概念を超え、東北の人たちに勇気と希望を、そして日本中の人たちに心地よい余韻を残してくれました。

 楽天の優勝について、自分の考えをちょっとプラスして書いてみようと言うわけです。

 (4)「楽天飛翔 王者の翼」(スポーツ面)を読み、印象に残った選手へ向けて「お祝いのメッセージ」を書いてみましょう。

 スポーツ面を見てみましょう。星野監督の胴上げ写真や最終戦で活躍した選手たちの写真が並んでいます。特に署名記事には、選手たちのコメントやエピソードも載っています。その中から特に印象深い選手へ向けて「お祝いのメッセージ」を書いてみましょう。

 一方、呆然と立ちすくむ巨人の大黒柱・阿部慎之助選手の写真が対照的です。巨人ファンのみなさんは、悔しい思いをした阿部選手へ「一言メッセージ」を書いてみてはどうでしょう。

 (参考)

 「楽天イーグルス 日本一記念特設サイト」東北楽天ゴールデンイーグルス公式サイト
http://www.rakuten.ne.jp/gold/rakuteneagles/2013japan-champion/

 ●発展学習

 楽天の星野仙一監督を紹介する「ひと欄」を参考にして、田中将大投手を紹介する文章を書いてみましょう。

 同日付の読売新聞(朝刊)ではどのような紙面になっているのでしょう。敗れた読売・巨人軍、そして勝った楽天チームは、それぞれどのような扱いになっているのか、読み比べてみてはどうでしょう。

 さらに、興味のある人には、昨年まで楽天の選手だった山村さんの著書を紹介します。選手として内側から見た楽天球団の姿が記されています。楽天が誕生するきっかけとなった「球界再編騒動」についても、選手の立場からわかりやすく書かれています。

 (参考)

 『楽天イーグルス 優勝への3251日 ――球団創設、震災、田中の大記録…苦難と栄光の日々』山村宏樹著 角川SSC新書(電子書籍版)

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