現在位置:
朝日新聞社インフォメーション >
NIE >
外岡秀俊本社編集委員が講演

外岡秀俊本社編集委員が講演

講演する外岡秀俊編集委員 講演を聴く生徒たち 講演後、質問する生徒 講演終了後も外岡編集委員を囲んで熱心に質問する生徒たち

 東京学芸大学付属国際中等教育学校3年生の生徒と教職員120人が5月27日、朝日新聞東京本社を訪れ外岡秀俊本社編集委員の講演を聴いた。11月の沖縄修学旅行に先立っての事前勉強のためで、一貫して沖縄の住民の視点に立って取材を続けてきた外岡編集委員の話に熱心に聴き入っていた。

 外岡編集委員は、明朝の中国と日本双方と関係を持ちつつ独立を保ってきた琉球王国時代、薩摩藩の支配を経て明治維新後に沖縄県となり、太平洋戦争末期に唯一国内で戦われた地上戦といわれる沖縄戦や戦後27年間にわたって米軍政下に置かれた沖縄の歴史を解説、国内の米軍基地の74%が沖縄に集中し、嘉手納市の面積の80%以上を基地が占める「基地の中に沖縄がある」現状を説明した。普天間基地移設問題では、「沖縄が基地を引き受けてくれて日本の平和が成り立ってきたということを忘れないで、自分の問題として考えてほしい」と強調した。

 また、「日本の報道は東京の視点になりがち。みなさんのなかには大勢の帰国子女がいるので、まず級友同士で話をしてほしい。その国の視点、現地の視点を持つことはこれからの日本にとって強み。修学旅行に行ったら、普天間周辺にある学校の同世代の子どもたちと話をして、みなさんとは違う視点を感じてほしい。いくつもの視点を心のなかに持つことを大事にしてほしい」と訴えた。

 講演後の質疑では次々と質問の手が上がった。「日米安保条約の解消の条件は?」「普天間基地を県内外に移設するときの問題点は?」「相手の立場に立った視点を持つにはどうすればいい?」「沖縄戦下で起きた集団自決は家族の問題では?」。外岡編集委員は、「大学で講演してもこんなに質問はこない」と中学生の熱心さに感心。質問には、「安保条約解消には、遠回りに見えても外交などで東アジアの緊張を減らす努力をするしかない」「普天間基地に駐留する海兵隊の役割は敵地を急襲し根拠地をつくること。荒っぽい隊員も多く、積極的に移転先を引き受けようというところはない」「相手の痛みは本当にはわからない。まず現地に行くことが大切」「沖縄戦での集団自決は、降伏したらひどい目に遭うという当時の教育の下で起きた。沖縄守備隊の任務は本土決戦まで米軍を釘付けにすること。住民は琉球の言葉をしゃべるだけでスパイ扱いされ、逃げ込んだガマから追い立てられた。極限状況のなかに置かれていたという背景を知ることが大切」などと答えていた。時間が過ぎても大勢の生徒たちが外岡編集委員を囲み、質問攻めにしていた。

 引率した古家正暢(ふるや・まさのぶ)教諭は、「阪神大震災と沖縄の米兵による少女暴行事件。生徒たちが生まれた15年前にあった2つの事件現場を修学旅行先の候補にあげ、沖縄に決めた。生徒たちは、沖縄の問題を自分の問題として考えて、という外岡編集委員の言葉が身にしみたようだ。基地の負担と日米安保条約の必要性の間でも、心が揺れているようだ。修学旅行では沖縄の人たちと対話ができるように、農業体験を組み込んだり、少人数で行動したりすることを検討している」と話していた。