「NIE授業イメージできる機会づくりを」 京都で第7回日本NIE学会

自由研究発表を熱心に聞く参加者たち=京都教育大で 「教科書に登場することで、新聞活用の魅力に気づく先生が増えていくだろう」と話す高木まさき・横浜国立大教授 島根県教育センター指導主事の野津孝明さんは「新聞メディアの特質をまず教師が学ばなければ」と強調した ニュースウオッチングなどの取り組みを紹介する兵庫県宝塚市立宝梅中学校の岡本光子さん 生徒によるニュースウオッチングの学習例 図書委員会活動にNIEを組み入れた実践を報告する岡山県立岡山城東高校の畝岡睦美さん

 NIE(教育に新聞を)活動を学問的に研究する「日本NIE学会」の第7回大会が11月27、28日、京都市伏見区の京都教育大学で開かれた。教員や大学の研究者、新聞関係者ら約180人が参加し、授業実践の結果や今後の課題について話し合った。

 初日は二つのシンポジウムがあった。「新学習指導要領と新聞活用」と題したシンポジウムでは、横浜国立大学の高木まさき教授が10道府県の過去5年分のNIE実践報告書から授業内容を分析し、「新学習指導要領の求める方向性から、表現の形式や他メディアとの比較、読み手同士の交流にウエイトを置いた学習展開が今後重要になる」と指摘した。島根県教育センター指導主事の野津孝明さんは、教育現場の多忙と教師の新聞離れによる「授業の形骸化」を招かないために、新聞を活用した授業をイメージできる機会づくりが必要だと提言した。

 シンポジウム「メディア社会とNIE」では、高知市立江ノ口小学校の川口加代子教諭が、地元新聞社と連携した授業実践を紹介。樋口克次・大阪経済大学教授は新聞を読まない、読めない大学生の現状と新聞界への改善案を提示し、大学生に向けたNIEの必要性を指摘した。

 2日目の自由研究発表では、新聞の特性を生かした授業実践が紹介された。

 立命館大学(京都)の秋田典昭教授は、一般入試を経ない特別選抜合格者に2カ月間、新聞コラムの要約などの「入学前教育」を実施した結果を報告した。受講生の評価は予想以上に肯定的で、提出率も96パーセントと高かったほか、文章を読み、書くことに自信を持てたことが「最大の効果ではないか」と述べた。

 兵庫県宝塚市宝梅中学校の岡本光子教頭は、生徒が新聞から選んだ記事の内容を保護者や友人らに説明し、意見や感想を聞き取ってまとめる「ニュースウオッチング」、4人1組で起承転結を書き継いでいく「リレー作文」などを社会科の授業で行っている。他人への説明という段階を組み込むことで、社会科でも「読む・書く・話す・聞く」力の育成につながる活動ができると説明し、NIEでは、指導者の柔軟な発想で全教科・領域で高い学習効果が期待できると話した。

 岡山県立岡山城東高校の畝岡睦美教諭は、生徒会図書委員会にNIE活動を取り込んだ前任校、同県立東岡山工業高校の実践を発表した。学校全体の活動として位置づけることで、時事川柳など新聞を素材にした文芸活動や新聞記者を招いた講座の開催、新聞制作と活動が広がり、生徒たちの主体性を引き出す取り組みになったという。

 第8回大会は2011年11月26、27日、徳島県の鳴門教育大学で開かれる予定。