「社会的読解力、新聞で伸ばす」 斎藤孝さんが大阪で特別講演

斎藤孝・明治大学教授=大阪市北区の大阪国際会議場 新聞記事の授業での活用法を話す中島順子教諭=大阪市北区の大阪国際会議場

 学校の教職員や保護者らを対象にした朝日教育セミナー「やってみよう新聞授業」(朝日新聞社主催)が6月5日、大阪市北区の大阪国際会議場であった。明治大学の斎藤孝教授が「新聞で学力を伸ばす」と題して特別講演した。

 斎藤教授は「新聞で扱う題材には答えが一つでないものも多く、ニュースの文脈や発信者の立場など背景を考えながら読む『実用的な言語能力』や『社会的な読解力』を伸ばすのに適している」と話した。

 大阪市の小学校教諭らによる模擬授業や実践報告もあり、約450人の参加者が、数人のグループに分かれて、投稿欄の内容を要約したり、感じたことを互いに伝え合ったりした。

 斎藤教授の講演内容と、実践報告は以下の通り。

 日本語を新聞で学ぼう 討論や比較、模擬授業披露

 「新聞は実用日本語を教えるのに最も適した教材です」。齋藤孝・明治大教授は朝日教育セミナー「やってみよう新聞授業」で語りかけた。新学習指導要領で言語活動の充実が求められる教育現場では、「生きた授業」をするために新聞の活用がさらに注目を集める。

 「新聞が伝えているのは社会そのもの。新聞を読むということは社会とつながること、生きる力を養う」

 齋藤さんが強調したのは新聞要約の効用だ。大学生に気になる記事を切り取らせて要約させるうちに、自ら進んで意見発表を始めた例を紹介し、「実用的な言葉で書かれた新聞は、相手の話を理解し、自分で考えるためのツールとして最適です」。

 齋藤さんの講演を受け、大阪市立開平小学校の中島順子教諭、同市立昭和中学校の植田恭子教諭、甲子園学院中学・高校の鎌田隆教諭が登壇し、模擬授業を披露した。

 中島教諭は、スポーツ面のテニス選手のプレー写真を手に「小学1年生になったつもりで、思いつく言葉をあげてみてください」。

 参加者から「ラケット」「青色シャツ」などと声があがると、「じゃあ、今出た言葉を使って、文章を考えて」。子どもたちが互いの言葉を聞くことで語彙(ごい)も豊かになる、と話した。

 ある問いに対して賛成か反対かに分かれて討論するディベート学習に新聞を活用している鎌田教諭は「ディベートのテーマを見つけるのは新聞が最適」という。震災以後大きな議論が続く原子力発電について、新聞の報道をもとにテーマを設定すれば関心が高まると紹介した。

 植田教諭は、5月17日付の大阪城ライトアップの各紙記事を例に、新聞によって異なる見出し、記述を子どもたちが見つける「比較読み」を紹介。子どもたちが報道の違いを楽しむことで「情報を読み解く力」を育成することができると唱えた。