大震災をテーマに 「先生のための新聞活用講座」始まる

被災地取材の様子を話す上野創記者 仙台弁を交えて講演するNIE教育コンサルタント・渡辺裕子さん 参加者どうしが記事について意見を交換するワークショップも。会場には生徒が新聞で見つけた「喜怒哀楽」が張り出された 講座の締めくくりは仙台弁。渡辺さんの提案で上野記者が「おみょうぬず(また明日)」

 震災をテーマにした連続講座「先生のための新聞活用講座――東日本大震災に学ぶ」の第1回が7月10日、東京・築地の朝日新聞東京本社読者ホールで始まり、先生約60人が参加した。

 第1回は、被災地の現状報告と被災者の心にどう寄り添うかが主なテーマ。被災地を取材した上野創・朝日新聞記者(現在は販売局首都圏第1部次長)が「『いのち』と『こころ』を考える〜被災者の言葉から」と題して講演した。続く特別講演では、仙台市在住のNIE教育コンサルタント、渡辺裕子さんが「試される人間力〜子どもたちの心に寄り添って」と題し、震災時の体験や被災地の子どもたちの様子を報告。授業で使えそうな震災記事やワークシートを配布し、新聞を使った授業の実践例を紹介した。

 上野記者はがんと向き合った経験から「いのち」をテーマに取材を続けてきた。児童や教職員に多くの犠牲者が出た石巻市立大川小学校を取材し、「被災者の言葉は記者の想像を超えていた。底なしの悲しみ、わが子を助けられなかった怒り、自責、苦しみ……。それをどう伝えるか悩みに悩んだ」と振り返った。「いのちを学ぶこと、大震災から学ぶこと。どちらも『知る』『想像する』『考える』プロセスに意味がある。リアルタイムの新聞報道はそのお手伝いができます」と話した。

 渡辺さんは「被災地の学校には震災記事を使った授業は難しいとの戸惑いがある」と指摘し、「日々、人間力が試されている気がする」と話した。「無事で申し訳ない」という被災者の心情をすくい上げた6月14日付朝日新聞朝刊「南三陸日記」をはじめ「被災者の心情に迫る記事、書き手の人間力を感じさせる記事」を紹介し、見出しを考えてもらうワークショップも織り込んで「震災記事をどう扱うかは切り口で決まる」と話した。

 渡辺さんは震災の翌朝に届いた新聞で初めて全体像が分かったこと、それを食い入るように回し読みした体験が忘れられないという。「広げて集えて話せる。震災で新聞の価値がまた見えたと思います」と力説した。

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 講座は今後、第2回(7月16日)、第3回(7月23日)、第4回(7月30日)、第5回(8月7日)と続く。各回の詳細と申し込みはこちらをご覧ください。