生徒の成長ひときわ「ふるさと松川新聞」

「ふるさと松川新聞」の取り組みを発表をする宮澤美帆子教諭=長野市内

 長野県のNIE実践事例発表会がこのほど長野市の信濃毎日新聞社であった。生徒が組織した「内閣」での消費増税を巡る“熟議”を通じ「子どもたちが『今』を知るようになった」との実践など、授業と社会を結びつける新聞活用の報告があった。

 松川中学校の宮澤美帆子教諭は「ふるさと松川新聞」発行の取り組みを発表した。「ふるさと松川新聞」は20ページのタブロイド判。111人の3年生全員が参加して一つの新聞をつくることを方針とした。分業ではなくほぼ全員がそれぞれに取材し、記事を書き、レイアウトまで考えた。生徒は「観光パンフに載っていない松川の魅力発信」に腕まくり。「安曇節をつくっているのは隣のおじさんだよ」「週刊新潮の表紙を描いている人が松川村にいるらしい」。記者になり切って情報を集めた。取材の計画を立て、アポイントを取った。電話のかけ方は台本で練習。友達と電話の掛け合いっこをした。

 取材は2〜3人のグループで。記事化に備え5W1Hの質問メモを作った。取材先には歩いて出向き、自転車で駆けつけた。学校関係者の車で遠出したこともあった。インタビュー内容を原稿用紙2枚にまとめる作業にも、見出しにも、レイアウトにも、生徒たちはひたむきだった。

 できあがった新聞は取材先のほか駅や図書館、美術館など村の交流拠点にも置いた。「松川の全体像が浮かび上がった」と取材を受けたパン屋さんは、店頭に新聞を貼ることで喜びを表現した。

 宮澤教諭は、「取材を通して一つのことを極めた人の生き方に触れ、この思いを誰かに伝えるんだという気持ちにあふれていた」と弾む言葉で語っていた。人とのつながりの発見が大きな財産になり、こどもたちの成長を感じたようだ。「新聞づくりは『生きる力』を高める様々な要素が含まれる」と報告を締めくくっていた。

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 「ふるさと松川新聞」の発行は学校の枠を超え、NIEの「地域化」にもなっています。この取り組みは宮澤教諭や当時の3年生らを招き、11月17日に朝日新聞東京本社で開く「第17回朝日NIE講座」で詳しく紹介する予定です。